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80才、人間ならもうヨボヨボばってん石橋健在    「大分県」の目次へ
中津市有形文化財

 この5連の石造りアーチ橋が完成したとは大正12年(1923)10月。

 橋長(きょうちょう・橋の長さ)82.6m。

 橋幅(きょうふく・橋の巾)6.0m。

 径間(けいかん・アーチの直径でスパンても云う)13.9m。

 拱矢(こうし・基礎から要石の下までの高さ)4.8m。

 「アーチがふたぁつなからな、眼鏡橋ては云えんちゃなかか」て、いうた奴がおる。「なんで、あんた、そげんカタかことば云うとぉ ? 、虫眼鏡は一つでも眼鏡て云おうもん」

 そやケン、いくつであっても眼鏡橋て云うてよかとタイ。

 ちなみに、眼鏡橋、眼鑑橋、目鑑橋、太鼓橋、拱橋、曲橋、反橋、虹橋て、これ、みーんなアーチ橋。また、眼鏡橋、眼鑑橋、目鑑橋て、どげん書いても眼鏡橋タイ。ややこしかったら「めがね橋」でもよかと。

 九重か久住かで、国でさえ困って、ひっくるめて「くじゅう国立公園」て云うとといっしょタイ。

 むかし、山国川の右岸は天領(幕府領)でクサ、代官道が通り、左岸は中津藩領やったゲナ。

 双方の道ば結ぶちゃんとした橋がなかって、船渡しや仮橋やったバッテン、不便やケンいうて、近代化が進んだ大正12年に、この馬渓橋が架けられたと。

 3km下流には3連アーチの羅漢寺橋。青の洞門下流には8連アーチの耶馬溪橋(オランダ橋)ともに
「耶馬の三橋」として有名タイ。

 むかしは、大雨のたんびに何回となく流されては架け代えられよったげなバッテン、この石橋になってからは、80年経った現在でも健在。

 80才いうたら、人間なら介護保険でホーム行きバッテン、こっちはバリバリまだ現役。

 なし、耶馬渓から「耶」ば取って馬溪橋ていうとやろうか。耶馬渓橋とおんなじ年に完成しとるちゃし、しかもこっちが上流やし、耶馬渓橋は弟子達が作つたとやケン、遠慮せんで耶馬渓橋でよかったろうに。
 むこうは8連で、しかも幹線道路に架かっとったケン譲ったとやろうか。その辺のことは分からん。
 

 橋のそばに大きな銀杏の木があり、西浄寺ていう浄土真宗本願寺派のお寺がある。
 なんでも、むかし豊前の国ば支配しとった、長門の守護大内氏の菩提所として由緒ある寺らしか。大内義隆の筆による「三慶山」の扁額が有名ゲナ。

 鐘楼も古うて、貞亨(1684)の鋳造銘のある大鐘が下がっとる。三百年以上の古い鐘ということになる。

 山国川は、大分県の北部ば西から東に流れとる延長56kmもの一級河川。むかしから暴れ川ていわれとった。

 福岡県の英彦山が源で、いまは中津市に合併した旧山国町、旧邪馬渓町、旧本邪馬渓町ば貫流して、さいごは周防灘へ注ぐ。

 急流による渓谷が多くて、随所で交通が遮断されとるケン、地域の人々は困りはてとんなった。

 それば見て、石工の甲斐伊蔵(かいいぞう)ていう人が「雨でも流されん永久橋ば架けろう」て決意しなったとゲナ。

 バッテン、いざ取り組んでみたら、この暴れ川に橋架けるとは簡単にはいかん。

 伊蔵さんなあ、さんざん努力ば重ねてクサ、
あるときは、北九州の小倉まで出向いて、旅館で打ち合わせしよったよその橋の架設の様子ば、障子越しに盗み見したりして、やっとこの橋ば完成させなったとゲナ。 産業スパイの元祖かもしれんねぇ。

 また伊蔵さんなあ、弟子たちと山国川流域にいっぱい眼鏡橋ば架けなった。

 いわゆる「耶馬の三橋」は、みーんな伊蔵さんと、その弟子達の作品タイ。

 橋脚の基礎工事には、潜水夫まで雇うてクサ、万全ば期しなったていわれとる。

 下の写真で見れる正面の紅葉した丘には、むかし平田城ていうとがあった。

 平田城は、建久年間に野仲重房が築城したていう。建久9年、重房は長岩城ば作って移り、平田城には平田掃部介ば城番としておいとったゲナ。

 天正16年、中津城主となって来た黒田如水・長政父子に対して、豊前の諸大名が反旗ば翻したとき、平田城も反乱組やったケン、黒田から攻められて落城しとる。

 黒田藩は残党蜂起に備えて、家老の栗山備後ば城主とし平田城に置いとった。
 この備後の子が、後に黒田藩の家老となって、黒田騒動ば引き起こした
栗山大膳タイ。 

東の下流側から見た馬溪橋の側面。蔦がからんどります。
向こう正面の紅葉しとる丘に平田城があった。黄色く染まったイチョウのとこが西浄寺。手前が馬溪橋。

 場所・中津市耶馬渓町平田。中津から国道212号線ば約12km南下。青の洞門からさらに3km南下した国道の右。
 日田ICからは、北上し「道の駅やまくに」から約14kmの左手にある。 取材日 2005.11.21・2006.9.25

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