展示スペースは、旧館の約2倍に広がり、展示される恐竜の骨の数は約15,000点で九州で最大規模ていう。
「恐竜がリニューアルオープン」て聞いただけでジッとしとられん駅長、早速熊本へ高速賃出してまで、わざわざ見学に行った。
常設展示として「白亜紀の御船」「脊椎動物の進化」「恐竜たちの世界」「生命と地球」ていう4つのテーマに沿うて、恐竜のことがよう分かるごと工夫されとる。
ところで つまらん質問バッテン、恐竜とはなんかいな ?
恐竜いうとはクサ、中生代の陸上に住んどった爬虫類の仲間で、分類学的には竜盤目(りゅうばんもく)と鳥盤目(ちょうばんもく)の2種類ば恐竜ていう。
もうちょっと詳しゅういうと、今から約2億年前に地球上に現れ、約1億6000万年もの間繁栄し続けとったとバッテン、約6500万年前に突然姿ば消してしもうた巨大生物のことタイ。地球の歴史の中でこれほどの長期間繁栄し続けた生物はなかとゲナ。
「ちょっと待って、なんなその竜盤目とか鳥盤目いうとは ? 」
「なんでも分類するとが好きな生物学者が、分からんモンも入れたら6000種もおった恐竜ば、骨盤の恥骨の向きによって、前向きが竜盤類、後ろ向きが鳥盤類て決めとんなるとタイ。竜盤類の代表がティラノサウルスていう訳」
「うん、なんとかサウルスていうとは聞いたことがあるバイ」
「サウルスいうとは「とかげ」ていう意味のラテン語タイ」
「分かった。そんなら恐竜いうとは、とかげの化けもんやね」
「 ? ? ? 」
「恐竜 (Dinosaur・ダイナソア) の元々の語源は「恐ろしいくらいに大きい」ていう意味の deinos + 「トカゲ」ていう意味の sauros ばくっつけた言葉タイ」
地球がでけてから46億年、地質年代としては「古生代」「中生代」「新生代」の三つに分けられ、「中生代」はさらに「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」に分けられる。
「三畳紀」にはそれまでバラバラやった地球上の大陸が、ひとつにまとまった頃で「超大陸パンゲア」て呼ばれとる。
パンゲア大陸は、赤道ばはさんで三日月型に広がっとったらしか。
約2億年前の、この頃恐竜はここで生きとったいう訳タイ。
1億8000万年前の「ジュラ紀」になると、大陸は南北に分裂し、北はローラシア大陸、南はゴンドワナ大陸となった。そして両大陸は更に分裂していった。
この時代は恐竜は巨大化し、両大陸ば我がモン顔で跋扈しとった。
「白亜紀」には恐竜はさらに多種多様な進化を遂げいてく。
植物も裸子植物(ソテツ類・イチョウ類・マツ類)に代わり、被子植物(キク科・ラン科・マメ科・イネ科)などが広がり始めた時代で、 大陸はさらに分裂ば続けとった。
とここまでは、地質学の専門書からパクッて説明してきたバッテン、そんならなんで御船で恐竜の化石が見つかったとか ?
熊本県の御船地方には、先に説明した中生代白亜紀の地層がクサ、あっちこっちに分布しとって、これば「御船層群(みふねそうぐん)」ていう。全体として2000mば越える厚さの、この地層からは貝化石がいっぱい出とるし、さらには恐竜の化石も発見されとるとタイ。 ↓ 御船層群の地層。
いま駅長が生きとるとがここ
恐竜はだいたいこの辺の時代で
生きとった。
地球がでけたとがここ
それは今からちょうど35年前の1979年夏、自由研究のため貝の化石ば探しに御船町ば訪れとった当時小学1年生の男の子が偶然、なんか黒かもんば岩の中に見つけた。
「こらぁなんやろか」て調べてみたバッテン、そこらのもんは誰も分からん。納得いかずに専門家に見て貰うたら、それから5年後、その黒かもんが肉食恐竜の歯の化石やったことが分かって、日本古生物学会から発表された。
日本で初めて見つかった肉食の恐竜の骨やった。大発見タイ。 そして、メガロサウルスの仲間と分かったその恐竜は「ミフネリュウ」て名付けられた。
それから10年後、当時熊本大学院生やった池上直樹さんが、淡水性の二枚貝の化石ば見つけるため、御船町の「天君(あまぎみ)」ダムの下流ばうろうろしとった。
そして「黒い棒」のごたるもんば地層の中に見つけ「まさか・・」て思いながら、一応大学に持ち帰った。 そして教授に見せたところ 「これは もしかすると・・・」となって恐竜化石の発掘調査が始まった。
この「黒い棒」 なんと肉食恐竜アロサウルスの中足骨やった。
上・恐竜の頭蓋骨。シルエットで見たら「なお怖かぁ !」
左・恐竜の前足。膝下でさえ人間の背丈より高い。足の指は人間と一緒で5本ある。ということは「ひょっとしたらご先祖さん ? 」
発掘して出てきた恐竜の骨がなんと1万5千以上。これば洗うて修復して元のゴトつなぎ合わせる。
「こらあ大変な作業やったろう」
「はい だいぶ骨が折れました」
展示場所の広さが倍になったていうもんの、それでもゴチャゴチャ入り乱れて、こっちの頭もゴチャゴチャになってしまう。
子どもたちは、チラッと見て、女の子は「怖いーッ」て逃げだす。男の子はすぐに飽きて表で遊んどる。分かったふりして見とるとは父兄だけ。
ティラノサウルスの後足の指は4本
指が4本、内側の一本が短いていう特徴は全ての肉食恐竜に共通しとるとゲナ。
アロサウルスの前足の指は3本
アロサウルスとティラノサウルスは同じ系統の恐竜。アロサウルスはジュラ紀、ティラノサウルスは白亜紀に生きとった。
進化の過程で、一度退化して消えた指は二度とはでけん、ていうルールがある。
そやケン、同じ系統の恐竜やったら、指の数が多か方が古か恐竜て分かる。
「ちょっと待ちやい。そんなら人間は進化しとらんていうとや」
イグアノドンの前足の指は5本
ブラキオサウルスの後足の指は5本
いすれも古か恐竜タイ。
指の数ば数えて回りよる男の子がおった。
「お主、できるな !」
そして駅長の疑問。
「そげんいっぱい地球ば占領しとった恐竜がクサ、なし骨だけ残してみーんな居らんゴトなったとか ? 」
約6550万年前、小惑星バプティスティナいうとが、ほかの小惑星と衝突して、分解した直径10キロほどもある隕石が、メキシコ・ユカタン半島近くに落ちてきた。
それで巻き上げられた大量のチリが、太陽光ば遮ったもんやケン、いわゆる“衝突の冬”いうとに地球が見舞われ、これは10年も続いたていう。この冬のために植物は枯れ、喰うもんの無うなった草食恐竜が死んでしもうたもんやケン、肉食恐竜も絶滅していった。こればバプティスティナ原因説ていう。
いいやそらあ違う。恐竜は隕石衝突でオスばかりが生まれるごとなって絶滅したていう説もある。
隕石衝突によって空が塵や火山灰に覆われて気温が低下したもんやケン、恐竜がその環境の変化に耐えられんごとなって絶滅した。そらまたなしかていうと、
気温低下によってオスばかりが生まれるごとなり、メスの数が極端に減ったことが絶滅の直接の原因ていう繁殖不能説。人間やったら雄より雌の方が、体力的にも精神的にもシブトかといねぇ。
もうひとつ
太陽系5番目の惑星ていう木星は、ガスの塊で大地というものはナカ。この木星に異変が起こった。木星の表面に現れた赤い塊が突然球体となって飛び出し、彗星となって極端な楕円軌道ばとって回りだした。
その彗星が地球に近づいて来た。地球とぶつかりはせんやったバッテン、地球の衛星の月に大きな影響ば与えた。彗星の重力に引かれて月が通常の軌道ばはずれ、地球に近づき過ぎるごとなった。距離が縮まったもんやケン、引力のバランスが崩れ、海水の満ち引きが異常になった。
当時水のあった月は、地球に引っ張られ、水が全部地球さい飛び出してきた。月から飛んで来た氷たちは、地球の大気に入ると次々と蒸発し、水になって爆発的な豪雨が地球ば覆うごとなった。
川は氾濫し各地で大洪水。豪雨は延々と続き、生物が生活出来る範囲ばはるかに超えた。恐竜初め生き物はすべて死に絶えた。これば大洪水説ていう。
ま、原因は分からんでも恐竜が絶滅したとは事実。そして土に埋まったまま6,500万年。ここ御船で見つけてもらい骨だけでも甦ったていう訳よ。
興味が湧いたら一度会いに行ってやってよ。喜ぶバイ。
恐竜博物館の表におる恐竜のモニュメントは、子ども達に大人気。やっぱぁホネだけよりこっちのほうがヨカ。