このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

競売にかけられた郷土の文化財         「福岡県」の目次へ
 大川市指定文化財

 筑後川の下流には大きな中州がふたつある。河口にいちばん近い大きいほうが大野島で、その北に大中島。

 大野島は北半分が大川市で、南半分は佐賀県の川副町。大中島のほうは佐賀県諸富町で、ふたつの橋で大川市とつながっとる。

 このふたつの中州の中間に架かっとるとが筑後川昇開橋タイ。

 その昇開橋ば写した帰り、たまたま見つけた古い洋館、面白かったケン、4・5枚シャッターば切ってきたとが、なんと、この三潴銀行の跡やった。

 この建物は、三潴郡ば地盤にしとった旧三潴銀行(福岡銀行の前身のひとつでもあるとゲナ)が、明治42年(1909)に建てた。2階建てで延べ床面積356平方メートル。

 棟梁は地元で名工ていわれた筬島傳太郎(おさじま)やったゲナ。傳太郎は同じ大川市に残る清力美術館も作っとんなると。

 石工は上方からわざわざ呼んできたていうケン、やっぱあむかしから、金のある銀行がするこたぁ違うバイ。

 建物の外観は、一見鉄筋コンクリート造りのごと見えるけど、煉瓦造りば漆喰とコンクリートで塗って出来とる。

 窓やその他の部分は飾りに花崗岩ば使い、屋根は石葺きで、四隅は銅葺き。塔には避雷針が立っとる。

 今は家具屋さんのショールームになっとって、室内には入らんやったバッテン、欅材ば用い、天井はドイツ製の厚い鋳型ブリキ。ペチカは大理石やイタリア製のタイルを使てクサ、ハイカラなもんゲナ。

 当時、大川町はモチロン佐賀市にもなかったぐらい、モダンな建物やったらしか。

 この100年近い歴史の建物がクサ、競売されそうになっとうとゲナ。所有しとった福岡市のフェリー会社が経営難で民事再生法ぱ申請しなったもんやケン、債権者の県信用保証協会が福岡地裁柳川支部に競売ば申し立てたていうワケよ。1.234万円が入札基準価格ゲナ。

 市民からは「貴重な文化財が取り壊されるかもしれん」いうて心配の声が上がっとるげなバッテン、大川市もクサ、市の文化財には指定しとるとバッテン、財政が苦しゅうして「買いきりまっせん。買うた人が大事に保存してつかぁさい」て人頼みタイ。金が仇の世の中。こげんして、貴重な遺産が失われていくとねぇ。

チョットでも見かけようするために電線は消しとります。電線のなかなら、日本の町はどこもよか景色ばっかりバッテンねぇ。

 場所・大川市大字向島2367。筑後川の下流、大中島に架かる大川橋の東詰から、南へ折れてすぐの二股を右へ。
100mも行くと三叉路の右手に見えてくる。左側に格好の駐車スペースがある。    取材日 2007.09.09

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