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レールで作ったホームの屋根明治のリサイクル   「鉄道遺跡」の目次へ
 鉄道遺産

 鳥栖駅の6番線ホームに立つと、天井から妙なもんのぶら下がっとるとに、気がつく人は気がつくやろう。

 これは、ホームの屋根ば支える鉄柱がクサ、明治時代に製造された古かレールば「再利用しとります」ていう説明板タイ。

 そういわれてみると、ほんなことい古レールば曲げたりして上手に作っちゃあ。

 ドイツのクルップ社製で、1896て刻印が打ってある。1896年いうたら明治29年、九州鉄道の開業が明治22年(1889)やケン、その7年後のもんタイ。いまからすると、120年近く前の、しかも散々汽車に踏まれ続けてバイ、お役ご免になったあとも、皺ごんちゃくになって、まあだ役にたっとるところが涙ぐましか。

 レールは1m当たりの重さが基準になっとる。印刷用紙が全判1000枚の重さで50キロの紙とか云うて、紙の厚さば表しとるごと、30キロのレールいうたら、1mが30kgの重さがあるレールいう訳タイ。紙といっしよで重たかほど鉄の巾が厚うなる。

 初めの頃の鉄道は30kgのレールが主やったが、今では40kg、50kg。新幹線のレールなんかは1mで60kgもある大きないうか、分厚かいうか、重たかレールば使いよるとゲナ。

 長さは1本25mが基準バッテン、いまは現場で溶接して2kmものロングレールば使いよる。継ぎ目のなかケン、音はせんで乗り心地はよかバッテン、逆に線路の継ぎ目でガタンゴトンていう車輪の音のせんごとなって淋しか。

 最近の「炭素」がうんと入っとるレールは強かげなバッテン、明治・大正期のレールは摩耗するとが早かつたらしか。レールにも寿命があって、車輪と接する部分が、摩擦で9mm減ったら、そこで定年いうことになっとるらしか。定年後はここのごとホームの柱やら跨線橋やら、矢部線のごと藤棚になっとるともある。

 鳥栖駅(とすえき)は、鹿児島本線から長崎本線が分岐する鉄道の交差点で、この駅ばっかりはどけな列車も、しゃっち(かならず)停車する。島式ホーム3面6線ば持っとる九州最大の駅タイ。駅舎とホーム間は2本の地下通路でつながっとる。

 明治22年(1889)九州鉄道が博多〜千歳川間ば開通させたとと同時に開業した。昭和20年(1945)鳥栖大空襲で駅構内は爆弾ば落とされ、大勢の人が犠牲になったバッテン、駅舎だけは焼失ば免れた。

 現在の駅舎は、なんと明治44年(1911)に建築された木造の洋館風駅舎で、当時の原形ばよくとどめているという非常に貴重なもんタイ。「佐賀ふるさと遺産」にも認定されとるとバイ。

 5番のりばのホームの柱は、肥前麓側から順に青・赤にペイントされとる。青が「かもめ」、赤が「ハウステンボス」ばイメージしとるとゲナ。

 藤井フミヤが、高校卒業後に鳥栖駅の見習で半年間働いとったことがある。そのあと彼は早岐駅に配属された。仕事中に「涙ぁーのぉリクエースト」て歌いよったかどうかは知らん。親父が国鉄職員やった。

 鳥栖はなんで鳥栖やろうか
「鳥」ていう字がついとるケン、鳥と関係あるっちゃろう。
 むかしむかしの奈良時代、天皇に献上するための鳥(鶏)ば飼うとった「巣」があったけんゲナ。これが後に「鳥巣」となって、「鳥栖」と呼ばれるごとなった、て云われとる。ほんなことかいな。

 そういえば、中央軒が発売しよる「かしわうどん」やら、「焼麦(シュウマイ)弁当」などが有名で、ほとんどの駅弁には鶏肉(かしわ)が入っとる。やっぱあ鳥と関係が深かとバイ。

「うどん」は、4軒あってクサ、みんな立ち食い方式。種類も豊富で、安うて、美味かて有名タイ。「うどん」目当てにわざわざ入場券ば買うて食いに来る人もあるらしかバイ。
 中央軒では「どこも味は変わらんばいた」て云いよんなるバッテン、なしか「6番のりば(一番南側)のうどんが一番美味か」いうことで、やはり6番のりばが一番の人気タイ。

 かつて、鳥栖駅には広大な機関区とヤードがあって、転車台や扇形車庫もあった。戦争中は機関車ば隠すため簡単なトンネルまで掘っとったていわれとる。

 跡地はいま、J2・サガン鳥栖の本拠地・鳥栖スタジアムやら公園、工場、住宅地になって、かっての機関区の面影はほとんど残っとらん。

 駅東側に、この機関区で入れ替え作業ばしよった国鉄230形蒸気機関車(268号機)が、鳥栖市の重要文化財として静態保存されとる。

 場所・鳥栖市京町。福岡市からやったら、国道3号線ば南下、やよい坂駅の先で34号に右折して約4kmの元町信号を左折。1kmで駅に突き当たる。高速やったら鳥栖ICで下りて、34号線に入り4kmで元町信号。  取材日 2008.02.14              

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