このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

肥後古代の森「里やま」
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 熊本県北部の菊池川流域は装飾古墳のメッカていわれとる。
 装飾古墳文化は、5・6世紀にかけて北部九州から日本列島ば北上して、7世紀には東北地方まで達したていう。

 全国で約600基ある内の200基ほどが熊本県で、その7割がこの菊池川流域に集中しとる。そがしこ、ここに古墳があるいうことは、ここに文化が栄えとったとか、力のある豪族がおったとか ?

 文化庁は広域遺跡の保存と活用ば目的に、山鹿市・山鹿市鹿央町・和水町の3地区に、 およそ73haの用地ば選定して、昭和56年から16年の歳月と、多額の税金ば突っ込んで歴史公園ば整備した。

 これば総称して
「肥後古代の森」て呼んどると。その後、菊鹿・菊地地区も鞠智城跡が整備されケン、いま肥後古代の森は4地区ある。

 3地区にはそれぞれ博物館等が設けられ、その中核となる施設がここ山鹿市鹿央町の熊本県立装飾古墳館ていう訳。

 たいして人が来よるようなふうもなかとい、贅沢な、というか無駄というか、モッタイナイとしか思えん建物がドーンと聳えとる。


写真上・岩原古墳群。草は刈り込まれて立派なもんバッテン、まるっきり人影なし。
左・県立装飾古墳館

 そのすぐそばに、古代の森交流施設「里やま」いうとがあって、2千年前の種子から発芽したハスの花が咲くことで、知る人ぞ知る観光地になっとる。

 その清楚なハスの名は、発見者の名前をとって「大賀ハス」

 2000前のハスがとてつものう長か時空を越えて甦ったとには、こげなエビソードがある。

 戦時中に東京都は燃料不足ば補うため、千葉県の花見川下流の湿地帯に草炭がいっぱい埋蔵されとることに着目し、採掘しよった。

 草炭いうたら、石が炭になったとが石炭のごと、草が何万年もかけて炭になったもんタイ。

 ある日作業員が、採掘現場でたまたま1隻の丸木舟と6本の櫂ば掘り出したことから、本格的な調査が始められ、昭和24年(1949)にはもう2隻の丸木舟とハスの果托などが出てきた。

 そやケン、ここは「縄文時代の船だまり」やなかかていうことから、落合遺跡て名付けられた。

 そして、植物学者でハスの権威者やった大賀一郎博士が、発掘品の中にハスの果托があったことから、昭和26年(1951)地元の小・中学生やらボランティアの協力ば得て、この遺跡の発掘調査ばしなったていう訳よ。

 ハスの果托ちゃなんな。知らんと ?  これがハスの果托タイ。カタク覚えといちゃんしゃい。



 調査はめぼしか成果がなく、もう翌日で打ち切りていう日の夕方になって、中学校の女子生徒が地下約6mの泥の中からハスの実1粒ば見つけ出した。

 飛び上がって喜んだ博士は、予定ば延長してさらに発掘しなったら、また2粒発見。
 合計3粒のハスの実が発掘された。

 大賀博士が発掘された3粒のハスの実の発芽させようて試みなったところ、2粒は失敗に終わったバッテン、始めにみつかった1粒は育ってクサ、なんと翌年(昭和27年)の7月18日に、みごとにピンク色の花ば咲かせたてタイ。

 このニュースが世界中で話題になり、アメリカのライフ誌にまで
 「世界最古の花・生命の復活」・・・
 「博士の名ば採って
大賀ハスと命名」・・・て大げさに掲載されたとゲナ。

 博士は年代ば明確にするため、いっしよに発掘された丸木舟のカヤの木の破片ば、シカゴ大学の原子核研究所へ送って年代測定ば依頼しなったところ、
弥生時代以前のものていうことが分かった。

 このことから、ハスの実も
2000年前のものて推定でけたていう。

 この古代ハスは、昭和29年(1954)「大賀蓮」として千葉県の天然記念物に指定され、その後、日本各地はもとより世界各国へ根分けされて有名になっていった。

 博士もバッテン、このタネは女の子が見つけとらんやったら、この世に出んやったとやケン、駅長としては、始めに見つけた女の子の名前ばつけといて貰いたかったねぇ。

 この大賀ハス、朝は5時頃から咲き始め、昼にはもう閉じてしまう。

 ハスば育てとる肥後古代の森交流施設「里やま」はタダで、朝早うから開いとるケン、大勢のカメラマンが押しかけて、みーんな斜(はす)に構えて写真ば撮りよんなる。(ここおやじギャグ)

 池は全部で8つあって、25種類のハスが栽培されとるていう。

 大賀ハスのほか「白君子小蓮(しろくんし しょうれん)」「妙蓮」などがピンクや白のかれんな花ば咲かせとるとバッテン、人気は大賀ハスに独り占めされいしもうとる。

 入口の売店には、近くの農家から採れたての野菜やら西瓜やらば、どんどん持ってきて朝から大賑わいやった。

 それと「里やま」でたまがったとは、整備の行き届いとること。とにかくキレイか。

 小高い丘の上にある物産館は、ハス祭りの期間中7時から開いとって、だご汁と赤米の朝食が500円で旨かった。
 

 福岡からやったら、九州道ば菊水ICで降りて左折、600mの三差路を右・県道16号線へ。東郷簡易郵便局ば左に見て約6km東進すると県立装飾古墳館の案内板があるケン、右折1km。

 山鹿からやったら、3号線の山鹿市中央通り信号ば県道16号線へ(南からなら右折、北からなら左折) 菊池川ば渡ってほぼ1km走れば、県立装飾古墳館の案内板がある。



             取材日2009.07.06

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