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勢  峠



国道27号勢浜トンネル(東口)国道27号勢浜トンネル(西口)


1勢峠(小浜市)

 勢坂ともいい、小浜市東勢と同青井の境にある標高約110mの峠で、昔は遠敷郡と大飯郡の境界でした。

 この峠を丹後街道が越え、小浜市街の西の玄関口にあたりました。峠名は西の勢(今は東勢、西勢)へ越えたことに由来するようです。

 小浜防衛の軍事的拠点となり、南北朝期には戦場になりました。また大永2年(1522)若狭守護武田元光が後瀬山城を築いたとき、木戸を構え兵を常駐させたといいます。

 現在は国道27号とJR小浜線の勢浜トンネルがこの峠下を並走しています。


勢峠位置図勢坂道(旧道)


2峠下の集落

(1)青井
(小浜市青井)

 青井は後瀬山の北西麓、標高152メートルの青井山南西麓に位置し、青井山の鞍部に勢坂峠があり丹後街道が通っていました。

 現在は、この峠下を国道27号、JR小浜線のトンネルが貫通しています。南北朝期の康永3年(1344)若狭国守護として入部した大高重成が当地に高成寺を再興し、

 戦国期の永禄年間(1558〜1569)青井山に武田氏家臣柄神庄司介の山城があったといわれます。

 その後、若狭国守護として入部した武田信賢が青井山に築城、高成寺付近に居館を置いて、後瀬山城に移るまで領国支配の拠点としました。

 現在、寺の北一帯は小浜公園となり、山頂からの尾根が青井崎となる付近に国民宿舎などが建っています。

 江戸期、青井村は19戸、100人ほどの村でしたが、小浜城下西側の入口に当たったので、青井口木戸が設けられました。

 村内の東西に丹後街道が通り、西にある勢坂峠が大飯郡との境界になっていました。

 時代が下るに従い、町屋、寺院、農家が混在するようになり、集落の一部は城下町に含まれました。



(2)東勢
(小浜市東勢)

 北を小浜湾に面して位置する集落で、当地にある勢坂は「若狭郡県志」に「東勢村与遠敷郡青井村之境界、有坂路称勢坂」と紹介しています。

 遠敷郡と大飯郡との境をなし、丹後街道が越える峠道にありました。若狭国大飯郡に属し、室町期、勢井村の東部分に形成された村です。

 文明16年(1484)頃に集落が形成されたようで、江戸期には戸数40、人口280ほどの村でした。

 明治22年(1889)加斗村の大字、昭和30年(1955)小浜市の大字となりました。



主な参考文献

角川地名大辞典18福井県  角川書店
越前・若狭峠のルーツ  上杉喜寿著






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