このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
北原白秋文学碑
北原白秋文学碑〜落葉松
一 |
からまつの林を過ぎて、 |
からまつをしみじみと見き。 |
からまつはさびしかりけり。 |
たびゆくはさびしかりけり。 |
二 |
からまつの林を出でて、 |
からまつの林に入りぬ。 |
からまつの林に入りて、 |
また細く道はつづけり。 |
三 |
からまつの林の奥も |
わが通る道はありけり。 |
霧雨のかかる道なり。 |
山風の通ふ道なり。 |
四 |
からまつの林の道は |
われのみか、ひともかよひぬ。 |
ほそぼそと通ふ道なり。 |
さびさびといそぐ道なり。 |
五 |
からまつの林を過ぎて、 |
ゆゑしらず歩みひそめつ。 |
からまつはさびしかりけり、 |
からまつとささやきにけり。 |
六 |
からまつの林を出でて、 |
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 |
浅間嶺にけぶり立つ見つ。 |
からまつのまたそのうへに。 |
七 |
からまつの林の雨は |
さびしけどいよよしづけし。 |
かんこ鳥鳴けるのみなる。 |
からまつの濡るるのみなる。 |
八 |
世の中よ、あはれなりけり。 |
常なけどうれしかりけり。 |
山川に山がはの音、 |
からまつにからまつのかぜ。 |
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