うす紅に葉はいち早くもえいでてさかむとすなり山ざくら花
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吊橋のゆるるあやふき渡りつつおぼつかなくも見し山ざくら
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瀬ゝ走るやまめうぐひのうろくづの美しき春の山ざくら花
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山ざくら散りのこりゐてうす色にくれなゐふふむ葉のいろぞよき
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とほ山の峰越の雲のかがやくや峯のこなたの山ざくら花
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若山牧水の第14歌集『山桜の歌』収録の歌である。
初めの「うす紅に」だけが自筆で、他の4首は活字体になっているそうだ。
山ざくら
三月末より四月初めにかけ天城山の北麓なる湯ケ島温泉に遊ぶ。附近の渓より山に山桜甚だ多し、日毎に詠みいでたるを此処にまとめつ。
うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花
『山桜の歌』
大悟法利雄の撰文があったそうだが、気付かなかった。
大正九年夏、東京から沼津に移った歌人若山牧水は、ふるさと日向を思わせる湯ヶ島温泉の風物を深く愛し昭和三年に没するまでしばしば来遊して長期滞在し、円熟したその後期の清澄な自然詠代表作たる数々の名作を遺した。この歌碑には、大正十一年、三十六歳の春の「山ざくら」(歌集「山桜の歌」所載)一連二十三首中の五首を録した。第一首は大正十四年の筆蹟。
昭和56年(1981年)4月2日除幕。
『牧水歌碑めぐり』(大悟法利雄著)によれば、92番目の
牧水碑
である。
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