| このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
私の旅日記
佐世保〜「五足の靴」〜
| すばらしい人生ではないかもしれない | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| しかし素晴らしい生き方はできる |
| 明治32年(1899年)、谷郷町に佐世保教会設立。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 昭和6年(1931年)12月、現在地に教会が完成。 |
| ランプの明かり、カンテラの | |
| 灯かげ煙れるせりうりの | |
| 夜店の中に、一段と | |
| 聲はりあぐる瀬戸物屋。 | |
| 「早來い、早來い、品物は | |
| みんな廉か。」といそがしく | |
| 左のふときてのひらを | |
| 握りこぶしに打叩く | |
| 「この花いけは有田焼、 | |
| 買はっせ、買はっせ、そら貮圓。 | |
| 廉か。」と呼べど、群集は | |
| 冷然として澆り見る。 | |
| 「貮圓、壹圓五十錢、 | |
| 七十五錢、四十錢、 | |
| ああ、負けましょ、二十錢。」 | |
| 赤き襷を汗ばしる。 | |
| わが賣る品のあたひをば | |
| 恥づる色なく、おのれから | |
| 下げて手を打つ、あはれなる | |
| 佐世保の街の瀬戸物産。 | |
| 更にあはれむ。汝が妻は | |
| 死にか別れし、みそかをと | |
| はたや逃げたる。三十の | |
| 男ざかりのやもめずみ。 | |
| 後ろを見れば、竹たてて | |
| 夜露に吊すハンモック | |
| 眠りてありぬ、青白き | |
| 五才ばかりの娘の兒。 | |
| 明治四十年八月五日 | |
| 与謝野鉄幹 |
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