このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
昔の温泉
湯ヶ野温泉「江戸屋」
与謝野晶子の『伊豆遊記』に湯ヶ野温泉の「江戸屋」に泊まったことが書いてあった。
天城山の南の峽谷、即ち河津川の上流にある、陜い崖上の温泉宿は江戸屋を最とすると云ふので、私達3人の一行は其家に泊つた。天井の極めて低い六畳が最上の座敷である。左右の兩室には東京の學生客が舊臘
(きゅうろう)
から滞宿してゐるらしかつた。
『伊豆遊記』
与謝野晶子
が「江戸屋」に泊まったのは大正12年(1923年)の元日のこと。
「江戸屋」は今でも民宿として営業しているというので、行ってみた。
河津七滝
から国道414号で湯ヶ野温泉へ。
湯ヶ野温泉の駐車場に伊豆の踊子の像があった。
踊子のイメージと違う。
「江戸屋」は河津川の清流に面した宿である。
「江戸屋」の隣が共同湯。
仄暗い湯殿の奥から、突然裸の女が走り出して来たかと思うと、脱衣場の突鼻に川岸へ飛び下りそうな恰好で立ち、両手を一ぱいに伸ばして何か叫んでいる。手拭いもない真裸だ。それが踊り子だった。
『伊豆の踊子』
踊り子が走り出して来た湯殿である。
温泉は穴倉のやうな所へ石段を下りて行くと、一間四方程の浴槽がある。薄暗い電燈の下に幾つかの首が默つて浮いてゐる。男女混浴である。淋しくはあるが、昔の安湯宿の風があつて旅の心が落着く。
『伊豆遊記』
今でも「穴倉のやうな所へ石段を下りて行く」。
「一間四方程の浴槽」
今でも男女混浴。混浴というより、お風呂が1つしかないのである。
混浴が嫌なら、女性は入浴する時に内側から鍵を閉めればいい。
24時間、365日、掛け流しである。
どこかの温泉に分けてやりたい。
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