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美濃高須藩江戸上屋敷跡


新宿通り(甲州街道)と靖国通りの間、今の新宿区荒木町に美濃高須藩上屋敷はありました。

容保公御生誕の地です。

東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅と都営新宿線の曙橋駅が最寄り駅ですが、四谷三丁目から曙橋に向かって下り坂になっており、
道も四谷三丁目の駅からの方がわかりやすいと思います。

東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅の4番出口から地上に上がると高遠藩士が何度も往復したであろう新宿通り(甲州街道)に出ます。
そのまま真っ直ぐ新宿通り(甲州街道)を半蔵門方面(みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行の見えている方向です)に直進、
200メートルほどの距離にある三菱東京UFJ銀行の角を左折すると、そこから靖国通りまでの400メートルほどが津の守坂通りになっています。

津の守坂の由来ですが、これは美濃高須藩主松平摂津守から来ています。
摂津守を略して津の守です。


坂の下から眺めたところ。
坂に向かって右側(西側)が美濃高須藩松平家の上屋敷でした。


写真だとちょっと読みづらいですが、説明書きがありました。

荒木町と三栄町の境を靖国通りの手前までくだる坂である
別名を小栗坂ともいう。昔坂上の西脇に松平摂津の守の屋
敷があったのでその名を略して津の守坂と称した

と書いてあります。



再び新宿通り(甲州街道)に出て、みずほ銀行の角まで戻ります。
ここから車力門通りを歩いていくと突き当たりに荒木公園と言う小公園と金丸稲荷神社があります。

金丸稲荷神社は美濃高須藩主の守護神です。
地図で言うと ここ

金丸稲荷神社由来
この金丸稲荷神社は祭神に宇迦能御魂大神を奉祭しこの町の守護神として尊崇され今日に至る。
天和三年西暦一六八三年美濃国高須藩主松平摂津守この地一帯を拝領上屋敷とされし折り
藩主の守護神として金丸稲荷神社を建立されしよりと云う
この地を俗称津の守と云うは松平摂津守の上屋敷跡に起因する。
明治五年七月の政令によりこの荒木町が誕生し町の発展は勿論津の守三業地も次第に繁栄し気品高き芸妓と三業の名と共に
金丸稲荷大神は荒木町町民の暮らしの中に鎮座せられ爾来百有余年を経るに至る。
大神は和合、繁栄、財宝、安全、出世、又火伏せの神として崇められ、
古くは度重なる江戸の大火にも尚大正十二年の関東大震災にもこの災禍を免れたりと伝えられる。
昭和二十年五月二十四日の東京大空襲に際しては惜しくも全町が焦土と化し去ったが
町民には一人の死者も出なかった事はこれ偏に大神の霊験あらたかなる由と推察される。
昭和二十七年十一月に現在位置の隣接場所に遷座奉祭し来たるも昭和五十年四月吉日敷地整理のため
神社は町内有志及び三業組合又崇敬者の寄進によって再び遷座再興されたものである。
(以下略)

金丸稲荷神社がある荒木公園のトイレは高須藩上屋敷跡地である事を意識して作ったのでしょうか?。



金丸稲荷神社から50メートルほどでしょうか、金丸稲荷神社の鳥居の右側にある案内板に従って、
「荒木町奥の細道」と言う名前のついた路地を歩き、道なりに階段のある坂道を下っていくと、

津の守弁財天と策の池(むちのいけ)があります。
地図で言うと ここ

策の池
江戸時代の古書「紫の一本(ひともと)」によれば徳川家康がタカ狩りの時近くにあった井戸水で策を洗ったので策の井戸と呼び
澄んだこの水が高さ四メートルに及ぶ滝となりこの池に注いでいたので策の池と呼ばれ
「十二社の滝」「目黒不動の滝」「王子名主の滝」等と並び江戸八井のひとつとして庶民に愛されていました。
天和三年(一六八三年)美濃国高須藩藩主松平摂津の守がこの付近を拝領し上屋敷としましたので庶民から遠のきましたが
約百九十年後の明治五年(一八七二年)時の政府による廃藩置県の発令でこの地が解放され明治七年荒木町として住民の町となりました。
人々は藩主の名を慕い「津の守」と呼び今なお愛称されています。
現在では湧き水は減って池も埋まりこの滝つぼ跡に昔の語り草をわずかに残しています。
古来池のほとりにあった弁天祠を昭和三十一年崇敬者によって現在地に遷座再建し
「津之守弁財天」の御神明で町民の守り神としてお祭りし御加護を受けています。



写真に撮るのを忘れましたが、湧き水がちょろちょろと出ていて柄杓にすくえるようになっていました。
容保公もこの水で産湯につかったのでしょうか。



津の守弁財天と策の池の前の通りを道なりに進み突き当りを右折すると津の守坂に戻ることが出来ます。


津の守坂を下ると靖国通りを挟んで、突き当りには中央大学市ヶ谷校舎が建っています。
市ヶ谷校舎という名前ですが市ヶ谷の駅は遠く最寄り駅は都営新宿線の曙橋駅になります。
靖国通りを新宿方面に向かって歩くとすぐに駅の入口があります。

四谷三丁目駅の近くには四谷総鎮守の 須賀神社消防博物館
津の守坂の近くには 新宿歴史博物館 もあります。



(訪問日は2006年2月13日です。)


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