このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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旧国道121号線
山王峠


福島県南会津町〜栃木県日光市
平成21年11月8日 来訪



こいつを見てくれ、どう思う?

『すごく・・・、スパナです。』


2008年某日、山王峠に挑み見事敗北。
大転倒起こした挙句にレバーが根元から吹っ飛び、ブレーキ操作不能に。
偶々数日前に某オフロード雑誌にてブレーキレバー粉砕時の応急処置方が掲載されていて、その記憶を頼り何とか復旧させたのが右の画像だ。

このブレーキもどきを操作してほうほうの体で千葉へと逃げ帰ったのが第一回目の探索であった。
なにせここもあの『三島』が絡む道。
やはり一筋縄ではいかなかった・・・。


初回目より役一年後の2009年秋。
僕は再びこの地を訪れた。

福島側新旧の分岐点。
旧道分岐を示す青看も残っているのだが、入り口にはがっちりチェーンゲート。
まあ例によってアレして入ってしまうのだが。

ゲート横には『荒海宿』と記載された木柱。
この『荒海宿』と言うのが意外と謎でR121の元となった「会津西街道」において山王峠を越えた先の宿場は「糸沢宿」であった。
その次の宿場が「川島宿」で現在この宿場のあった地域が「荒海」と呼ばれているようなのだ。
明治期にはすでにこの地域を「荒海村」と呼ばれていたようで、どこかの時代で地名が変わってしまったのかもしれない。

ゲートを過ぎると一直線のストレート。
落ち葉が散り積もる人気の無い2車線の道路が峠へと誘う。
直線の途中に山王川を渡る小規模な橋がある。
山王川は此処より少し北側のところで荒海川と合流し、会津を代表する大河『阿賀川』となる。

掠れた40km制限表記と傾くカーブミラー。
しかし、荒れ果てているが国道としての風格未だ感じさせる。
同じR121の旧道でも『酷道』状態の大峠山形側とは大違いだ。 

再び「荒海宿」の木柱。
以外に思うかもしれないが、結構な確立でこの道をトレックしている人とであったりする。
家族連れでハイクしている人や犬の散歩なんかしている人もいた。
登山道なんかと比べれば車道、しかも元国道だし歩きやすいと言えば歩き易い所である。
全線舗装化されて、正直廃道としては「ヌルイ」部類だ。

あの一箇所を除けば。

現道からのエンジン音が聞こえなくなってくると、道も徐々に荒廃が進んでくる。
両脇から植物の侵食が激しくなる
新道のトンネルが1980年開通。
青看に旧道分岐の表記があるぐらいから、しばらくは旧道も通れたのだろうがただ峠を通るだけの何も無い道を補修する金なぞ無かったのだろう。
すでにこの道は止めをさされており、ただひたすら崩れていくの待つのみ。

コンクリートで固められた法面も劣化により至る所に亀裂、一部は崩壊し路面に土砂が崩れる。
しかしここはまだ小規模な方だ。
それより、湿った落ち葉の方が怖い。
気を抜くとタイヤが滑ってコケそうになる。

沢を渡る小さな橋。
やや古い施行のコンクリート橋に見え、もしかしたら戦前のものかもしれない。
右奥のガードレールのある方は戦後に幅員を広げる為に拡張した可能性がある。
ややキツイカーブではあるが2車線は確保されていて地方国道なら及第点な規格ではなかろうか?
ただ、東北・関東を結ぶR4に対するサブルートとして役割を持つR121の改良は必須であったのであろう。

山の上は秋が過ぎつつあり、木々の葉は落ち路面を覆う。
間近に迫りつつある冬を静かに待つ。
巡りめくるサイクルの終末の光景。
この死を意識せざる得ないこの景色が何故にこんなに好きなのか僕も良く解らない。

そんな感傷浸っている間に道の状況は更に悪化。
舗装道路としての姿は見る影も無く、路上に草木が生える。
そしてブラインドカーブの曲がる度に湧き上がる恐怖感。
車両通行は不可能と行政に復旧を断念させ、
そしてこの前の年に自分を涙目にさせて逃げ帰らせた元凶。

日向から陰鬱な日陰へ入る曲線の先。
それはついに現れた。

大 崩 落 。

崩落の上に上がりせろーさんを見下ろす。
この崩落の巨大さをわかって頂けるだろうか?
そしてこの崩落横はまっさかさまの断崖である。
現役時から危険ポイントだったらしく落石防護壁や法面補強など様々な施行がされていたようだが、それすら大量の土砂が飲み尽くす。
この崩落は2001年頃に出来たらしく、それ以来この場所にずーっと鎮座しているのだが恐ろしい事に未だこの崩落は成長なのである。
以下が過去に此処を探索した方のレポだ。

そして2008年に己自身でで初トライ。
行ってみればネットで見たものよりはるかに巨大な崩落が待ち構えていたのである。
しかしこの時、ほんの僅かだが徒歩の人達による踏み後によりなんとかバイクで越えられそうな平場があったのだ。
「行ける!」と思い足をせろーさんごと突っ込んで見たのだが・・・
僅か1m程であるが谷側に傾斜し、しかも足場かしまっていない不安定なポイントがあったのだ。
一気に通過してしまえば1、2秒で過ぎ去ってしまうようなポイントである。
しかし、その僅かな瞬間に足場が崩れ谷の方に行ってしまえば・・・
しかもその傾斜ポイントになんと動物の糞がおちていたのである。
糞に滑って谷底行きなんてあまりにも笑えない。
結局、戦意喪失し引き返すわけだが崩落の3分の1程進んでしまっていた
横を見れば竦む様な断崖の隘路を足を使ってそろそろと後退。
もう顔は引き攣り目から涙。
土砂から路面に復帰する際は後ろ向きに滑り落ちなければならず、崖側に行ってしまったらどうしようかと本気で恐怖した。
その後旧道から脱出する際に大転倒。
ブレーキレバーを根元からへし折ると言う新たなピンチを招くのであった。

もう此処は単独では行きたくない。
あまりにもリスクが高すぎる。
しかし、探索が中途半端なままも気分が悪い・・・

ならば・・・

助っ人だ!
続く

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