このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

スハフ43形 3等座席車

     スハフ43 特別急行(かもめ) 大阪 昭和28年 奥野利夫氏撮影



スハフ43 2 大ミハソ(かもめ時代)

昭和25年京都〜博多間に山陽特急(かもめ)の新設が計画されました。特急の最後尾は1等展望車が連結されるのが定例でしたが、旅客需要の関係からこの山陽特急への展望車連結は見送られ、その代わりとして3等座席緩急車の新製が計画されました。
その計画を受けて作られたのがスハフ43形3等座席緩急車です。車内設備は同時に製造された(つばめ)(はと)用の、3等座席車としてははじめて片デッキ式を採用したスハ44形と同等のもので、車端に車掌室がついた形になっています。
スハフ43は、(かもめ)専用として設計されたため、わずかに3両が製造されたにとどまりました。
はじめて車掌室に後方監視用の窓が取り付けられ、このスタイルは最新鋭のナハフ10、11形式に受け継がれています。


スハフ43平面図


★スハフ43形は長らく(かもめ)に使用され、そのあと東京〜大阪間臨時特別急行(さくら)に使われていました。そしてこの10月の改正で新設された初の上野〜青森間、特別急行(はつかり)として三たび華々しいデビウをしました。

★(はつかり)使用に際して、車体を青15号基調にクリーム1号の帯を2本(ウインドシル下側と裾)巻いた新塗装に塗り替えられました。それはあたかもデビウが同じ20系固定編成客車と同じ色調になっています。

★このスハフ43は(はつかり)の最後尾である8号車に連結されています。3等乗車券と3等特別急行券で乗車することができます。
(はつかり)の編成表はこちらからどうぞ。


★冷房装置の設置はなく、扇風機が4機設置されています。

★客室窓は700㍉の狭窓が各座席に一つずつずらりと並んでいるのが特徴です。このため相客に気兼ねすることなく、窓の開閉、巻き上げカーテンの上げ下げができ、夏の旅行も快適に過ごすことができます。




★車内を見てみましょう。まず白熱灯が左右二灯並列に取り付けられ、夜間でも車内が大変明るくなりました。壁は木目を生かしたニス塗り、天井はクリーム色で塗られているところは従来の客車とおなじところです。

★座席は一方向向きの固定座席です。座席間の間隔は835㍉。
これは転換腰掛を有する2等車オロ35の965㍉には及ばないものの、背もたれの傾斜角度を大きくとり、座席下に空間をつくったことから、足もじゅうぶんにのばすことができて、快適にくつろげる設備といえます。




★座面には背もたれまで、濃緑の純毛製モケットを貼って、頭の部分には真っ白な純白のカバーをかぶせることで、2等車と間違えるほどの特急列車にふさわしい雰囲気を醸し出しています。
背面には個々に折り畳みテーブルもつけられ、3等旅客にとっては至れり尽くせりのサービスです。鉄道愛好者からは「特ロ」をもじって「特ハ」という愛称をもらっています。この腰掛の精神は10月にデビウしたてのモハ20系こだま形電車の3等車に受け継がれました。
※写真はスハフ43と同じ客室設備を持つスハ44形の車内です。
奥野利夫氏撮影

★通路には結核の蔓延を予防する見地からタンツボが備わっています。



★トイレと洗面所は座席車の標準仕様である、車端部にそれぞれ一ヶ所ずつ設置されています。トイレは和式です。


スハフ43 2 大ミハ 特別急行(さくら) 青大将塗装時代 京都  昭和33年3月 奥野利夫氏撮影
▲車掌室後方には新設計の監視窓がつけられました。これはその後作られたスハフ42形や10系客車の緩急車にも引き継がれています。


▲客室の窓は寸法700㍉でずらりと並んだ狭窓です。ひとりひとり気兼ねなく窓の開閉ができます。



▲夜の闇に浮かび上がる特別急行(かもめ)のバックサインです。
中に電灯を入れて照らすスタイルは敗戦前から行われていた国鉄伝統のものです。

昭和30年奥野利夫氏撮影

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