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スロネ30形 2等寝台車

         スロネ30 6 大阪 昭和26年5月 奥野利夫氏撮影


スロネ30 4 東シナ

スロネ30形2等寝台車は、マロネ39形2等寝台車の好評を受けて、昭和26年に10両が製造されました。
このマロネ39は日本人向けの2等寝台車として、3等車を改造し、四人用区分室8室を配置した構造とし、昭和25年4月改正より、急行(銀河)に組み込まれました。マロネ39は運行当初から、
寝台券は売り切れ満席!!の状況が続いたため、マロネ39の追加増備という形で完全新製されたのが本形式です。
車内は側廊下式で、マロネ39と同じく四人用区分室が8室並んでいます。寝台は上下二段が向かい合うタイプです。
2等寝台の旺盛な旅客需要に答えるために、できるだけ定員を多くしようと設計され、寝台定員は32名を確保しています。そのためにマロネ39同様片デッキ式とし、喫煙室はとれないために、廊下に折り畳みイスをもうけています。


スロネ30平面図


★スロネ30形はC2等寝台に分類され、寝台幅は60㌢、長さは190㌢を確保しています。二段寝台のため上下段の高さにゆとりがあります。寝台料金は下段で、3等寝台の下段より600円高い1560円になります。

★マロネ30の最大の売りは車内が区分室になっていることです。区分室といってもバラ売りが基本ですが、家族やグループで4人そろった場合は、他の客に気兼ねなく、貸し切りとして利用することができます。
しかも室内に洗面器がついていないだけで、A2等寝台と同じような個室気分が味わえますから、お値打ち感があります。

★現在東京〜大阪・神戸間を結ぶ(銀河)(彗星)(明星)(月光)に連結されています。なおこれらの列車には、車内構造の酷似したマロネ39形が連結される場合があります。
銀河の編成はこちらからどうぞ。


★2等寝台のC室仕様のため、冷房は搭載されていせんが、それぞれの区分室ごとに扇風機が取り付けられています。各部屋ごとに取り付けたスイッチで、扇風機の入・切ができます。
またベンチレーターも各区分室ごとに取り付けられています。

  
★車内を見てみましょう。区分室内部は壁が従来通りの木目を生かしたニス塗りで、天井は明るいクリーム色になっています、天井中央に白熱灯と扇風機が取り付けられています。

★昼間は上段寝台を下げて背もたれに使用します。長さ190㌢のソファーが向かい合いに並んだことになり、非常にゆったりしています。
夜間はこの背もたれを跳ね上げて、上段寝台とします。上下段ともに高さには余裕があり、寝台で着替えがじゅうぶんできます。

★窓際には大型テーブルが取り付けられ、駅弁などを食べることもできます。





★トイレと洗面所は車端にそれぞれ二カ所設置されています。トイレはすべて和式になっています。洗面所は小型タイルが貼られ、清潔感があります。床下には700㍑入る水タンクを2基取り付けられました。これで運行中に欠水になる心配がなくなりました。

★特筆すべきは、トイレが二カ所とも使用された場合、車内に赤ランプが点灯する「便所知らせ灯」がはじめて設置されたことです。この「便所知らせ灯」はその後生産された10系客車にも引き継がれました。

★できるだけ寝台定員を増やそうと設計されたため、喫煙室がありません。喫煙者のために廊下に区分室の数と同じ折り畳みイス8脚取り付けられています。


▲スロネ30区分室のイメージ写真です。ご覧のような寝台が上下二段で向かい合わせに並んでいます。夜間は背もたれを跳ね上げて、上段寝台とします。窓際には大型テーブルが固定されています。写真では見えませんが、はしごの上には鏡が取り付けてあります。

▲客室の窓は、マロネ40と同じく、長さ1200㍉の大型窓です。
移りゆく車窓がたっぷり楽しめます。今はやりの米語を使って、「ワイドビュー2等寝台車」と名付けてもよいくらいです。
そして床下には欠水対策のため、700㍑入る水タンクを2基吊っているのが目立ちます。
普通急行(銀河)に2両連結されている姿です。
宮原客車区にて奥野利夫氏撮影

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