このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




マシ35形 食堂車

   マシ35 1 特別急行(はと)昭和29年9月 京都 奥野利夫氏撮影



   マシ35 1 東シナ  調理室側


   マシ35 1 東シナ  通路側

マシ35形は昭和26年に敗戦後初の新製食堂車として3両が作られました。
同じ年、基本設計はマシ35と同じで、電気レンジ、電気冷蔵庫を備えたマシ36形食堂車も2両が製造されました。
このマシ36は、翌昭和27年に冷房装置が変更され、自重が増えたためカシ36形に改番されましたが、その後電気レンジ、電気冷蔵庫は保守の手間がかかるため、昭和28年石炭レンジ、氷冷蔵庫に取り替えられ、マシ35形に編入されました。
生え抜きのマシ35は、製造番号が1〜3、カシ36から編入されたグループが製造番号11・12を名乗っています。
マシ35は初の切妻形食堂車であること、屋根板が窓枠上までのびていてウインドヘッダーがないこと、窓枠が金属製であること、などの外観の特徴を持っています。


マシ35形 平面図



★全室食堂の構造になっています。マシ35は特急列車を中心に運用され、料理の価格設定は普通急行よりも高めになっています。
昭和31年の(あさかぜ)の食堂車メニューはこちらからどうぞ。

★昭和33年10月現在
 上野〜青森間(常磐線経由)特別急行(はつかり)
 東京〜大阪間 特別急行(つばめ)(はと)
 に連結されていますが、(つばめ)(はと)はオシ17形定期検査の際 の予備車扱いになっています。
昭和31年11月に特別急行(あさかぜ)に組み込まれていたときの編成はこちらからどうぞ。


★新製の当初から冷房つきで登場しました。製造当初は、マシ35が直接駆動式、マシ36が車軸発電機式の冷房装置を搭載していましたが、昭和32年から本年(昭和33年)にかけてディーゼル発電式冷房装置に切り替えられ、冷房性能が向上しました。

★戦前製の広窓車マシ38形の雰囲気を踏襲した1200㍉の広窓です。
窓枠は金属製となっています。金属製の窓枠は開け閉めが重くなる欠点がありますが、冷房装置つきのため、窓を開け閉めする機会はほとんどなく問題ありません。遮光はカーテンではなくベネシアンブラインドが取り付けられているところが新鮮な感じです。




★内装を見てみましょう。全金属仕様のため、生え抜きのマシ35は青系統、カシ36からの編入車両はオレンジ系統の塗料で塗りつぶされ、非常に華やいだ近代感あふれる室内となっています。

★照明は白熱灯ですが、四角のカバーがつけられた天井灯が3基、窓上部に丸形カバーの壁灯が左右それぞれ5基取り付けられ、夜間でもまばゆい光が料理を照らしています。

★座席は二人掛が片側10席、四人掛が20席あり、食堂定員は30名です。厨房内には氷冷蔵庫、石炭レンジが備わっていています。製造当初は食堂入り口に、満員の場合の待合ソファを通路をはさんだ両側にとってい
ましたが、昭和26年に乗務員室を設けたため、片側のみとなりました。

★食堂業務用の物置を厨房側車端に多くとっています。また乗務員室となりと食堂内の勘定台向かいに床下外気取り入れ口のダクトが通っています。


▲マシ35の屋根上です。食堂内のベンチレーターは3基のみです。
車端と中央部に空気調和装置が取り付けられています。

▲窓枠は金属製で、端には緩いRがついています。
ウインドヘッダーがなく、屋根板が窓のすぐ上までのびています。
▲床下の四角い機械が直接駆動式の冷房装置です。
昭和32年から、性能のよいディーゼル発電式に順次取り替えられています。



▲特別急行(はと)に組み込まれた青大将色のマシ35です。
両隣には新車の軽量2等車ナロ10が連結されています。
昭和32年 
奥野利夫氏撮影

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