このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



スハシ29形 3等座席食堂合造車


スハシ29 104  仙セン   調理室側

スハシ29 104  仙セン  通路側

スハシ29は、昭和8年から昭和10年にかけて製造されたスロシ38000形が前身の3等座席食堂合造車です。敗戦後の昭和24年から25年にかけて3等座席食堂合造車に改造され、スハシ37形を名乗りましたが、昭和28年の客車称号改正でスハシ29形式となりました。本形式のうち二重屋根車は0番を丸屋根車は100番台を名乗っています。
半室食堂車のため、食堂定員が18名と少なく、比較的食堂需要の少ない東北本線や北海道の普通急行列車に連結されています。
また3等室はもともと転換座席を備えた2等室からの改造のため、座席と窓割が合いません。台車は3軸ボギーのTR73を履いています。

▲スハシ29と窓割が同じで、3等室と食堂の間に車掌室および食堂乗務員休憩室を備えたスハシ38形。
昭和31年 京都 
奥野利夫氏撮影


スハシ29平面図




★3等座席と食堂の合造車という珍しい形式です。3等食堂合造車の仲間には、スハシ29の車輌中央に車掌室と食堂乗務員室をもうけたスハシ
38形やオハ35形から改造されたオハシ30形があります。

★上野〜仙台間(東北本線経由)普通急行(青葉)(吾妻)(松島)
 函館〜網走間(函館本線経由)普通急行(大雪)
 函館〜釧路間(函館本線経由)普通急行(まりも)
 函館〜旭川間(函館本線経由)普通急行(アカシヤ)
 函館〜札幌間(室蘭本線経由)普通急行(すずらん)
に連結されていますが、日によってはスハシ38やオハシ30が連結される場合があります。
(松島)の編成はこちらからどうぞ。


★冷房装置の設置はなく、食堂内に扇風機が1機取り付けられています。

★3等室、食堂ともに窓は700㍉の寸法になっています。3等室は元2等室の窓割はそのままで座席だけ取り替えたため、座席と窓のピッチが合わず窓の開閉がしにくい箇所があります。




★車内を見てみましょう。壁は木目を生かしたニス塗り、天井はクリーム色で塗装された一般客車の標準的な仕様になっています。

★3等座席は一般的な向かい合わせの固定座席です。3等室は全部で6ボックスあり定員は24名です。シートピッチは改造室の関係で1660㍉もあり、標準的な3等車であるスハ43形式の1430㍉を20㌢も凌駕し、相客同士膝がぶつかることもなく、ゆったりとした座席配置になっています。

★食堂は片側二人掛け席が6席、片側四人掛け席が12席あり、食堂定員は18名です。厨房内には氷冷蔵庫、石炭レンジが備わっていています。
交通公社の「時刻表」昭和33年11月号から編集した
普通急行列車の食堂車の メニューはこちらを参照 してください。

★照明は3等室、食堂ともに白熱灯が天井中央に一列に並んでいます。食堂車の照明は角形の照明カバーがついたものです。また、3等室通路には結核を予防する見地からタンツボが備わっています。




★トイレと洗面所は3等室側のデッキ横に、各一ヶ所設置されています。
便所は和式です。スハシ29は片デッキ構造で、厨房側車端には、氷冷蔵庫と物置のスペースになっています。


▲スハシ29の屋根上です。調理室上には大型のベンチレーター形換気扇が取り付けられています。

▲台車は3等座席車としては破格の3軸ボギーであるTR73を履いています。3軸台車の走行音が3等客でも味わうことができます。
また車体は溶接技術が発達した今では古めかしくなった、リベットがつけられています。

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