このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

スロ51形 特別2等車

   スロ51 47 京都 昭和26年7月 奥野利夫氏撮影


スロ51 32 門ハイ
昭和25年、国鉄史上初の背もたれを倒すことができる自在腰掛を備えた、スロ60形特別2等車が製造されました。このスロ60は特別急行(つばめ)(はと)に連結されました。
特別2等車は乗客に評判がよく、1等客が特別2等車に乗り換える現象も見られました。国鉄は特別2等車の連日満席の好評を受けて、普通急行列車にも特別2等車を連結すべく、座席間隔をスロ60より狭くとり、定員を増やした普通急行用の特別2等車の増備を計画しました。
それがスロ60と同じ昭和25年に60両が製造された、スロ51形特別2等車です。
さらに昭和27年には特別2等車の決定版というべきスロ54形が登場しました。このスロ54は蛍光灯を備えた豪華な内装を誇る車輌です。
スロ54の増備により、白熱灯を備える本形式は見劣りがしてきたために、現在照明の蛍光灯化や窓枠の軽合金化などの近代化改造工事を実施中です。
写真のスロ51 32は先頃近代化工事を施した車輌です。窓枠が軽合金化されています。


スロ51平面図


★普通急行列車で特別2等車を利用する場合、特別2等料金は不要になりました。2等乗車券と2等普通急行券で乗車できますが、特別2等車は座席指定制なので、別に座席指定料金200円がかかります。

★スロ51形は全国各地の急行列車に活躍しています。。
例えば、上野〜新潟(上越線まわり)間の普通急行(佐渡)の2号車に連結され、となりの3号車の自由席2等車(並ロ オロ35形)と乗り比べてみると、快適さの違いは歴然です。
(佐渡)の編成表はこちらを参照願います。
200円の差額を払うだけで特別2等車の自在腰掛の座り心地を楽しむことができます。
さらに、北海道地区には耐寒設備を施したスロ52形が配置され、道内普通急行に連結されています。


★スロ51形は普通急行用ということで、近代化工事の際、冷房化は見送られました。しかし、3等座席車よりも多い6機の扇風機を備え、夏の旅行に配慮しています。
窓も各座席に一つずつ備えていますから、他の客に気兼ねすることなく窓の開閉ができます。

★窓枠は、昭和31年から量産化されている10系客車に採用されているのと同じ軽合金製ですので、今までの木製の窓枠に比べて、軽い力で窓の開け閉めができます。


★車内を見てみましょう。今回の近代化工事の際、内装は薄いウグイス色のペイント塗りつぶしに変更され車内が明るくなりました。

★さらに、照明は左右2列に取り付けられた蛍光灯12灯を備え、夜も車内に自然な光があふれるようになりました。また夜行列車での使用を配慮して荷物棚の下には読書灯も取り付けられました。

★スロ51最大の売り物が、自在腰掛です。自在腰掛は米国国鉄の車輌をヒントに国鉄と小糸製作所が共同で開発しました。
ひじ掛け下のレバーを引いて背もたれに体重を掛けると、最大45度まで座席を倒すことができます。ここまで傾けた場合、足が不自然な姿勢になって、腰がずり落ちないように足掛もついていて、楽な姿勢で仮眠をとることができます。
座席を倒しても後ろの客に迷惑にならないように、座席間隔は1100㍉を確保しゆったりとしたものになっています。

★自在腰掛は列車の進行方向に合わせて向きが変えられるように、360度回転できる仕組みになっているのも、画期的なことです。
例えば4人での旅行の場合、片方の自在腰掛の向きを変えて並ロの向かい合い座席のように使うこともできます。
座席の回転装置は、列車給仕を呼べばすぐに操作してくれます。

★列車給仕室向かいには荷物保管室があります。重い荷物やかさばる荷物は列車給仕に頼めばここで預かってもらえます。





★便所と洗面所は車輌前方と後方に各一ヶ所ずつ設置されています。製造当初は洋式便所が一ヶ所ありましたが、日本人には不慣れなため、すべて和式便所に改造されました。

★飲み水や酔い止め薬などの服用にも使える飲料水タンクが、デッキ側便所横に備えられています。


▲窓は700㍉の狭窓ですが、隣の窓との間隔があいているため、大陸風客車の印象があります。窓枠は先般の改造工事で軽合金のアルミ製にはめ換えられました。おかげで窓の開閉が簡単にできるようになりました。

   
▲出入り口扉は左写真のようにHゴム支持の軽いものに変えられました。写真右のような従来のプレスドアに比べて開閉がスムーズにできるように改良されています。

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