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第9回 全国和牛能力共進会 宮崎県代表牛決定検査会
【第7区〜第9区】

(07.10.09)
2007年は『全共イヤー』。

・・・とは言っても、このサイトをご覧になって頂いている人のほとんどが「『全共』ってなに・・・?」ってな感じだと思う。では『全共』とは何か?『全共』を正式に言いますと、『全国和牛能力共進会』なる。このイベントは5年に1度開催されるのだが、都道府県毎の和牛の改良方針と改良速度、飼養管理技術の度合いを測る重要なイベントだ。いわば、「和牛の国体」、「和牛のオリンピック」。この祭典で上位入賞ともなれば、生産者にとっての名誉となるだけでなく、出場県に産地としての優位性を寄与する事となる。その名声は直接、その県の銘柄牛のブランドを高める事になり、結果として、農家所得の向上にも繋がっていく事だろう。

第9回全国和牛能力共進会鳥取県大会(以下、鳥取全共)は、本年10月11日〜14日に鳥取県米子市、境港市、西伯郡大山町で開催される。47都道府県全てが牛を出品するというわけではないが、494頭の牛が10月中旬、まさに各県の威信をかけて鳥取県に集結する。

各県の代表と言うだけあって、出場する牛は厳しい審査をパスしなければならない。宮崎県は前回の第8回大会(岐阜全共)で健闘するも、隣県の鹿児島県勢にことごとく上位に行かれてしまったために、宮崎の畜産関係団体は「全ては日本一のためなり」と岐阜大会の終了後、連綿と次回大会に向けての準備を進めてきたのだった。
実際、代表牛の選定も平成18年度から複数回の選考会を開催してきた。

その中において、各地域、数多の牛が選考落ちをしてきたのだが、この夏。最後の選考会が開催された。

このうち、平成19年8月3日に小林地域家畜市場で開催された選考会の模様をお伝えしよう。
小林地域家畜市場での選考会は、全共の出品区分のうち、第7区〜第9区の牛について実施される。

これらの区は肉牛の比較区分であり、種牡牛の有する産肉性等の能力、各県の肥育技術を審査する区分だ。それぞれの区には本牛(出品される牛)と父牛である種牡牛について、月齢と生年月日の制限が加えられている。前者については、第7区〜第9区共通で24ヶ月齢未満の去勢牛、後者は第7区から順にH9年、H12年、H7年の10月1日以降に出生した種牡牛となっている。種牡牛1頭を作るのに5年かかるなどと言われていることから、第7区と第9区については、各県のトップサイアーの能力を、第8区では「若牛後代検定牛群」と定められているとおり、現在検定中の種牡牛候補のうち、これからの活躍が期待される牛の能力を比較するといった感じになるだろうか。

このうち、第7区については肉畜だけでなく、種牛(繁殖牛)についても併せて出品する様になっている。つまり、産肉性、肥育技術に加え、繁殖素牛の素質やそれを管理する技術についても求められているのだ。「総合評価群」と位置づけられている由縁である。
残念ながら私が会場に到着した時には、肉畜の選定は終了していた。出品牛は閉会式に発表になるようだった。

一方、品評会場には第7区の出品候補牛がずらりと並んでいる。17〜24ヶ月齢未満の若い雌牛だ。出品番号の若い順から外貌の各部分についての審査がなされる。

郡市や県の本表会と比較して審査の時間が非常に長い。各地区の応援団は時間が止まった様にも思える審査の様子を黙って見つめているしかない。
21頭の若い雌から4頭の代表牛を選定するのに1時間半を要した。

審査の後、出品者や畜産関係機関の職員はセリ会場と移動する。県や全国和牛登録教会といった主催者の挨拶よりも先に代表牛の発表となった。上の画像は、出品者一同。皆、緊張した面持ちである。

なお、選定牛は以下の通り。

○第7区
第7区は糸北国号(北国7の8−糸秀−隆美)の産子が対象となった。産子や枝肉の大きさから、購買者に人気の種牡牛だ。

 (種牛の部)・「ひろみ号」(小林市、山下広次氏出品)
         ・「さやか号」(小林市、永野博文氏出品)
         ・「ふくひめ号」(小林市、山田真司氏出品)
         ・「ひろこ号」(高原町、入佐久男氏出品)

 (肉牛の部)・「凛号」(綾町、JA綾町出品)
         ・「大國号」(小林市、馬場牧場出品)
         ・「糸安号」(野尻町、山下一二氏出品)

○第8区
第8区で対象となった種牡牛候補牛は安平桜号(安平−隆桜−菊正)。父牛が宮崎県和牛の中興の祖である安平であることから、後継牛として前回大会の茂福号の様な活躍を願いたいところだ。

         ・「光号」(宮崎市、JA宮崎中央出品)
         ・「正太号」(宮崎市、小倉光彦氏出品)
         ・「大平14号」(宮崎市、小倉光彦氏出品)

○第9区
第9区で選出された牛は2頭であるが、その父牛は順に福之国号(北国7の8−福茂−菊安)、日向国号(北国7の8−隆美−菊安)。いずれも、今日の宮崎県産和牛界の急先鋒の位置づけだ。特に福之国号はいくつもの枝肉品評会で上位入賞を果たしている実力牛である。

         ・「糸上福号」(宮崎市、小倉光彦氏出品)
         ・「日向之安号」(三股町、福永昇氏出品)

こうして、第7区〜第9区に出品される代表牛が選定された。彼ら彼女らは全国の和牛産地の代表相手にどのような戦いを見せてくれるのだろうか。
そして、全共の本番も目前となった平成19年10月9日のこと。

夕刻に都城地域家畜市場に生産者や関係機関の職員が集まった。三股町の福永昇氏が出品する「日向之安号」が鳥取へと旅立つのである。出陣式だ。

このようなイベントの場合、華やかな舞台の裏側には当然ながら地元のバックアップが不可欠である。JAや市町村職員、共済組合の獣医さん・・・。

三股町、JA都城の組合長に続いて挨拶をされた福永氏の口から、そういった人たちへの感謝の言葉が述べられる。

そうして、頑張ろう三唱の後、参列した人々達の手に清酒の入ったコップが渡った。健闘の念を込めて、牛の肢や体に酒がかけられた。

いよいよ出発だ。
牛を荷台に積み終わると、トラックはゆっくりと走り出した。

大きく家畜市場の門へとカーブして向かっていく。

皆、トラックが門の向こうへと消えていくまで、目で追っていたのだった。
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