このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

毎回ではあるのだが、会場には「ふれあい広場」が設けられ、県内の畜産関係資材の取り扱い企業、経済連、県の関係団体によるPRブースが置かれる。

結構、最近世に出たばかりの技術、製品が展示されることもあるので、プラプラプラ・・・と眺めて歩くのも楽しい。

県関係のブースでは左の画像の様に“ 地頭鶏(じとっこ) ”の生体が展示されている。

毎回、「共進会が終わったら譲ってくれんか?」という問い合わせがあるようだが、残念ながら防疫上の理由からお断りしているとのことです。
試験場では他の展示もやっていたのだが、気になったのが飼料用のさとうきび。我が国で初めて登録の取れた品種らしいです。うぅむ、草丈が高い。

県内で現場での実証試験を行っているそうだが、生草で20t/10aという収量、一度植え付ければ数年は再生利用できる・・・といった利点があるようです。まぁ、霜に弱かったり、農薬の登録が取れていなかったり・・・という難点もあるようですが。
県の良質たい肥生産流通促進協議会のブース。

県共が開催される年じは、その年のたい肥コンクールの上位入賞者の紹介とたい肥の展示を行っているのだ。

家畜糞尿をただ積み上げておけばたい肥ができあがる・・・ということは無いのは言うまでもない。耕種農家が使いたいのは完熟たい肥である。たい肥調整の作業には機械を使用するので、畜産農家としては燃料代やら・・・と情勢の厳しい中でコスト計算を考えなければならない。

色々と悩ましいところである。
店頭に置いてあった飼い桶なんぞを撮影しつつ、畜産資材を扱う企業のブースを巡る。

気になったのが宮崎市内の コムテック という会社が出している“
牛歩”。牛の行動の変化から飼養者に発情の発言を知らせる・・・というものにゃのですな。牛の発情というのは「発情の見逃し=収入の減(子牛生産が後にずれる)」と直接的に利益に跳ね返ってくる重要事項ですから、農家の関心が高いです。

これについては、宮崎県内ではよく知られているのだが、畜産農家との農商工連携事例として、国の農商工等連携促進法に基づく認定を受けております。同法の認定は食品などのサービスが目立つだけに、ある意味異色だったりします。
その間、肉用種種牛の部の第1類(生後12ヶ月以上17ヶ月未満の黒毛和種の雌の部)の比較審査の時間が迫る。待機場では牛の手入れが佳境に入っており、準備の完了した出場牛から審査会場に送り出される。
地域の代表である牛だ。手入れをするのは農家だけではない。全ての地区でJAの技術員はもちろん、市町村職員まで作業に加わっている。

私も経験があるのだが、こういった手入れの作業。事前に作業の打ち合わせなどはしていないはずなのに、いつの間にか流れができあがっているのだ。ベッドの設営から湯拭き用の湯沸かし、せっかく手入れをした牛の体が汚れない様、排泄物を受ける(当然、素手ではありません。肥料袋と竹で作った“受け”があるのだ)。

一丸となって牛の体をきれいにし、全身を使ってブラシをかけてやれば“代表牛”のできあがりとなる。
審査会場まで送り出すまでの過程はそれぞれだ。

記念撮影、多くの人の応援があって送られる牛。

出場する出品者の顔が緊張しているからなのだろうけれども、会場に入る直前の雰囲気というのはともかく張り詰めていた。
審査が始まった。日本和牛登録協会の審査員による厳密な比較審査がこれから始まるのだ。

第1類には24頭の牛が出場しているが、それぞれの審査が完了するまで出場牛はじ・・・っと待機していなければならない。体の各部が和牛本来の姿形をどれだけ表現しているか、その成長が和牛本来の発育に即しているか・・・というのが個体の比較審査なのだが、和牛の審査では加えて「素質」なり「品位」という点においても優劣を付けることがある。

一昨年、鳥取県米子市で開催された全国和牛登録共進会において、宮崎県が飛び抜けた成績を出した要因の第一に形質が挙げられると思うが、審査中もソワソワしない、動かない・・・という牛の姿勢も十分加味されたと思っている。
そのためには生産者の日頃の管理、調教といった見えない作業が大きな役割をする。

家畜であること以上に家族として牛を扱った・・・という話を年配の方から聞くことがある日本の牛養い(うしやしない)だが、和牛についてはこの様な品評会を見るに付けて、そういう世界が変わらず存在している様にも思える。

それが悪い方向に働くこともあるのだが、日本独自の畜産の世界を守るということには本質的な部分で変わらないで欲しいと思う。
さて。

肉用種は翌日に比較審査の格付けが持ち越されたのだが、第1類(生後12ヶ月以上17ヶ月未満の黒毛和種の雌)と第3類(母娘セット)において、西諸県地域の牛が選出され、この両部門をもって見事、第55回の県畜産共進会の地区優勝を飾った。

ちなみに、第2類(生後17ヶ月以上22ヶ月未満の黒毛和種の雌)では都城市の牛が選ばれており、全共イヤーであった前回大会とはがらりと違った結果となったようである。
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