このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

西都ん バナナん バナナ!
(05.07.16)
ある日、昼休み。回ってきた回覧の中に混ざっていた『現代農業』という冊子をパラパラとめくっておりました。ふと、その中のある記事に目がとまる・・・。

「国産バナナ!?しかも西都市で!?」

こんなにも身近な所でバナナ栽培が行われているとは知らなかったのですね。
行ってみたい、食べてみたいと思っていたのだが、 西都農協 のAコープには売っていない(というか、売り切れ・・・)し、ハウスの場所も分からない・・・。仕方がないのであきらめていた部分はあったのですね。

それから数ヶ月が経ち、奇縁にも国産バナナ栽培に取り組まれる遠山美利さんのハウスにお邪魔する機会ができたのだった。念ずれば・・・である。うししし・・・。

遠山美利さんの本業はキュウリ栽培と和牛の繁殖牛農家だそうだが、バナナ栽培に取り組まれたのは2001年から。ただし、ぱっと思いついたわけではない。
遠山さんのバナナは今では地元西都農協をはじめ全国に販路を持っているそうだが、販売当初には販路や輸入バナナとの競合といった課題が立ちはだかった。その時は幸運にも時代が後押しをしてくれ、西都農協のAコープ内にある農産物直売所を皮切りに、宮崎市内や新宿にある県のアンテナショップ「KONNE」での取り扱いが始まる。その後は宮崎県経済連による販路の紹介や、マスメディアに取り上げられたことで、徐々にバナナを通じての人の輪が広がりつつあるという。自身が運営する ホームページ での通信販売も徐々に伸びているとか。

「安全で美味しい国産バナナの栽培はもちろんだけど、バナナ栽培の同士を増やしたい。」

そのように今後の夢を話してくださったが、個人的にも国産のバナナ栽培は面白いと思った。遠山さん曰く、「宮崎でもバナナ産地が形成される可能性はある。」とのこと。マンゴーの一大産地としてで全国的な知名度がある西都市だけに今後の成り行きが気になるところである。

最後になりましたが、遠山さん、お忙しいところありがとうございました。
遠山さんがバナナにであったのは今から15年前だそうで、その時の主に栽培していた作物「ピーマン」の価格暴落がきっかけだったとか。

これまた価格が芳しくなかった夏作のハウスみかん栽培の農家と共に(遠山さんはみかんを栽培していなかったそうですが)、みかんに替わる作物の検討に行った視察先(県の農大)でバナナを見て、「これだ!!」と思ったそうだ。
その時、同行の農業後継者はハウスの中で一緒に植えられていた高級ブドウに関心が行っていたらしいが、視察を終えた遠山さんは「いつか・・・。」と栽培のきっかけを待ち続けたという。

転機が訪れたのが上記2001年で、区画整備事業を機に30アールのバナナ専用ハウスを整備したそうだ(当然周囲や家族の反対もあったそうだが、押し切ったらしい・・・)。
ハウスの中には等間隔にバナナの株(反当60本ほど植わっているらしい)が並ぶ。今は園芸品種としても知られる“三尺バナナ”という品種を栽培しているそうだが、1本の幹はがっしりと太い。本当に草の類なのか。木と言った方が良いのでは?と思うのだが、れっきとした熱帯性の多年草である。バナナの“房”は新しく出てきた芽に1つ付く。ハウスの所々で収穫を待つバナナが初夏の日差しを浴びていた。バナナを収穫した後はその芽も枯れるだけなので、切り倒してハウスの中に肥料としてまくこととなる。

栽培を手がけた当初は苗の入手から栽培方法まで全くと言っていいほど情報がなく、沖縄の農業改良普及センターに電話をしたり、インターネットで調べたり・・・と独学しかなかったそうだ。最初に導入した品種も思ったよりも大きく生長してしまい、ビニールハウスの屋根を突き破ってしまったとか。

大きく広がったバナナの葉の下にはニワトリが放され地面をつくじっている。これはヨトウムシなどの害虫対策なのだそうだ。
これが三尺バナナの花。芭蕉の花は時折見ることがあるが、それと比べると結構巨大でにょろん・・・と出ている。

先ほど、害虫対策でニワトリを放しているということを書いたが、現在国産のバナナには認可が取れている農薬はない。日々、害虫・病気との闘いなのだそうだが、話を聞いている最中も遠山さんは炭そ病にかかった実をちぎっておられた。
結果的には無農薬栽培なのであるが、それほどまでに病害虫のダメージは大きい。遠山さんは栽培当初から西都農協で簡易土壌分析を定期的に実施してもらったり(土壌管理の徹底ですね)、農薬に頼らない栽培を目指して現在ではキトサンの利用や土壌への微生物の散布などに取り組んでいる。

そのような試行錯誤の結果、「(遠山さんの)バナナを食べても、子供にアレルギーが出ない。」といった購入者のうれしい声が聞かれるようになったそうだ。

収穫したバナナはまだ青い。このまま食べると渋くて大変なことになる(口の中がいがいがになる。これ体験済み)ので、実に少し色が付くまで自家整備の追熟施設で追熟させる。私は食べたことがないが、聞けば、輸入バナナと比較したときに香りや味が強いという。
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