このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

責任を持って
生き物を扱う人たちへ。

(2004.02.22)
1月の山口県での高病原性鳥インフルエンザに続いて、先日国内2例目の感染が大分県の九重町で確認された。ただ発見されたのではなく、民家の軒先。つまり愛玩用として飼われていたチャボからウイルスが検出されたのである。大分県は家畜保健所への通報があった後、その家庭で飼われていたチャボとアヒル1羽を殺処分、半径30kmの地域を移動規制地域とし、伝染病蔓延を防ぐための対策を取っている。

東南アジアでのインフルエンザ発生の報道があってから、非常に嫌な予感がしていた。絶対に野山に鶏を棄てる輩が出てくると。ある日、職場へと帰る車の中。茂みの中に白い物が見えたので車を停めた。やはり鶏であった。全部で8羽程いようか。付近に民家は1戸もない。状況から考えて完全に棄てられたのだ。
犬や猫を棄てるという行為に対してに対して、昔から悪いことと分かっているし嫌悪を抱いている。ずっと「責任を持って飼えよ!!」という考え方だ。小学生の頃から犬やらセキセイインコやら飼っているが、我が家のペットは、飼えなくなって人に譲ったり、逃げたりした物を除けば全て天寿を全うしている。途中で飼育を放棄するということは決してしていない。

確かに東南アジアで人間が死んだりと猛威を奮っているインフルエンザだ。庭でえさをついばんでいる鶏がウイルスを保菌していないとは限らない。人間に感染したら・・・と恐怖を覚えるのは理解できる。しかし、自分たちの所で“自主防疫”対策をとったのか?ネットなどを用いて野鳥との接触を断っていたか?禽舎の清掃や消毒を行うなど衛生的な環境で飼養していたか?鶏を棄てた輩にはいろいろと聞いてやりたい。
ペットの鶏を野に棄てることでどのようなことが起こるおそれがあるか、考えたことがあるか?県にしても小頭羽の養鶏農家の把握と羽数の確認は終えている。しかし、生産農家以外の個人についてはまだまだ情報収集が不足している状態だ。野山に鶏を棄てることで、感染防止のための網をくぐり抜けてウイルスが流行するきっかけとなる。防疫を行っている行政や養鶏産業の人々を裏切る行為であることは言うまでもない。
防疫の立場からだけでこのような文章を引っ張り出したわけではないのである。私が言いたいのは生き物を扱う人の在り方なのである。

上にも書いたように、「最後まで責任を持って。」ということなのだ。それに至るまでにはそれぞれの事情や思いという物があるであろう。だが、一度生き物を飼養することになったなら、その生き物が死ぬまで面倒をみる義務が課せられるのだ。こういったこと(本来なら極々簡単なことであるのだが)さえ出来ない輩は、生き物を飼う資格なんて無いのである。
狂牛病の発生当初、ホルスタインを放置し野良牛にした酪農家がいたが、お前らいったい誰に喰わせてもらってたんだと聞きたい。乳価が低くスーパーなどで牛乳が投げ売りされる時代だから、経営が厳しいのは分かる。だからといってやって良いことやっちゃいけないことがあるのだ。
 
最後に捕獲されたこのような生き物がどのような最後を迎えるのか書きたい。引き取り手や持ち主が現れない場合は、家畜保健所や市町村の保健所で炭酸ガスによる安楽死処分となる。

一度そういう風な場所へ行ってみると良い。生き物を飼うという責任の重さを、とても痛く知ることになるから。そしたら、安易に生き物を棄てるなんて出来なくなるだろう。

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