このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

Takachiho Railway 雑想
TR高千穂鉄道 は平成元年4月28日に運行を開始した第3セクター鉄道。それまでは国鉄〜JR九州の高千穂線(昭和47年までは日之影線)といって、九州大陸横断の使命を持った路線であった。当時国鉄の不採算路線リスト(廃線対象)に入っていながらも意地を張るが如く工事は続けられ、昭和47年に高千穂駅が開業。更に先、熊本県の高森まで来ていた高森線と繋がる予定であったが、昭和50年、到達目標目前の高森トンネルにて工事中に水脈をぶち破る大出水事故を起こし、九州横断という夢も遂についえてしまった。

昭和59年。九州入りした私にとっては東九州を走る鉄道は全くといって遠い存在。知っていたとしても、日豊本線を走る“にちりん”とかブルトレの“富士”等というメジャーな列車ばかりである(その割にはマイナーな最後のSL急行“日南”なんて言う言葉を知っていたり・・・)。高千穂線にしても線の名前を知っていたにすぎなかった。さすがにかの有名な川底から105mと鉄道橋としては日本一の高さを誇る高千鉄橋の写真を見た時にはビックリした。しかも、鉄橋のちょうど真ん中で列車が停車し、乗客にちょっとしたサービス(高所恐怖症の人には堪らないだろうな。サービスどころか拷問。余計なお世話だろう・・・)をするなんて粋な話を聞いた時にはビックリを通り過ごして腰を抜かした。

後日、色々と資料を買い求めて、キハ20という両運転台の気動車が走っていたこと、影待駅というまさに“秘境駅”と言う言葉がぴったりな駅があること・・・。五ヶ瀬川と寄り添うようにして走る風光明媚な車窓と併せて色々なことを知ってしまったのですね。・・・でもこうやって宮崎に住むようになってもなかなか乗車する機会がない。

路線的な魅力を感じても、なかなか乗車する機会がない・・・というのは地元に住んでいる人間ならではの感覚だろうか・・・と思ったりする。宮崎は自家用車天国であるから、何処へ行くにもドライブとなってしまう。また、高千穂という地元観光地の存在。なかなか地元の人間というのは自分の県にある観光地には行かないもので、もしかしたらこの項をお読みになってくださっている宮崎の方々の中には「行ったことがねぇが!」という人もおられるかも知れませんね。・・・これって言い訳?(自爆)。

まぁとにかく、この鉄道のロケーションは素晴らしい。特に北川町へ入り、五ヶ瀬川と併走を始めてからがすごすぎる。青緑の水面を見ながら、はるか頭上をまたぐ国道218号線の道路橋を見上げながら・・・。高千穂に行く時には高千穂鉄道を川の対面に見ながら併走する離合不可能な道路を走ることが多いのだが、くねくねと続くレールを見ながら「すごいよねぇ・・・。」とため息をついたことがある。鉄道趣味人だけでなく、一般的な嗜好を持つ人でも十分に楽しめる路線だ。しかも今ではトロッコ列車が走っている。風景を寄り身近に感じることが出来る。

現実的な話になるが、高千穂鉄道は沿線の過疎化、モータリゼーションの影響をもろに受けただけでなく、頼みの通学客も少子化という社会現象によって減少している。ロケーションの素晴らしさ、高千穂という九州でも有数の観光地、日之影温泉駅などの話題性に富んだ駅を持っていても、毎年数千万円という赤字に悩まされている状況が続く。NHKのドラマの放映効果や観光地“高千穂”の盛り返し、トロッコ列車の投入による集客などの後押しはあるが、このような経営状況が続けば後々地元の人の足が失われる可能性すらある。

応援しています・・・といった月並みの言葉しか書くことが出来ないで申し訳ないが、とにかく頑張って欲しい。九州にもこんな素晴らしい鉄道があるんだぞ・・・と直に乗って子供に教えてあげたい。これまで数カットを撮影したに過ぎないが、もっともっとカメラを持って線路端に立ちたい・・・。欲望は尽きないが、(言葉を繰り返すけれども)頑張って欲しいのだ。皆さん、宮崎にお越しの際は是非とも高千穂鉄道に乗車しましょう。

この項のtop。早日渡(はやひと)駅に入線した延岡行きの下り列車。それにしても何というのどかさだろう・・・。ニッポンの正しいローカル線風景というのはこのような物を言うのかもしれない・・・。
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(05.05.21)

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