このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

10月10日の10時30分。

本来、宮崎駅を発車する時刻は11時10分であるが、本日は運行初日でもあり、出発式が開催される。出席される面々も地元宮崎や国の行政機関、JRの執行部・・・と非常に豪華な顔ぶれであった様だ。10時ちょっと前にホームに立ったのだが、すでに式が開催されるホーム先端には人だかりができていて、スタッフが音声のチェックや進行の打ち合わせをやっている。鉄道趣味人や1番列車に乗る乗客だけでなく、単に列車を見送るが為に入場券を買い求めた人も多数いたと思う。

その人だかりは宮崎駅4番ホームに本日の主役である特急「海幸・山幸」が入線してきた頃にピークとなり、和やかな雰囲気の中で進んでいく出発式の様子を見守っていた。
ここで、特急「海幸・山幸」について触れようと思う。

11時10分に宮崎駅を発車した列車は12時53分に終点の南郷駅に到着するまでに、8つの駅に停車する。そのほとんどが日南海岸の有名観光地の最寄り駅となっている。

また、沿線の車窓は日向灘、そして山間部、再度、日向灘と港町・・・と目まぐるしく変化していく。季節によっては風景がきらきら・・・と輝く風光明媚な路線だと思う。

また、列車愛称となった古代の兄弟神と縁のある神社も沿線に点在しているのも特徴。そういった神社は残念ながら駅からは遠い。だが、安心めされ。JRと地元バス会社の宮崎交通がタッグを組んで、お得な切符(2500円)の発売を始めている。基本は列車での往復となるが、往路、復路でのどちらかに限って併走する宮崎交通路線の観光バス「にちなん号」を利用することができる。

先に書いたとおり、鵜戸神宮や堀切峠など、JRの路線から外れた観光地を経由する(しかも観光のための時間も確保)ので、欲張りたい人にはお勧めの切符だろう。
開会式には、九州の交通機関関係を管轄する九州運輸局、JR九州の唐池社長をはじめ、ドーンデザイン研究所の水戸岡氏が出席。宮崎からは宮崎駅長はもちろん、日南市の谷口市長ら沿線市町村の首長に加え、なんと東国原宮崎県知事もいらっしゃってました。この他、先日の全日本国民的美少女コンテストでグランプリに選出された 工藤綾乃さん も1日宮崎駅長として式に臨んだのにはびっくりやったですが。

式は宮崎が誇る和太鼓集団「 響座 」のジュニアクラスが叩く和太鼓の演奏から始まった。昨年の第10回大会に続き、本年3月に開催された第11回日本太鼓ジュニアコンクールにおいて連覇を成し遂げた実力派なのである。笛の音と重奏な和太鼓の響きが宮崎の青空に響き渡るのだが、列車愛称が愛称なだけに、今から神事が始まるかのような緊張感が感じられた。

画像を貼ることができればよかったのだが、残念ながら撮影のポジショニングが非常に悪くてですね・・・。すまんこつです。
その後、主催者側挨拶として唐池JR九州社長、来賓として九州運輸局、宮崎県知事あいさつ・・・と続く。

社長の挨拶からはJRの意気込みというのが感じられたし、社会の動きに対する鉄道会社としての危機感、緊張感が感じられた。
知事は相変わらずのスピーチの上手さである。

エスプリを効かせつつ、合間で県特産品である杉材(なんと、生産量全国1位なのですよ)の宣伝をしたり・・・とちゃっかりしていた。色々と騒動はあったが、注目度としてはピカイチであって、知事あいさつの瞬間がもっとも人が集まっていたように思える。

この後、知事は式終了まで臨席し、列車を送ってからの退席となった。さすがなのは人への対応の姿勢であって、スケジュールで時間がないにも関わらず、県外からの観光客の記念撮影のリクエストに気軽に応じるあたりは頭が下がるばかり。
当日、宮崎駅の1日駅長を務められた工藤綾乃さん。やはり存在感がありましたわ。

出発式に先だって開催された1日駅長の就任式、そしてその後の出発式での「出発!」の号令・・・と大活躍だったようです。

ファンの方々がご覧になられていた場合、下手な写真で非常に心苦しいのですが、手持ちの古い200mmズームではコレが限界でした。まさか、直接話しかけて目線をもらうわけにもいかないしねぇ・・・。
そして、まもなく列車は出発の時刻となるわけだが、ホームはこんな感じでごった返していた。それだけ関心が高い・・・とういう事だろう。

実は長男を連れてきていたのだが、撮影が一段落して後ろを振り返ってみて仰天。いつものペースで動き回っていたら、確実に迷子になっていたはずだ。
そうして、駅員の「列車が発車しますので黄色い線より内側に入ってください!!」という誘導の声と共に白い列車がゆっくりと動き出す。宮崎市周辺ではキハ40系列のけたたましいエンジン音しか聞いていないだけに、この特急のエンジン音はどちらかというと軽やかにも思えた。

ホームにいる多くの人が手を振って出発する列車を見送っているのに応えるように、車内の乗客が笑顔で手を振り返してくれるのが見える。列車は次の停車駅である南宮崎に向けて走り去っていった。

これから最初のハイライトである大淀川の鉄橋が待っている。



さて・・・。

ちょうど今の季節は伊勢エビの漁が解禁となったばかりで賑やかな頃だ。その季節以外にも目井津や南郷、油津の港で水揚げされた新鮮な魚貝を楽しむことができる。春は北郷付近の新緑が美しいはずであるし、飫肥の城下町も散策に季節を問わない。

特急列車が運行されるのは週末と祝祭日中心ということであるが、この列車が日南海岸の観光の浮揚にどう作用していくのかが興味深い。この列車の登場により、しばし宮崎は脚光を浴びることになると思う。起爆剤としては有効ではあるが、地元にはこれに寄りかかるだけでなく、積極的に観光客の獲得、リピーターの獲得に努力してもらいたい。

それにしても、一度は乗ってみたいですな。それに、沿線の風景もすばらしいので、機会があればこの列車をその風景と絡めながら撮影していきたいと思います。

ある程度貯まったら紹介したいと思いますので、お楽しみに。
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