このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

盆地へと下りてきた。

チェックインの時間が迫っていたのであるが、せっかくなので、金鱗湖近くの駐車場に車を駐めて散策を楽しむこととした。宿の方へは一応、遅れる旨の連絡を入れる。

時間が時間と言うこともあり、湯の坪界隈は観光客で溢れている。すれ違う人の話す言葉が聞き取れない・・・と思ったら、アジア圏からの観光客のようだ。外国人観光客は年々増えていっているように思えるが、地元としてはどうなのだろうか。宿でもマナーが描かれた紙が必ずと言っていいほど部屋に置いてあるし、現に私の前を歩く集団はあまり人の往来を考えていないようだ。

ちょっと気になっただけであるが・・・。
亀の井別荘 の鍵屋を覗き、何か面白いモノはないか・・・とうろちょろしていたのだが、棚に並んでいた ことことや のジャムが気になった。うぅむ・・・。デラウェアのジャムか・・・。あまりブドウを使用したものを見たことがなかったので、レジで会計を済ませる。
中庭に出ると、午後の太陽の光にモミジが良い感じの木陰を作っていた。金鱗湖を散策する人の声が聞こえなくなるほどの落ち着いた空間だ。

配されたテーブルにはクロスがかけられ、『
深緑ガーデン』と書かれたメニューが置かれている。かき氷に冷やし白玉ぜんざい・・・。かき氷にかかるシロップが美味そうだったが、今思えば食べれば良かった・・・と後悔していたりして(自爆)。

しばらくカメラを構えるなどしていたのだが、そろそろ宿へと向かおうと嫁が言う。

へいへい・・・と下の子供の手を引いて駐車場へと歩き出した。亀の井別荘から出ると、強い日差しが目に入る。人々の笑い声が急に大きくなった。
そうそう。散策の途中感じていたのが観光ではない別の形での賑やかさなのだ。盆地全体が浮かれているというか、このような物を見てしまえば納得してしまうのであった。
ゆふいん蝗攘まつり』。

盆地の夏祭りである『ゆふいん盆地まつり』の一環として開催されるようであるが、蝗攘というのは“蝗(いなご)”を打ち払うという文字が表すとおり、農村文化でいう中の虫追い神事だろう。田を食い荒らす虫を追い払う・・・というもので、五穀豊穣を願う祭である。虫を追うための火を焚く準備が大分川沿いで進められていたが、日が高いうちの様子よりもそれがどのような感じで闇夜を照らす・・・というのを後で紹介する方がいいかもしれない。

あぁ、街角で目に強烈な印象を残したのがこの藁人形。
なんともいかめしい顔立ちの人形であるが、彼の地では“実盛どん”と言われています。

実盛とは源平合戦に登場する平家方の武将“斉藤実盛”の事を指すのだが、祭の中では山笠や牛の背中に乗せられて盆地を練り歩き、最後には焼かれて、その魂は天に昇っていくという。

斉藤実盛が“蝗”の化身として伝えれているのは、合戦中に乗っていた馬が稲の切り株につまずいたところを討ち取られるという最期を迎えた・・・という伝承によるもの。

あまり民俗学には明るくはないが、長いこの国の歴史の中で脈々と受け継がれてきた目に見えぬ物への“畏敬”というのが感じられる行事である。畏怖の対象を祀り、現世利益を願うという御霊信仰が農村部の信仰と絡み合っている。
ちなみに、『ゆふいん盆地まつり』は祖霊を送る霊送りの行事だ。蝗攘まつりについては、一度明治期に習慣が途絶えた物を昭和57年に現代風にアレンジして復活した物らしいが、もともとは田植え後に行われていた農耕神事だ。記録を調べた訳ではないので推論に過ぎないのだが、由布院盆地でも例外でなかっただろう。
今回の宿は由布院駅から少し歩いたところにある“ いよとみ荘 ”。料理の質、その割にはリーズナブルなご料金・・・と非常にコストパフォーマンスが高く、ここの所はここばかり泊まっている。施設的にはネットのクチコミで書かれている様に古さを感じさせる部分はある。老舗の旅館であるが、アットホームな感じが非常に居心地の良く、のんびりと過ごすことのできる良宿だ。

チェックインして程なく夕食。1階にある食堂へと家族で向かった。
今回は焼肉のプランを選択したのであるが、普通の普通の宿ならば焼肉がメインの料理ってなわけで肉を焼いておしまい・・・となるだろう。

食堂の卓につくまではそう考えていたのである。事実、盛られた肉は和牛(脂の甘みからそう判断した)、豚、鶏と大盛りである。だが、認識が甘かった・・・。
画像は魚の南蛮漬けだが、このような感じで刺身から焼き物までずらりずらり・・・と10品目くらいが運ばれてくるのである。

料理の味は素晴らしいのでこれだけでご飯が進むのであるが、これに加えて焼肉を食べなければならない(爆)。ご飯がいくらあっても足りないのである。

戦力として期待していた長男(とはいっても幼稚園児なのだが)や嫁は早々にリタイアし、まだまだかなりの量が残る焼肉と対峙したとうちゃんなのであるが、限界を超えたのではないか・・・と感じられたくらい頑張ったのだ。

正直、しばらく焼肉はいいや・・・と思わせる感じのボリュームであった。画像が無くて申し訳ないけれど・・・。
< 次へ行く >

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください