このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

さて、今回の交通社会実験。

現在の湯布院町については、当初「亀の井別荘」の中谷氏や「玉の湯」の溝口氏らが目指した“滞在型の観光地”から大きく離れ、今は“立ち寄り散策型の観光地”としてすっかり定着してしまっているのが実状である。頑なに従来の方針を守っていくことも一つのあり方だが、新たなリピーターを獲得していくには何かしらの変革が必要になってくる。これに対応するべく、今後の観光地「由布院」のあり方を模索する物としては有意義な物であったと思う。


ただ、準備期間において地元に対しての説明は行われたであろうが、町を訪れる観光客については十分な認知が得られたのだろうか。私自身、この実験のことを知ったのはたまたま町のHPを開いたからである。もし私が何も知らず峠を下ってきて、「車輌規制」の案内を見たらギョッとする。実際に由布院に行ってみて初めて知ったという人も多かったのではないだろうか。


また、実際に街の中を歩いていて気になったのは、車輌規制地域内の車である。由布院という観光地の特性として、地元の生活空間の中に土産物屋が散在することが挙げられる。つまりは真の意味で地域の暮らしと観光が密接な関係にあるということであり、たとえ外からの車輌を規制したとしても観光客の往来が地元の流れを妨げることもあれば、地元の車が観光客の横をかすめたりもするのだ。今回の交通社会実験の一つの目的として「観光客が安心して歩ける」とあったが、この地元と観光の共存についてはもっと議論を深めて行くべきだと思う。

〈 End 〉
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