このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
家族で山岳修行 「投入堂」参拝登山 2011年7月
投入堂〔ナゲイレドウ〕の存在を知ったのは、昔のJRのポスターです。 断崖絶壁の中腹に張り付いたお堂の姿を見て、一瞬にして心を奪われました。
投入堂という名は、三徳山三佛寺〔ミトクサンサンブツジ〕の奥院の通称で、 修験道の開祖「役行者」が、お堂を法力で断崖絶壁の岩窟に投入れた、という伝承からきています。
投入堂の姿を見るには、修験者となって険しい山道を踏破しなければなりません。 但し、登りの所要時間は約1時間と短く、ゆっくり登ることもできそうなので、 夏休みのイベントとして、家族全員で投入堂参拝の修行にチャレンジしました。
まず、長い石段を登り、参詣者受付案内所で志納金(大人1人400円)を納めます。
案内所を過ぎると、「皆成院」「正善院」「輪光院」という宿坊の前を通るのですが、 この宿坊は一般の人も利用可能で、精進料理も食べれるそうです。 ここに前泊しようかとも考えたのですが、座禅したくなかったのでやめました。
そしてまた長い石段をいくつか登り、本堂に着きます。
本堂裏手の三徳山入峰修行受付所に行くと、まず靴のチェックを受けます。 サンダルやヒールのある靴は不可と聞いていたので、全員運動靴を履いて来たのですが、 妻の靴だけが、裏面に凹凸が無いということで、ワラジ(500円)を履くよう指示されました。
名簿に住所や氏名を書き込み、志納金(大人1人200円)を納めると、 これを肩にかけて登って下さいと、六根清浄〔ロッコンショウジョウ〕と書かれた輪袈裟〔ワゲサ〕を渡されます。 六根とは、人間の認識の根幹である眼・耳・鼻・舌・身・意のことで、 つまりは入山して世俗との接触を断つことで、魂を清らかにするという意味のようです。
さて、輪袈裟を肩にかけて、妻だけはワラジに履き替えて出発です。 投入堂参拝登山入口
いきなり急斜面、そしてその後も急斜面の連続展開、さすが修行道です。
右のような足場の悪い所ではワラジが活躍しました。運動靴より滑らないようです。
木の根をつかみ、木の根に足を掛け、まるでアスレチックです。
景色も開けない急斜面の険路を、標高にして100m以上一気に登ります。 岩肌をよじ登る所や、1人ずつ鎖を使って登る所もあります。
そして文殊堂〔モンジュドウ〕に到着。 文殊堂は、懸造〔カケヅクリ〕という崖からはり出して建てる建築技法で大きな岩の上に立っています。 堂内で1567年の墨書きが発見されたことから、室町時代後期に建てられたと推定されています。 それにしても、この柵の無い回り縁、雨を流すため微妙に外に傾斜しているので怖さ倍増です。 風が涼しくて気持ちいいのですが、下は岩場で高さは10m位あるので、落ちたら死にます。
また少し登って鐘楼堂〔ショウロウドウ〕に到着。 3トンもある鐘をどうやってここまで運んだのか?費やした労力を想像すると途方に暮れます。 写真は岩の窪みのお賽銭に目がくらむ我が子、まだまだ修行が足らないようです。
また少し登って観音堂〔カンノンドウ〕に到着。 見事に岩窟のサイズに収まっています。 お堂の裏側の暗闇を通って先に進みます。
観音堂を過ぎて、山肌に沿ってコーナーを曲がると、いきなり投入堂が目に飛び込んできました。 ここまでチラリとも姿を見せず、最後の最後で急に姿を現すのも、意図的な演出なのでしょうか? 今まで写真で何度も見たことがある姿のに、やはり本物には感動しました。 写真右下の黒い柵から先は危険なため立入禁止、投入堂は人が登れるギリギリに所に建っています。 近年、年輪年代測定法によって、平安時代後期(約1300年前)に建立されたことが立証されたそうです。 建物は2つあり、右側は蔵王殿〔ザオウデン〕、左側は愛染堂〔アイゼンドウ〕、いづれも床下から入るそうです。
(左) 記念写真 (右) 家族を置いて、1人で岩肌を限界までよじ登って撮ってみました。
下りは楽でしたが、終わりの頃には足がガクガクになっていました。 輪袈裟を返して修行は終了、ワラジは買い取りなので持って帰りました。 家族で体験した山岳修行、怪我も無く、良い思い出になりました。
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