案外近くの人だったりする、ってかそんな話。
高校時代の同級生だったY氏が、1年のブランクを経てうちの大学に入った。
同じ大学になったのはかなり偶然だが、
それでも地元を離れたところで同郷人がいると心強いものである。
3月、実家が金太郎のふるさとである彼が千葉まで通えるはずもなく、
当然ながら千葉で一人暮らしを始めることになった。
そんでもってあるときメールを送ってみると、こんなやりとりが。
「もう住むトコ決まった?」
「決まった決まった。ハマちゃんトコより全然広いよ。」
「・・・マジかい。いいな〜」
「まあね。ってか今度遊び来てよ。ヒマだから」
ということで遊びに行くことに。
2DKという学生にあるまじき広さに嫉妬しつつ、ムダに多いインテリアの自慢話に嫉妬しつつ、ついでにうちの部屋の狭さを指摘されて嫉妬した。
ホント、うらやましいくらい広い部屋である。
ところが彼によると、ここには一つ難点があると言う。
どうやら隣りにキャバクラ嬢っぽい女性が住んでいるらしい。
特に問題があるわけでもないが、あまりいい気分ではないらしいのである。
まあワタシはただ「贅沢言うな」って感じではあったが。
大学が始まってからもちょくちょく彼のうちに遊びに行っていた。
しかし、会ってその話が出るたびに、
「なんか夜とか音楽うるさいし・・・」
とか、
「しょっちゅうヤンキーっぽい男が泊まり来て、『おかえり〜』とか言ってる」
とか、そんな内容ばかり出てくる。
そんなワケで、だんだんちょっと可哀そうになってくるのであった。
入学式から2ヶ月が経ち、6月に入った。
彼は野球部のエースデビューをし、ワタシはミ○グ君デビューをした。
そんな中、一度会う機会があったので、話のついでに隣人のことを聞いてみた。
するとこんな答えが・・・
「そういやそのキャバクラ嬢ってさ・・・」
「あ、あれキャバクラ嬢じゃなかった。」
「えっ?」
「俺んちの隣り、Hさん(男)の部屋なんだって」
・・・そのHさんって、うちのクラスで席2つ隣りのヤツなんですけど。
しかもオンナの部屋じゃなくてオトコの方ですか!
ついでにH氏の彼女もクラス内だし。
どう見てもキャバクラ嬢ではないんですが・・・。
なんともえらい勘違いである。
・・・・・・
それから相も変らぬ日常が続くわけだが、クラス内で「ヤンキー」の彼と「キャバクラ嬢」の彼女のカポーを見るにつけ、なんとなく複雑な気分になるのであった。
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