このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

話の種


消費者を殺してしまえ と思っているのか?な?

ある日。 通りがかりの大きいスーパーへ入ってみたら。。。。

野菜加工メーカーが丹精して作った加工品を台無しにして販売していました。
下手すると死人が出ます。(下)

  

以前、日本缶詰協会の殺菌講習会で習ったことですが、冷蔵流通向け(10℃以下保存:要冷蔵品)に作った真空パックハヤシライスを常温で保管してしまった 消費者がいたそうです。
真空パックで、pHが中性に近く、殺菌強度が12D(=製品の中心部分の熱履歴が120度4分以上)取れていない冷蔵流通製品を常温保管すれば、、、、
ボツリヌス菌やセレウス菌による食中毒のリスクは跳ね上がります。
そのハヤシライスを食べたお子さんは、ボツリヌス菌の毒素で失明されたそうです。

一見真空パックなので、レトルト製品に慣れた日本人は常温保管できるものと勘違いしてしまうのです。
食中毒の典型的パターンは「味はおかしくないけど毒は出ている」と言うものなので、それこそ当たらなければわからない。

その昔1980年代に殺菌不良のカラシレンコンで11人を殺したのもボツリヌス菌でしたが、あの場合は加熱不十分。
このあたりの商業的殺菌の超初歩は こちら

で、上の調理済みサツマイモは一括表示欄に「要冷蔵1~10℃で保管してください」と印刷されていましたが、写真の通り常温ショーケースで売られていまし た。
まさに失明者を出したハヤシライスと同等の条件ですね。
つまり加熱不十分どころか、食品保蔵技術的には刺身を真空パックして常温で売っているのと同じです。 
そろそろガス膨張しておりました。 私は死人が出ないことを祈ります。
健康被害が起きる可能性のあるコールドチェーンの破綻ですから、私の業界では当局に届け出て回収です。

当然このスーパーも販売店の責任において回収すべき。
よく優位的立場を利用してメーカーに圧力をかけて、泣かせる悪い小売業がいますが、日本の悪習のひとつですね。

野菜加工品はかなり高い率で「真空パック要冷蔵」の製品があります。 これは野菜の風味を残すには良い方法ですが、保管方法に失敗すると生鮮品が腐ったと きよりよっぽど恐ろしい結果を招きます。 カラシレンコンのボツリヌス中毒はその一例。

メーカーは製品規格書に必ず保存条件を記載しています。 これを販売側が無視して売るケースが多々ある。
その昔、真空パック冷蔵販売のうなぎの蒲焼を常温で売ったトンデモ販売店が山ほどあったそうで、メーカーは途方に暮れたとか。。。

皆さん、一括表示はよく見ましょう。 

頭の悪い真空包装、脱酸素包装の例は コチラ でごらんいただけます。

2週間もこの状態で売っているのを見て、さすがに心配でそのスーパーのwebに「死人が出る前に販売方法をなおしたら?」と投稿しておきました。
数日後、お礼のメールが届いていましたが、店頭には回収のお知らせは出ていませんでしたよ。 
「100度で煮ているから無菌です」と真顔で語るお馬鹿は残念ながら、このスーパーにいるようで、、、、、。
土壌によくいるセレウス菌は105℃で数分煮ないと死なないのですが、、、、、冷蔵されているからこそ安全な食品なのに。

どこのスーパーマーケットかって? 教えてあげないよ。 
でも、そういう不誠実なことをする販売店は裏で何をやっているかわからないから、そういう店では生鮮品や単純加工食品を買わないことにはしました。
企業の法律遵守が問われているというのにねぇ。


さて、サツマイモの次はジャガイモ

これは、ニュージーランドで普通に見かけるジャガイモの販売形態です。



不透明のプラスチックフィルムの容器に入って売られています。 中は見えない。 



しかし、洋の東西を問わず中身を見たいと言う消費者の要求はありますから、裏返すと網になっていて中が見える。

なぜこんなことをするかと言うと、ジャガイモは光を浴びると、皮の下(芽だけじゃないのよ)にアルカロイド毒素が作られて、エグ味の強い芋になりまして不 味くなり、最悪のばあい食中毒になるからです。

よく小学校で生徒が一網打尽になっている話は
コチラ

ですから、この袋も裏側は遮光性を上げるために真っ黒になっています。



で、下は日本の某大手スーパーマーケット。 

  

蛍光灯から数センチの距離で光を当てて毒芋を店頭で製造販売中。 すごいのは緑化している。 (緑になった芋を食べると腹こわすよ)

一度、某生協連と某スーパーに聞いてみたことがある。
前者は「中身が見えないと売れないからねー」、後者は「貴重なご意見ありがとう」でありました。
どちらも「食の安全」とかおっしゃっておりますがねぇ。

ともあれ。かくして皆さんは美味しいジャガイモを食べる機会を失っているわけです。 


不真面目な販売店の不始末で苦情を押し付けられる生産者がかわいそうだ。

おそろく、多くの流通業界の方は食品衛生の科学が理解できないのでしょう。 加工食品はメーカー任せで良いけれど、生鮮は。。。。
(ある種の文科系の人々は科学を理解する能力と熱意が欠如しております。)
食品販売士なる国家資格でも作らないと、みなさん小売流通業者に殺されるかもしれませんよ。

ところで、北海道の知人から遮光に留意して保管されていたジャガイモを送ってもらって食べた。 うまい! 日本のスーパーで売っているジャガイモは豚の餌 にでもする気で並べているのかね。
アルカロイドが蓄積したアルカリジャガイモでボイラーの洗罐をし、その粕を豚の餌にしていたと言う昔語りは次の機会に。


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