このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
食品添加物大嫌い
まず最初に、 この項の、図はクリックすると拡大版の図が得られます。 さて今回は皆さんが大嫌いな食品添加物をめぐるお話です。 数年前に母校で授業をした資料を再構成しました。 では まずは、皆さんが一番よく耳にしている食品添加物とはなんでしょうか?食品添加物というとどんなものが思い浮かびますか? | ||
保存料、酸化防止剤、ここいらへんが不人気の2大帝王のようなものです。 保存料(ソルビン酸、安息香酸など)、酸化防止剤(アスコルビン酸やトコフェロールなど)、pH調整剤(クエン酸など)、結着補強材(リン酸塩など)、調 味料(アミノ酸、核酸)、乳化剤(ショ糖エステル、グリコールなど)、発色剤(亜硝酸Na、硝酸Kなど) | ||
食品添加物というと素人さんは食品業界が使う毒薬のようなものだと思ってい るけれど、その本当の意味や定義をわかっている人は恐ろしいほど少ない。 食品衛生法第4条第2項 「添加物とは、食品の製造の過程において又は加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用す るものをいう。」 | ||
なぜ、食品添加物が使われるのか? というと ? 食品の製造や加工のために必要な製造用剤マーガリンは植物油脂と乳成分や水を乳化して作るけれど乳化剤がないと乳化できない、乳化できないからマーガリン にならない。 つまりここでは乳化剤は加工に必要な製造用剤というわけだ。 コーラなどの炭酸飲料に含まれている炭酸ガスも食品添加物です。 炭酸ガスが無かったら炭酸飲料は造れないよね? 金箔で飾ってあるケーキ。 あの金箔も食品添加物。 食 品の風味や外観を良くするための甘味料、着色料、香料など甘味料で一番有名なのが世界的にはサッカリン、日本では味の素が大量生産法を確立したパルス イート、本名L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルが有名ですが、こういうノンカロリー甘味料ができたおかげで、私も朝から晩までコカ コーラを飲み続けていても糖尿病にならずに済むわけです。 まして、糖尿病の人が甘いものを楽しむ自由を与えたのですから、素晴らしい大発明ですね。 | ||
着色料なども食品に色の変化を与えてくれます。 なみに化粧品に入っている着色料は最近は食品添加物として認められている着色料が増えましたが、つい最近まで食品用色素としては1980年以前に禁止に なったものが結構使われていました。 口紅に含まれる着色料の量は色つきキャンデーに含まれている量の100倍を超えます。 顔をこってり化粧で着色した奥さんたちが、合成着色料反対! なんていうのを見ながら私らはあきれ返っていたものです。 食品の栄養成分を強化する栄養強化剤最近、特定保健栄養食品などの俗に健康食品と呼ばれる食品が増えてきましたね。 鉄分強化、ビタミン強化、亜鉛リッチなどを謳い文句にするサプリメントとかいうやつです。 この業界は特に「天然成分配合」と言う謳い文句が大流行ですが、天然だろうが化学合成品だろうが添加物には変わりない。 ちなみに、サプリメントは気持ちを加速するだけで投資した分に値する効き目は期待できません。 もし顕著な効果が出たらそれは医薬品になります。 医薬品なら薬事法に則って副作用の確認などの作業が発生しますし、製薬工場で製造し、許可を受けた販売店で販売されなくてはならず食品工場では生産できな い。 作って売ったら薬事法違反でもある。 つまり効かないからこそ健康食品なんですね。 | ||
さて、食品の保存性を良くする保存料、酸化防止剤などこれが素人さんに一番 評判が悪い食品添加物です。保存料や酸化防止剤の話をする前に。。。 多くの一般人の皆さんは、なぜか、いわゆる「無添加食品」を選びます。 では何が入っていないと無添加食品と言えるのだと思いますか? | ||
無添加食品の定義は、じつはありません。 無いから、不誠実もしくは単に頭の悪いメーカーや販売店が「無添加」の文字をいいように振り回して消費者を混乱させているのです。 保存料が本当に入っていなくて保存料無添加と書くのは良いでしょう。 着色料が本当に含有されていないのなら着色料無添加でも良いでしょう。 ただ「無添加食品」と言ったらなんだかわからないでしょ。 豚肉無添加のポークウインナーとか、大豆無添加の味噌、なんていうあり得ない食品だって、ただ「無添加食品」いうカテゴリーでくくったら表現としては間違 いないわけです。 | ||
ありえないものを、さもあるように。 または当たり前のことを、さ も特別のように言うことを欺瞞と言います。 「無添加」を宣伝文句にしている製品や会社は、怪しい会社が多い。 「馬鹿を騙すのは簡単」と思ってやっている会社と専門教育を受けていない「本気で思い込んでいる馬鹿」な人々が運営している会社がやっているケースが多い ですね。 欺瞞は公正取引法違反になるから、違法すれすれの表記をするわけで、科学を学んだ人はそう簡単には騙されないが、そうでない人は本当に簡単に騙されるよう です。 日本食品添加物協会は「無添加」という表現について、 このように説明しています 。 (pdfファイルです。 アクロバットリーダーが必要です) | ||
では戻って、保存料や酸化防止剤について説明するとしましょう。 保存料は食品の保存性を良くし変敗を予防する薬剤です。腐ったり、風味が悪くなったり、食中毒になったりするリスクを低減する添加物です。 防腐剤と勘違いしている人がいますが、悪いが防腐剤なんてものが食品に使われていたのは皆さんがうまれるずーーっと前です。 現在日本で使われている食品用保存料であるソルビン酸にしても、安息香酸にしても、保存料は本当に効き目は弱い。 1974 年頃まで使われていたAF2[2-(2-furyl)-3-(5-nitro-2-furyl)acrylamide]という防腐剤は、防腐剤と 言うより殺菌剤で、これを使用して、本当に腐らない食品が作られていました。冷蔵庫に入れなくても腐らないクリスマスケーキや、製造工程が汚くて異常に細 菌汚染されていても腐らない魚肉ソーセージなんてものが存在したんだね。 食品工場でも、包丁で手を切ったりすると「おいAF2持ってこい」と言っていたんですよ。 殺菌剤だから傷が化膿しないんだね。 これが、食品原料として発がん性があるんじゃないか?というので使用禁止になったのが1974年。 日本の食品工場の衛生度がこれをきっかけに向上したと思われます。 なぜかというと、AF2の代わりに使われだしたソルビン酸などの保存料は、AF2に比べると恐ろしいほど効き目が薄い。 つまりきちんと清潔な工場で衛生的に製造し、かつ衛生的に温度と時間に留意して流通させないと腐っちゃうからね。 | ||
ちなみに、AF2禁止と同時に保存料そのものから手を引いて保存料無添加に 切り替えた業界があります。 その商品は今も冷蔵不要でスーパーやコンビニで売られています。 何だと思います? 答えは魚肉ソーセージ。あれはクレハロンフィルム、レトルト殺菌、水分活性の制御で成り立っている安いけどハイテクな商品だったリする。 魚肉ソーセージも、レトルトパックのカレーも中身の長期間保管を可能にしている技術はほぼ同じ物です。 これを商業的殺菌と言いますが、 これはこちらで説明しています。 さて、現在出回っているのがソルビン酸などの保存料で、カビやサルモネラや黄色ブドウ球菌などの食中毒菌にはそこそこ効くのだが、物を腐敗させる枯草菌な どの腐敗菌にはあまりうるわしくは効かないのです。 食 中毒菌は意外と繁殖力が弱いので、よほど条件がそろわないと健康に害を及ぼすほどの細菌数に増えない、普通は食中毒菌より先に腐敗菌が先に増えてしまう ので、腐敗菌などの代謝物で食中毒菌の発育が阻害されて、毒素を出したり、人に感染して症状を出したりするほど増殖することができません。 それに、腐敗菌が増殖したものは「腐っている」わけで悪臭や異常な味を呈しているので腐った食品を食べる馬鹿者は基本的に居ないから、腐ったものを食べて 食中毒になる人はあまり居ない。 細菌性食中毒の厄介なところは、味や色、風味が変わらないのに、食品が有害化するということです。 食中毒菌による食中毒はなぜ起こるか? というと、色々原因はありますが、なにより最大の理由は腐ったようには見えないから、人が異常の無い食品として食 べてしまうからです。 偶然が重なって食中毒菌が、腐敗菌より早く増殖すると、見た目も味も変わらないけれど、健康に即有害な食品ができてしまう。 簡 単に言えば食べると当たる食品ができてしまう。 食中毒菌も腐敗菌も食品が原則10度以下で保管されていれば賞味期限内に腐ったり食中毒の元になったり する危険性は無いのですが、恐ろしいのは消費者や、食品工学を学んでいない調理人などの最終使用者が、実に恐ろしい保管方法をとったりするわけです。 スーパーでウインナー買って、車の中に置きっぱなしで別の買い物をして、冷蔵庫に入ったのは半日後。だとか、 仕入れた要冷蔵のロースハムスライスを冷蔵庫に入れず、野菜と一緒に半日積んでおいた。 なんてことは当たり前にある。 そこで、保存料なるものが出てくるわけです。 頭 の悪いスーパーのバイヤーや生協活動に熱心な主婦には「ヨーロッパのハムやソーセージには保存料がはいっていない」と力説する方々がいますが、食肉製品 の歴史の長いヨーロッパの人々は食肉製品の食中毒の恐ろしさを知っていますから、買ってきたらすぐ冷蔵庫にしまってしまうし、そもそも、流通販売時の温度 は日本の10℃以下よりももっと低い4℃以下である。 この4℃以下というのは実に重要な温度であって、4℃以下で育つ細菌はあっても、4℃以下で毒素をだす細菌はないということ。 つまり安全温度なんだね。なぜ日本ではそれが10度以下なのか? 役所が馬鹿だから。 としか言いようが無い。か? ともあれ10℃以下に満足に保管できない消費者がいるから、ましてや4℃以下に温度制御できない国であるから、保存料が必要になってくるというわけです。 おまけに 店頭でもろくでもない温度で保管している例は山のようにある 。 つ まり、昔の防腐剤が総合殺菌剤だとしたら、いまの保存料はハムソーセージの分野では温度上昇時に食中毒菌が増える速度を遅くする為の保険として使用され ている物だと思ってください。 これくらい効き目が違います。現代の保存料はとしての役目は当然果たすけれど、何より最大の目的は食中毒菌にはそこそこ効 くということで、食中毒の防止です。 この保存料というものは、使用してもよい食品が厳しく制限されています。 缶詰やレトルト製品には使用が禁止されているのは、きちんと熱殺菌すればほとんどの細菌が殺菌できるからで、ベーコンに保存料が禁止されているのは、きち んと作れば乾燥していて水分活性が低いから保存性が高く保存料を必要としないからです。 また、弁当やケーキに保存料を使ってはいけないのは、清潔に製品の設計に留意して製造し温度管理など保管に留意すれば保存料が無くてもその日1日くらいは 製品が喫食可能であるからで、保存料に頼る必要は無いからです |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |