このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

なんとなく鉄道運転体験記第一回
運転体験記 起動からパンタ上げまで
2001年8月25日(当時)

ついに実際に自分の手で108tもの重量があるEF63を動かす記念すべき日である。
まだ運転手順を理解し切れていないが、最初は教官が手取り足取りで教えてくれると言うので、心配はないだろうが・・・・
若干の不安を抱えながら鉄道文化村へ・・・・
体験運転線に行くとEF63の24号機が留置線にいて、
25号機が今回は運転線にありました。
運転料金の5,000円を事務所2階の事務局で支払う。
このとき、前日の講習でいっしょだった2人と出会う。
ちなみにこの運転料金設定は体験回数を重ねることで料金が割安になっていくシステムになっているらしい。はたして安くなるまでこられるのか??
料金を払い終えたら外に出て、いよいよ運転です。まず、制帽をかぶり、関係者以外立入禁止である機関車のある引込み線に行くと、既に準備の終えたEF63の25号機と本日の教官が私たち3人の超初心者体験生を受け入れてくれます。教官は7人いますので、だれと当たるかはわかりません。
出区点検などの体験生にとって複雑な(?)点検は現在の体験運転では省略していますので、おそらく教官がすでに行っていることでしょう。
教官の操作で機関車のパンタグラフが一旦降りて電源が落とされます。
「えー、○○さん、□□さん、M山さんね! 初めてですね。今回は3人一度に運転室に上がって互いに相手の運転を見て勉強してもらいます。運転は一人一人、一回ですが3回分の効果がありますので、自分も運転したら相手の運転を見て勉強してください。じゃあまずは運転台へ上がって下さい」
教官と敬礼にて挨拶して点呼を受けたら、いよいよ運転室に入ります。
一人目の方が終了したのち、いよいよ私がEF63を運転する番になりました。
運転室に入ってもすぐに運転できるわけでなく、さまざまな確認作業を完了してから運転が始まります。まず、機関車の東京方の運転台(「1エンド」といいます。)に入り、確認作業を行います。
まず、出発前の点検として、出区点検での複雑な点検は省き、運転体験では簡単なパンタグラフを上げる。空ノッチ試験。ブレーキ試験。の3つが必要です。この点検は機関車に電源が流れているか?ちゃんと動くことができるか?また、確実に止まることができるか?という確認作業です。

1、 パンタグラフを上げる。

ポイントとしては3つの操作が必要と教官から習いました。

(1) バッテリー電源を入れる。
(2) 逆転レバーを一度入れて戻す。
(3) パンタスイッチを回す。
  この一連の操作を実際に行うと以下のような感じです。

まず、手ブレーキを緊締してあることを確認します。手ブレーキが緊締されていれば「手ブレーキ緊締」という白地に赤字のプレートが手ブレーキハンドルに掛けられていますので確認は容易です。次に単弁(機関車ブレーキ)を3.0kg以上掛けてあるあることを確認し機関車が不用意に動かないことを確認し、パンタグラフを圧縮空気で上昇させるだけの圧縮空気が元空気だめに3.0kg以上あることを確認します。

まだ、なにがなんだか分からない私は、教官の指示と説明に従って確認していきます。(前の者が運転していたのにどこを見てたのでしょう。)

もしここで、元空気だめに3.0kg以上の圧縮空気がなければ別の方法でパンタグラフを上げる方法がありますが、たいていは教官が確認して入れてくれていますので、ここでは省略します。
いよいよ、運転室の機械室側の制御板にある制御用バッテリーのNF(ノンフューズ、つまりスイッチです。)を投入します。大きい断続警報音が鳴り、その音を聞きながら、背後の制御板横にある低圧直流電圧計が85V以上あることを確認します。
「電圧96V。まあ、いいかな。」教官からOKが出ました。
その後、教官の指示で逆転ハンドルを一度、前進か後進位置に入れてすぐに中立位置に戻します。そして各スイッチを確認します。黄色いスイッチカバーがかかった制御スイッチとHBスイッチをオンにします。これは回路構成といって、電気機関車を運転する前に必ず行う作業のひとつのようです。これをやらないと今後の作業はおろか、パンタグラフすらあがりません。そして教官の指示で運転室内のパンタグラフドラムスイッチを「全下」位置から「全上」位置に回します。
教官が私に「窓からパンタ確認。」と声を掛け、残る2人にパンタ上昇の説明を続けます。
「いいか、このときにパンタグラフに圧縮空気の流れる「プシュ!」という音とともに上がればいいが、もし上がらなければ運転室内の各スイッチが定常位置にない可能性がある。また、反対側のパンタスイッチが「閉」になってなくても同じなので、運転室を交換する際は必ず確認すること。」
「また、制御スイッチとHBスイッチが「入」、バーニア制御やその他のATSスイッチ等が「切」の位置にあるか確認するように。」

また、この時教官は「何故パンダグラフが完全に上昇したかを運転台から身を乗り出して目視にて必ず確認するのか」質問してきました。一人が「電流が流れるのか判断できない為です。」と答えたが、教官は「それじゃあ、まだ75点だな。」といい、答えを教えてくれました。
実はこの時、電流が流れているかの有無なら、運転台にある高圧直流電圧計でも確認できるのです!しかし、機関車のパンタグラフは2個ありますので、「全上」にしてもパンタが1個でも架線に接すれば確実に電圧計がふれてしまいます。つまり、スイッチの指示に機関車がちゃんと対応して、完全に全部のパンタグラフが上がったのを確認する為に目視の必要があるわけです。
教官の説明を耳で聞きながら、そうこうしているうちに、パンタグラフはゆっくりと上がり、「カシャン。」という音とともに架線に触れたのを確認できました。「パンタ良し!」確認を指差呼称で教官に伝えると、機関車は低い唸り声とともにに背後の機械室の各制御機器を動かし始めました。確実な起動音が聞こえてきます。(感動!)
教官は続けて、「このときに主電動機電動送風機(MM)や空気圧縮電動機(MR)がNF(ノンフューズ、つまり電源が入っていれば)回転をはじめるわけだ。」と説明を続けています。
最後にHB(高速度しゃ断機)の動作確認をする為に「HB保ちスイッチ」を入れてHB保ちコイルのNFを投入します(リセットと呼ばれています)。次に、MC(マスターコントローラー)にある主幹制御器の又入れスイッチを入れて「HB」を投入し、直ちに「HB保ちスイッチ」のスイッチを切り、運転台の警報ランプ「HBしゃ断」が赤色点灯していることを確認します。なお、この確認作業時に逆転ハンドルを入れてはいけません。
慣れれば、ほんの1分程度で確認できる作業だと教官はおっしゃっていましたが、初めての私には5分にも思える作業でした。

次回は空ノッチ試験です。

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