このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

大井川鉄道の車輌たち

   私の記憶にある大井川鉄道は、名鉄・西武・小田急などから集められた瀕死の釣掛車が、老体にムチ打ってというものですが、もう20年も前のことになります。

   当時の新鋭は、以下の写真にも出てくる「元西武の313+513」で、当時は3連で颯爽と電車急行で使われていました。

   20年後のいま、クルマは近鉄・南海・京阪からの、それも元特急車が主流となり、各停でも冷房車がやってきます。

   その殆どが現役時代の塗装を守っていて、まるで模型のように離合するさまは、巷で言われているように鉄道博物館そのものです。

   昔日の名車が今も走り、それにいつでも乗ることができる。年齢のせいもあるのでしょうが、このような車に揺られていると、昨日までの現実がキレイに忘れられたのが不思議でした。

南海21002   金谷に降り立ち、大井川鉄道で最初に遭遇した車両が、このクルマ。金谷駅(左方)に進入する、元南海21001です。 南海時代のオリジナルカラーが失われ派手な塗装に。小さい側窓と相まって、よりのっぺりとした外観になっています。

  湘南形ながら冷房付き。車内はクロスシートです。

【金谷駅にて】

近鉄421   SLかわね路号の発車時刻11:50までの3時間弱を、ローカル列車の乗り潰しに充てることに。

  金谷から乗車したのはこの車。もと近鉄421+571。往年の特急色で活躍しています。
  吊掛駆動+エアサス台車+未冷房というウレシイ設備に、クロスシートという車内は完璧なお善立て。
  窓を開け放ち、片ひじ付いて車窓を眺めていると、久々にゆったりした気分に浸れました。

【金谷駅にて】

西武312とナハ80

  次の新金谷で、島式ホーム越しに視界に飛び込んできたのは左の車両たち。
  赤いのはクハ512、手前の青帯はお座敷客車ナハ80です。双方とも元西武車で、それぞれクモハ351、サハ1501を名乗っていました。
  この2両とも、大井川に来て既に20余年が経っていて、完全に「大井川のクルマ」になり切ってしまったようです。まだ現役なのが私的にうれしいねぇ。

【新金谷にて】

近鉄571と西武313

  五和(ごわ)で交換した金谷行の列車。こやつも上と同じく元西武のOB。車番は313です。
  ヘッドライト2灯化、側扉2扉化以外はほぼ原形のままで、非常に貴重な存在です。手入れも良く、廃車の気配は感じられませんでしたが、いつまで活躍するんだろう。
  ちなみにこのクルマの車内もオールクロスシートになっています。

【五和にて】

京阪3008

  新金谷へ戻るため、家山の手前「大和田(おわだ)」で近鉄421+571をやり過ごし、10分ほどで上り列車に乗り換え。
  片側1面の鄙びた無人駅へやって来たのは、元京阪の3008。テレビカーとして大阪−京都間を駆け回っていたクルマです。
   テレビは撤去されていたものの、車内は当時のまま。関西に多い扉脇の「補助椅子」も健在でした。
  まあ、大井川では補助椅子を使う場面はあまり無いでしょうけどね。

【大和田にて】

南海21001とスハフ42

  京阪3008で新金谷へ戻り、下車して車庫のほうへ回ると、庫のいちばん端の線にこのクルマが停められていました。
  元南海21002。こちらはオリジナルカラーです。塗装が少し痛んでいるようですが、冷房は付いているし、行先サボも新しいので、現役のよう。この日は運用が無かったようです。
  右奥の客車はスハフ42。いっときの客車急行には必ず入っていた車輌でした。

【新金谷にて】

ミニキャブモータカー

  庫内に止まっていた保線用車の仲間。完全にミツビシのミニキャブですが、足回りが1067mm軌道用にフルチューンされています。
  ナンバープレートが無いのと同時に連結器も無し。大きなバッテリーも見当たらないので、エンジン駆動なのでしょう。
  小回りが効くぶん、電車より早く走れるかも。運転してみたいですね。
  後ろはELの102号です。

【新金谷にて】

かわね路号と西武513

  SLかわね路号で千頭へ向かう途中の交換風景。駅は駿河徳山。元西武の313+513と、何度目かの遭遇。
  島式1本の古びたホームと、木柱に支えられた細い架線ビーム。こちらは雑客、アチラは旧国。
  大井川鉄道は、山合いの各駅で、かつて当たり前のように目にしていた懐かしい風景を具現化してくれます。

【駿河徳山にて】

C11227とEL101号

  千頭駅に着いたSLかわね路号。SLに群がる乗客のために、後部補機のELも前に持ってきて並べ、撮影サービスをします。
  この日のELは101号機。SLの後押しに専念させられているせいか、車体は色褪せ、「ちゃんと走ればいい」みたいな感じになっています。
  ELのほうまで見に来るのは鉄チャンばかりで、一般のヒトの目にはとまらない・・・。

【千頭にて】

EL101号の運転台

  EL101号機のキャブ内。JRの大型電機のような重厚さはなく、どちらかというと電車に近い。
  椅子のモケットがぼろぼろになっているのが愛嬌でしょうか。
  ちなみに、人の出入りがあまりない機械室は、このキャブに比べてかなりきれいに整備されていました。

【千頭にて】

岳南1105号   駅を出て井川線の踏切を渡り、庫の端に留置されていたのがこれ。
  もと岳南鉄道のモハ1105。車番はそのままです。岳南で唯一のステンレス車であったそうですが、既に廃車されています。でも、ステンレスのおかげで痛みが少ない。
  アルミカーの走りとなった、もと北陸鉄道の6010(しらさぎ号)は、新金谷の庫内で現役でした。

【千頭にて】

49616号   こちらは、ホームのすぐ脇に留置中の9600形49616号機。  火が入れば、大井川で2両目のテンダ形SLになります。

  国鉄時代は「中型」だったキューロクですが、タンク形ばかりの大井川では、太いボイラ径から「大型」の印象が強いです。

【千頭にて】

近鉄16001と西武313   金谷行の各停で乗った、元近鉄南大阪線の16001。電車急行のスジの折り返しでは、もと特急車でも平気で各停運用に入ります。
  電車急行に充当される車はこのほか、京阪3000、南海21000など、冷房車になっているようです。

  千頭へ向かって走り去るのは、なおもしつこく元西武の313。金谷と千頭の間を黙々と往復していました。

【家山にて】

スハフ43   家山駅に留置中の元特急車スハフ43。客室のみのスハ44とともに、晩年は四国のローカルで使われました。

  現在はトラストトレイン保有で、「はつかり」時代の塗色に復元され、イベント用に使用されているようです。

  画面いちばん奥(金谷方)の1両はスハニ36で、これも僅かしか存在しなかった逸品です。

【家山にて】

乗車したオハ3522の内部   SLかわね路号で乗車したオハ3522の車内。直角座席、ニス塗りの内装、円形蛍光燈など、雑客の中でも更新が少ない車のようです。
  千頭までの80分は、久々の直角座席で乗りデがありましたが、かつての夜行はコレがふつうだったことを思うと、隔世の感があります。
  番号表記は「オハ3522」ですが、22の前に「22(あるいは23)」というのが読み取れ、最終車歴はいわゆる「2000番台=電気暖房付」だったようです。

【千頭にて】

大井川線自由キップ

  今回の大井川鉄道で使った「大井川線自由キップ」。金谷−千頭間の往復運賃(割引なし)で、新金谷−千頭間の乗降が2日間自由です。
  金谷駅で「往復切符」を求めたら、「往復は無いけど」と言ってこの切符を勧められました。
  今回は金谷−千頭のほか、新金谷−大和田間を1往復したので、モトは取ったことになります。

  金谷駅に戻った際、駅員に申し出ると「乗車記念」のスタンプを押して返してくれました。

oigawa_s.htm/20000924・20020619改訂

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください