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特殊第一セクター及び特殊手動閉塞による
可部線会計計画


ここでは、鉄道運営にかかる経費について考える。鉄道運営の組織体系及び運行の管理は、それぞれ特殊第一セクター、特殊手動閉塞という特殊なものとなっている。これらは経費削減のための手法であるため、経費にはそれらの影響が出ている。

まず、鉄道を運営するにあたっては、営業費用として次のようなものがかかる。

一、 人件費
二、 修繕費
三、 その他経費
四、 諸税
五、 減価償却費

それぞれの経費は具体的には次のようになるだろう。

人件費……運転手、車掌、切符販売員、信号関係、対外窓口・受付け系、経営陣
修繕費……鉄道車両の修繕
その他経費……燃料費、紙代、線路の保守費用
諸税……諸税
減価償却費……線路・駅舎・その他鉄道施設の固定資本の減価償却

これらの諸経費を、

一、鉄道運営費……人件費・車両修繕費・燃料費・車両買い替えのための積立金を鉄道運営のための経費とする。
二、準鉄道運営費……鉄道施設(車両を除く)の管理所有は沿線市町村が行い、それら施設の保守費用、減価償却費は鉄道運営とは別のものとするが、それらにかかる費用は鉄道運営のための経費に準ずるものとする。

の二つに分類し、それぞれについて考える。なお諸税は、特殊第一セクターという運営体系もあるので、とりあえず無視する。


一、鉄道運営費

A.人件費
まずは運転手・車掌について考える。人件費は、時給制とし、労働時間は実際に鉄道運転にかかわっている時間及びその前後の時間(車両の入れ替え、乗客の乗降等にかかる時間)のみで計算する。ここでは、運転時間以外の時間についてはゼロに近似して運転時間のみで考え、変わりに時給を高めに設定する。運転時間以外をゼロにして運転時間の自給を上げるというのはあくまでこの場限りの近似であり、実際には実際の労働時間に応じて賃金は計算される。運転時間は、可部〜加計間が1時間、加計〜三段峡間が0.5時間とし、加計〜可部間8往復(うち4往復が車掌付きで、残り4往復がワンマン)、加計〜三段峡間5往復(全てワンマン)とする。また、時給は0.3万円とする。その結果、運転手・車掌の人件費は次のようになる。

片道0.5時間×5往復=5時間
片道1時間×4往復×ワンマン=8時間
片道1時間×4往復×ツーマン=16時間
計29時間×365日=10,585時間
人件費0.3万円×10,585時間=3175.5万円

次に、切符販売、信号関係、対外窓口・受付け系についてであるが、これらは沿線市町村の役員が代行(事実上無償で、もしくは運賃の上乗せ分で相殺)するため、費用はかからない。

最後に経営系に関してだが、会計に関しては沿線市町村が(これも事実上無償で)行い、経営方針等についても、沿線有志(町議、町長等)が無償で行なうので、費用はかからない。

B.車両修繕費
車両は6両保有するし、一両当たり年間平均550万円の修繕費がかかるとする。なお、年平均この550万円のみで買い替えまで車両は持つものとする。550万円という数値は、大手私鉄各社の修繕費を保有車両数で割ったものが310〜900万円程度であったので、そのあたりの金額とした。

車両修繕費 550万円/年×6両=3,300万円/年

C.燃料費
列車は一両1キロあたり50円で走れるものとして計算する。1キロ50円という数値は、キハ40が1キロを0.5〜0.7リットルで走れるらしいので、そこから設定した(但しやや高めに)。可部〜加計間32.0kmは一両編成が4往復、二両編成が4往復し、加計〜三段峡間14.2kmは、一両編成が5往復するものとする。

14.2km+32.0km
14.2km×5往復=142km
32.0km×(1両×4往復+2両×4往復)=768km
計910km×365日=332,150km
燃料費0.005万円×332,150km=1660.75万円

D.車両買い替えのための積立金
所有車両は6両とする。1両1億円で購入し、20年間使用するものとする。すなわち、積立金は以下のようになる。

車両積立金費 (10,000万円×6両)÷20年=3,000万円/年

※ JR線への乗り入れ、臨時列車について

車両整備も兼ねたJR線への乗り入れは、車両を燃料費に相当する額のみでJRに貸し出すことにより行なう。JRからのレンタル料とJR乗り入れ中の燃料費とが相殺するので、JR乗り入れに関する費用については考えなくてよい。
臨時列車は、線内分のみについて考えるものとする。年間52日間運転、二両編成、可部〜加計間1往復、ツーマン、加計〜三段峡間回送1往復とすると、次のようになる。

(片道1.5時間+回送片道0.5時間)×1往復=4時間(運転手)
片道1.5時間×1往復=3時間(車掌)
計7時間×52日=364時間
人件費0.3万円×364時間=109.2万円


また、燃料費は次のようになる。

(46.2+14.2)×2両×1往復=241.6km 計241.6km×52日=12563.2km 燃料費0.005万円×12563.2km=62.816万円

以上より、全体の鉄道運営費は次のようになる。

合計(一万円以下の端数は切り上げ)
車両修繕費: 3,300 万円
車両積立金: 3,000 万円
人 件 費: 3,176 万円
臨時人件費: 110 万円
燃 料 費: 1,661 万円
臨時燃料費: 63 万円
合   計:11,310 万円

支出: 1億1310万円
収入:約1億4000万円(現状通り)

運営損益:+2,690万円


二、準鉄道運営費

鉄道施設の保守整備・減価償却費等を除いた運営損益は、上で見てきたように黒字になる。しかし、鉄道で特に費用がかかるのは、他ならぬ鉄道施設の維持費である。これにあてられる金額は、上で出た3000万円弱の収入のみであり、これで足りなかった場合は赤字を補填しなければならない。ここでは、この維持費をいかに抑えるかについて検討する。

まず、線路そのものについては、最高速度65km/h(ポイント前後をのぞく)とする。これは随所で15〜25km/hの減速をしている現在の保守水準よりも高いもので、その分割高になることは避けられない。
次に、信号関連設備であるが、これらについては思い切って廃止(代わりに携帯電話で対応)する。なお、車両については既に運営費用で計上しているので、ここでは考えなくてもよい。

以上より、維持費は駅舎と線路についてのみ必要(それが準鉄道運営費の全額)となり、これをいかに抑えるか事実上の経費をいかに削減するかのポイントとなる。

 なお、ここでは詳しく述べることを避けるが、鉄道施設の維持費については、公共性の観点から、沿線市町村のみではなく、国や県から出すということも選択肢に入れておくべきだろう。国道・県道が維持費は(おそらく)かかっているにもかかわらず無料であるように、鉄道線路も、国や県が維持・管理し、鉄道会社等に無料で開放してはどうだろうか?


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