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4年A組 青木 一馬
寝台列車の輸送量はここ数年減少しているが、上野〜札幌の寝台列車<北斗星>に関しては高い乗車率を維持している。しかし、登場してからは10年が経過し、各種設備が陳腐化してきたことは否めず、使用されている24系客車は、車齢25年を越える車両も存在している。また、個室車両が少なく、昨今の旅客のニーズに対応しにくいという問題点もある。このためJR東日本では、約18年ぶりに新系列の寝台客車、E26系を登場させることになった。列車名は<北斗星>の語源である北斗七星と対を成す星座の名前である<カシオペア>が選ばれた。
列車のコンセプトは「快適空間を実現した寝台列車」で、具体的にはプライバシーを確保するため全寝台の個室化、全個室への便所と洗面所の設置、各種情報サービスの提供等が挙げられる。車内は静かな車両とするため、各室に放送音量調節スイッチを取り付けたほか、床面には制振材を使用。また、一部車両には公衆電話と自動販売機を設置。4号車には車椅子対応個室を1室設けた。
車体は、客車として初めてステンレス製となったが、スロネフ26とカハフ26の展望部は鋼製である。また、製造コスト低減のため、内装工事に建築内装技術を採用。インテリアデザインのコンセプトは「ナチュラル&エレガント」で、内張には木目と明るいグレーを組み合わせ、落ち着いた雰囲気とした。エクステリアデザインは「スペース&ヒューチャー」をコンセプトとして開放感と未来への旅立ちを予感させるデザインとし、編成端の車両の側面にはフランス人デザイナーのナタリー・ジョルジュ氏のロゴが描かれた。
編成は12両で、最高速度は110km/h。カハフ26(展望ラウンジ車)の床下に発電装置を2台搭載している。汚物処理装置は真空式で、各社1つの装置で各個室の便所に対応している。また、洗面所とシャワーの排水は車外に排出せず汚物タンクに溜める方式としている。ブレーキ装置はブレーキ指令伝達を早めて制動時の前後動を解消すべく、電気指令式併用自動空気ブレーキを採用。機関車からのブレーキ指令はBP(ブレーキ)管の圧力として受け、これを客車内で電気信号に換算して電気指令を送る。台車は軸ばり式軸箱支持構造のボルスタレス台車で、ヨーダンパと1軸1ディスクブレーキ、TR251・TR251A・TR251B・TR251Cは踏面ブレーキと1軸2ディスクブレーキである。また、編成両端の台車には留置ブレーキも装備している。連結装置は車端部が密着自動連結器のほかは密着連結器で、緩衝器を採用している。
暖房装置は電気式、冷房装置はカハフE26がAU403、マシE26AがU403AとU727、他はAU727である。また、車掌室でサービス機器の操作や状態の確認が出来るように情報装置を搭載している。
このE26系は平成11年に1編成が落成し、7月16日、上野発札幌行きが16:20に札幌に向け出発した。
引用:JR全車両ハンドブック
<レイル・マガジン9月号増刊 第16巻第12号 1999年9月1日発行> 岡田 誠一/編集部
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