「き、貴様、何者だ!?」 州浜が初めて動揺の声をあげた。 「俺は乾巧…」 それに応え、巧が一歩前へ出る。 州浜は一歩後ずさりする。 「人間であり…」 また巧が一歩踏み出し、州浜が一歩後ずさりする。 「オルフェノクであり…」 また巧が一歩前へ進み、州浜が後へさがる。 「そして…ファイズだ!」 その一声とともに大きく踏み出した巧の渾身の一撃が州浜の体を大きく殴り飛ばした。 大きな弧を描き地面に落下し、打ちつけられる州浜。 巧はミッションメモリーをポインターにセットすると脚のマウントに装着した。 その瞬間にフォトンブラッドがポインターへ流れ込み、右脚全体が紅く輝きはじめた。 「ふざけるなーァっ!!俺は不死鳥だ、キサマなんぞに敗れるはずはない!俺は世界の王となるのだ!」 地面を拳で数回殴りつけるとそう叫び州浜が立ち上がる。 その全身を赤い炎が包み込む。 そのころにはもう巧は空へと跳びあがっていた。 州浜も翼を広げ、飛び上がる。 巧めがけて飛ぶその体に真紅のポインティングマーカーが突き刺さり 州浜の体をその場に止めた。 そのポインティングマーカーの延長線上 −全身のフォトンブラッドが輝き真紅の光に包み込まれたファイズが州浜の体を貫く。 赤と紅の衝突− 州浜の体を貫く瞬間、フォトンブラッドが波紋状に広がり、やがてその全てが 州浜の体を貫きファイズへと戻っていった。 「グアアアアアアアアーーーーーーー!!」 断末魔と大きなφの文字を残し州浜の体が空中で青い炎をあげ爆発した。 再びその体を赤い炎が包み込むことはなかった。 地面へと着地した巧。 その瞬間、ファイズスーツは元の姿に戻っていった。 フォンを引き抜き変身を解除する。 巧の首元から赤いリボンがほどけ落ちた。 「巧ー!!」 「タッくん!!」 真理に啓太郎、そして里奈、沙耶、美香、三原と福地に支えられた 新城が巧の周りに集まった。 「…終わったね、巧。」 疲れと安堵の声と笑顔で真理が言った。 だが巧はファイズフォンを見つめながら厳しい表情をくずさずに言った。 「いや…まだ終わっちゃいないさ…。…これが必要じゃなくなるまではな…。」 そう言うとフォンを強く握りしめた。 皆その言葉にハッとした。 「まァ…だけど、俺はきっとそういうときが来ると思っている。
時間がどれだけ、かかっても…な」 そう言うと巧は顔をあげ笑った。 「うん…」 真理がその言葉に笑顔で頷く。 啓太郎、里奈、沙耶、美香、福地、三原、新城たちも笑顔で頷いた。 人類とオルフェノクの共存 −その理想をかなえるためにこれからも闘いは続く。 どれだけの人間とオルフェノクが犠牲になるかはわからない。 矛盾を抱いた闘い。 その先にあるのは絶望かもしれない。 だが巧たちは闘う。 絶望の隣にある希望を信じて。 いつかベルトが必要でなくなる日が来ることを信じて− END
|