このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



9.始まり


5年後−

「いよいよね?村上君」

影山冴子はそう村上に微笑みかけた。

「えぇ、ついにこの日が来ました。どれだけこの日を待ち望んだことか…」

そう言うと村上も笑みを浮かべた。

「あ〜あ、式なんてめんどくさいなぁ…。」

村上の横で北崎がたいくつそうな顔でそう言うと、背伸びをしながらあくびした。

「き、北崎さんには、き、緊張感ってものがないのですか?」

北崎の横でそう言いながら琢磨は眼鏡をなおした。

その手が緊張からか少し震えている。

「あれ〜、琢磨君、まさか緊張してるんだー」

そう言うと北崎はいたずらな笑みを浮かび琢磨の顔を覗き込む。

「べ、別に…緊張なんてしてませんよ!」

そう琢磨が言い返すと北崎はまた可笑しそうに笑い拳を琢磨のほほに当てる。

北崎はいつも琢磨にする“グリグリ”をした。

「や、やめてくださいよ、北崎さん」

慌てて琢磨が顔を背けた。

「二人ともお止めなさい。いいこだからジェイを見習いなさい。」

そう冴子が注意する。

ジェイは冴子の横でチャコを抱きかかえ、ただ目を閉じ時間を待っている。

「さて…そろそろ行きましょうか?」

そう言うと村上は左右の4人を見た。

冴子は微笑み、「えぇ」と頷く。

北崎はまた背伸びをすると抜けたような笑みを浮かべる。

琢磨はまた眼鏡をなおしながら黙って頷く。

ジェイは閉じていた眼を開ける。

目の前のステージにかかった幕の向こうでとびきり明るい声が弾んだ。

「お待たせしました〜、皆さん♪
 いよいよ我らがスマートブレイン社長・村上峡児氏と
 最強の四葉・ラッキークローバーの4人のご登場で〜す♪」

スマートレディの声に場内の歓声がどっと沸き、会場全体に地響きが起こった。

「さぁ、行きましょう!私たちオルフェノクの勝利を全世界に宣言するのです!」

幕が開き眩しいほどのスポットライトとシャッターの光線の中に

村上と冴子、北崎、琢磨、ジェイは歩み出した。

これから始まるオルフェノクの支配する世界に胸躍らせながら−


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