このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

                       七色とうがらし通信           vol.19                          11.2.17                       発行 吉川 厚   

<シリーズわたしはたびびと>

小旅行
 沖縄にいってきました。でも、3泊4日の短い旅。ほんとうは、なないろにまとめるほどの内容はないのかもしれないけれど、なにか書き残したくなりました。

2月の風
 「こんなに寒かったかな」
 去年の2月はあたたかく、与那国で泳いだほどでしたが、今日は、いったん、ザックにしまったフリースを取り出しました。名護へは、那覇空港から高速バスが走っています。車窓の景色は味気ないです。時間に余裕があるならば、那覇のバスターミナルで乗り換えて、下を通るバスでいった方がよいかもしれません。高速バスだと1時間40分ほどで名護につきます。

名護市街
 バスターミナルは、中心部からちょっと離れています。近くに球場があり、日ハムがキャンプをしていました。内野の守備練習など、しばらくぼけーっとみていましたが、日ハムの選手って知らないんですよね。落合はやめちゃったし…。天気がよければ、外野のむこうに海が光ります。名護市民の関心は高いらしく、スタンドにはかなりの人たち。若い娘の3人連れも数多く観測できました。
 海沿いに那覇方面にもどると、名護市役所があります。ここの建物は、鉄筋コンクリート造りにもかかわらず、シーサーがたくさん屋根に乗っかっていて、全体は、アンコールワットの遺跡を思わせます。大分の由布院美術館も同じ設計者によるもので、一見の価値があります。
 名護城跡には桜が咲いていました。沖縄の桜の花は濃いピンクで、花のつき方も含めて、さながら紅梅のようです。急な石段を登ると、名護市街が一望できました。オリオンビールの工場もすぐ近くにあります。平日は工場見学ができ、中瓶1本(おつまみ付き)の試飲と、500㍉㍑缶の貯金箱をくれます。お姉さんが、コンベアーの止まった工場を、あわあわと案内してくれました。

うみかぜ
 名護から1日3本のバスに乗って30分。瀬嵩(せだけ)に“海と風の宿”、略して“海風”があります。もっと、小さな集落を想像していたのですが、意外に開けていました。
 宿主は、車椅子の成田さんで、握手から始まりました。なんだか新鮮です。ヘリポート基地の問題などで精力的に活動されていて、残念ながら今回はあまり話しができませんでした。
食べる
 6時になると、夕飯づくりが始まります。宿は素泊まりで、基本的に自炊なのですが、夕飯はみんなでつくります。料理はわりに好きなのですが、一人ではおいしくないので、最近はごぶさたでした。でも、みんなでワイワイやると、とても楽しい。ちなみにメニューは次のとおりです。
(1泊め) サイコロステーキ、野菜のスープ、キャベツのサラダ、めんたいこ
(2泊め) じゃがいものカレーソティー、白菜のクリーム煮、ポークの炒め物、めんたいこ
(3泊め) サンマのフライ、豚汁、カブとなすの即席つけもの、めんたいこ
 スタッフが頭をひねり、その日のメニューを決めます。けっして、ごちそうではないけれど、おいしい。というより、うまいっといった方がいいかも。もりもり食べてしまいました。ああ、体脂肪が。

三線
 “さんしん”と読みます。沖縄の三味線のことで、にしき蛇の皮がはってあります。“海風”には、毎週木曜日、師匠が教えに来てくれます。エロじじいらしいのですが、わたしがいる間は、セクハラの現場には出くわしませんでした。レッスンは、なかなか厳しく、長期滞在者のなかには、ほとんど、弟子状態の人もいます。師匠は、木曜日以外も毎日のように現れ、ご飯を食べているときに、三線を聞かせてくれました。わたしは、楽器があまりとくいではないので、少々、時間が長く感じられました。

海風のひる
 “海風”に時間があるのは、朝の10時と、夜の6時だけです。朝はもちろん、おそいのですが、10時になると、掃除がはじまります。もちろん、全員参加。みんな、手慣れたもので、自然に分担が決まります。新参者は、見よう見まねです。
 掃除が終わると、1日がはじまります。出かける人はあまりいません。日がな1日、縁側で、海辺で、だべったり、本を読んだり…。海にゆこうと集落の中を歩くと、色とりどりの花が咲いていました。昼は、インスタントラーメンに、共同売店で買ってきた三枚肉などのせて食べたりします。
 それでは、お客が歌っている歌を1曲。めだかの学校のメロディでどうぞ。
♪ せだけの民宿は村の中 そーとのぞいてみてごらん そーとのぞいてみてごらん
  みんなでだらだらしているよ
♭ せだけの民宿は村の中 だれがお客かスタッフか だれがお客かスタッフか
  みんなでだらだらしているよ

海風のよる
 食事が終わって、片づけもすませると、泡盛がでてきます。飲み放題で、多い日は一升瓶が3本ならびました。消灯は、一応、3時になっています。1日中、話しているのに、また、話します。おなかがすいてくれば、夕飯の残りの豚汁など食べ始めます。ときには、人生論をたたかわせたりもしますが、しゃべっている内容にそれほど意味があるわけではなく、わたしが、この時間、この場所に存在していることに意味があるような気がします。                  
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