このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

七色とうがらし通信 

          vol.21 11.4.30                  発行 吉川 厚   

<シリーズわたしはたびびと>京都に花見にいってきました。

1枚のはがき

 昨秋、京都の美山ハイマートユースホステル(以下YHといいます)で泊まり合わせたMさんから、e−mailが届きました。「来週、京都にゆきます?」
 そのときのYHでのこと。大阪から来た女の子のTさんがいいました。「常照皇寺(じょうしょうこうじ)のしだれ桜は最高。春になったらみにおいでよ」
 そのTさんからハガキが来たそうです。そういえば、今は春なのです。おたがいの腹のうちをさぐるようなメールが行き交い、「いきますか」「そうしますか」ということになりました。
 眠い土曜日の朝、5時起きで新幹線に乗り込みました。

されど漬け物

 京都に着くと、中央郵便局前に、Tさんとその友達のUさんが待っていました。まずは、買い出しです。わたしは、1月にもボタン鍋を食べにYHに来ているのですが、そのとき、「美山町にはケーキ屋がない」という、YHの奥さんのMちゃんの嘆きを聞いていました。美山町は、福井との県境にある、京都ではいちばん広い町です。デパートで芦屋の有名なお店のケーキと丹波ワインを買い込みました。それから、Mさんのリクエストで、漬け物屋の近為(きんため)によりました。京都駅などでは買えない老舗で、柚こぼしという大根の漬け物が売り物だそうです。まあ、漬け物だろうと試食をしてみると、これがうまい。ほとんど全種類いただきました。特に筍は絶品です。予約すれば、この漬け物で、ぶぶ漬け(京のお茶漬け)を食べさせてくれるそうです。

桜の苑

 レンタカーで京の街を走ります。目指すのは、仁和寺の近くにある原谷苑。お茶漬けがでてきたからといって、永谷園ではありません。「はらだにえん」です。入園料が1500円(土日料金)と聞いて尻込みしましたが、えいっと、清水の舞台から飛び降りました。
 中に入ると、そこは桜の森。まちなかの桜より、1週おそく盛りを迎えています。無数の紅しだれが、起伏のある地形を包み込み、夢をみているようです。Mさんは、驚喜して、どこにカメラを向けていいのか、混乱しているようでした。お弁当とお茶を買って、お花見です。寝っころがるととても気持ちがいい。人出は多いはずなのに、低く垂れた桜に隠れて、まったく気になりません。お座敷ですき焼きもできるそうですが、牛すき6,000円、とりすき5,000円と手が出ませんでした。

サンドイッチ

 原谷苑を後にして、都から遠く離れた常照皇寺に向かいました。ここのしだれ桜も有名なのだそうです。山門の下にもしだれ桜がありましたが、これではないようです。受付で志し(300円〜
500円だそうです)を納め、庭に出ると、古木の大きなしだれ桜がありました。だいぶ葉桜になっていましたが、それはそれで、しっとりといい感じでした。
 山門までもどり、桜の下で、Tさんお手製のサンドイッチをぱくつきました。スパイスがきいていて、いける味でした。胡椒とか胡麻とか、ラーメンなどにいっぱいかけるのがわたしは好きです。

美山の夜

 今夜の宿も、美山ハイマートYHです。美山町は、茅葺きの里で、YHも茅葺きの民家を移築したものです。江戸時代の建物らしい(不確かな記憶)のですが、改築してあり、なかはきれいで快適です。ペアレントのAさんも奥さんのMちゃんもあたたかくとっても元気に迎えてくれます。このYHはとにかく行事が多く、土日によれば、なにかしらやっています。
 屋根裏は、茅の収納庫になっていて、昨秋、収穫したものが貯えられていました。秋には、茅刈りもやらせてもらえるそうです。丹波ワインやお菓子をつまんで、おしゃべりに興じていると、知らず知らずに夜は更けていきました。

おばまtour

 翌日は、あいにくの雨の日曜日でした。こうなったら食い気です。若狭湾のすしを食べにゆくことにしました。美山から小浜まで車で1時間。昼には早いので、箸屋さんにゆきました。ここでは、5層からなる若狭塗りの箸をグラインダーで削って、お気に入りの模様をだすことができます。しかも無料です。おそるおそる削ると、赤や黄色の年輪模様が浮き上がってきました。力を入れすぎて、木の肌がみえてしまってはいけません。でもだいじょうぶ。100円で再チャレンジできます。この箸屋さんでは、ありとあらゆる箸がそろいますが、なぜか社長の詩集も売っていました。
 おなかが空いてきたら、さあ、すしです。YHで紹介された「喜多村(きたむら)」は、小浜漁港の先にあり、お座敷から海がみえます。今日はどんよりとしていて残念ですが…。にぎりの並
1,800円也を注文しました。うー、うまいっ。すしの味などうまく表現できませんが、身が厚くて、ぷりぷりして、もうしあわせです。
 大満足で車に乗り込むと、Tさんがいいました。「次はわしすき。」わたしは、とりすきのようなものを想像してしまい、「鷲までたべるのか」と思ったら、実は、和紙すきでした。観光案内図をたよりにゆくと、なんだか倉庫のようなところで、少し伝統工芸っぽさがたりません。30分くらいでいけるよというので、挑戦してみることにしました。
 こうぞみつまたをとかした水槽を、四角いざるですばやくすくって、しゃかしゃかゆらすと繊維が残ります。これをもう1度繰り返すとOKのはずなのですが、しわがよってしまい、わたしは、3回くらいやり直しました。その上に色水をかけて、赤やみどりに着色し、金粉など散らすとできあがりです。こういうものをつくると性格がでますよね。
 さて、1泊2日の小旅行でしたが、大満足で家路につきました。そうそう、筍の漬け物は、うちのおみやげにしました。                        

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