このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


            七色とうがらし通信           vol.28 

                          11.10.26                       発行 吉川 厚   
<シリーズわたしはたびびと>

10月10日は体育の日、山形へ芋煮会にいってきました。関係ないですね。

もう秋
 インターネットで山形を検索していたら、蔵王の紅葉が始まっているといいます。芋煮会の前日、どこによるか迷っていたので、山越えをすることにしました。土曜の朝、4時起きで東北新幹線に乗り込み、白石蔵王(しろいしざおう)からバスで遠刈田(どおがった)温泉へ。バスを乗り継ぎ、刈田(かった)山頂に着いたのは10時半過ぎでした。少し登れば、有名な蔵王のお釜です。火口に水がたまり(湧き出て?)エメラルドグリーンに輝いています。ここから、地蔵山まで縦走し、蔵王温泉に下るのが今日のコースです。馬の背と呼ばれる縦走路からは、お釜が見渡せ、角度がかわれば、水の色も微妙に変化するような気がします。ひとやま越えて、下って、登れば、もう地蔵山です。ロープウエイの山頂駅付近が紅葉のピークでした。

温泉にも秋
 さあ、温泉です。蔵王は大露天風呂が有名ですが、時間もなかったので、最近オープンした新左衛門の湯というところに入りました。さすがにきれいで、露天もあり、なかなか満足。お湯は乳白色で緑がかって、太陽を背にすると、水面にわたしの影が映ります。空はどこまでも青く、高く。ちょっとのぼせたので、お湯からあがり岩に腰掛けると、ひんやり。その冷たさに秋を感じます。

新規開店
 山形までバスに乗り、ひと駅目の北山形から、また、バスです。山形新幹線の延長工事で、新庄(しんじょう)まで列車代行バスが走っています。新幹線が開通すると、さくらんぼひがしねという駅ができて便利になるのですが。
 今日の宿は、オープンしたばかりのひがしねベアフットユースホステル(以下YH)です。いわゆる自宅開放型YHで、ペアレントさんがともだちの棟梁と手作りで改装したそうです。思ったように作業が進まず、オープンが遅れてしまったと笑っていました。内装は、かわいい、それでいて、落ち着いた感じで、女の子が喜びそうですね。わたしがみたところ、奥さんの意見がかなり反映されているのではないかと思われます。トイレは間接照明で、とてもしっとりしていて、なにしにきたのか忘れてしまいそうです(ちょっとオーバーでした)。食事がまた、おいしい。小鉢がたくさん並べられていて、菊の花など、ふだん、お目にかかれないようなものが盛られています。それでいて、ボリューム満点。女性は無念そうに残していました。旅行記を書いていて難しいのは、おいしさの表現ですね。こればっかりは、実際にたべてもらうのがいちばんです。
 ひとつだけ難をいえば、部屋が窮屈なことですが、その分、定員10名とこじんまりしていて好感がもてます。やっぱり、ホステラーの顔が全員みえるのがよいですね。

山形正統派芋煮会
 さあ、今回のメインイベント「芋煮会」です。この会は、よくニュースでみる観光用のものではなく、ホステラーとペアレント夫妻、それから地元のおともだち総勢10名で行われました。9時頃、近所の河原(正確には河川敷)にいくと、青いビニールシートがそこかしこにしかれています。花見の場所取りなど想像してみてください。そして中央を横に貫いて、かまどゾーンがあります。公園の設計段階から芋煮が想定されているのです。直径20センチほどの石が積まれて、かまど、かまど、かまどが並びます。われわれも、場所を確保し、買い出し部隊の帰還を待ちます。ペアレントさんのおともだちも自転車でやってきました。彼が今日のシェフです。顔はちょっとこわそうですが、いい人でした。スーパー側も、芋煮の迎撃体制は万全で、なんと、大鍋を無料で貸してくれます。さらに、肉のパックには、芋煮用とシールがはってあります。石のかまどに薪をくべ、鍋をかけて、芋煮の始まりです。レシピは…
 まず、牛肉に醤油と酒をふりかけ、いためます。肉汁がでてきたら、肉は取り出し、そこに水と
  里芋をいれ、煮始めます。ここで、手が空いたら、朝からビールを飲みましょう。これぞ、日本
  の休日。
 あくはていねいに取りましょう。きれいになったら、ささがきにした牛蒡と、手でちぎった(こ
  れがいい)蒟蒻を加えます。
 芋にはしを刺してみて、すーと入ったら、牛肉をもどします。醤油、酒、砂糖で味付け。粉末の
  だしも入れましょう。
 適当に煮たら、とうふはやっぱりちぎって入れ、ネギ、水でもどした麩(ひがしね名産)も加え
  ます。今回は、いただきものの天然まいたけがあり、最後にぶち込み、火が通ったらできあがり。
 庄内の方では、ぶたとみそでやるそうです。ひがしねの人たちは、それじゃあ、ぶた汁だといいますが。
 車座になり、芋煮をよそい、ビールで乾杯して、まずは芋から。薪でがんがん煮るのでとてもやわらかく、牛肉のだしがよくしみこんでいます。天然まいたけは、よく売っている雪国まいたけとは別物で、歯ごたえがたまりません。おかわりをするとき、天然まいたけをおたまで探しますが、競争が激しく、2切れくらいすくえただけでした。
 秋空の下、みなでわいわいしながら食べるのはまた格別です。ほんとに素朴なものなんですがね。竹筒であぶった熱燗もまわり、青竹の香が鼻にここちよく、もうすっかりいい気分です。まわりもすごい人で、こどもからお年寄り、茶髪の姉ちゃんまで、思い思いの芋煮を楽しんでいます。
 10月にしては暑いくらいの陽気で、こどもたちは、川で水遊びです。ペアレントさんも、靴をぬいで川に入っていきました。どっかの小さな女の子とじゃぶじゃぶやっています。人柄でしょうか、みょうになつかれています。わたしは、昼寝モードにはいってしまいました。
 最後にうどんにする予定だったのですが、汁をみんな飲んでしまい、おなかもぱんぱんでよしとしました。カレーうどんにすると、これがまた、いけるそうです。近々、うちでバーベキュウをする予定なので、芋煮に挑戦しようと、シェフに作り方をしつこく聞いておきました。 

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