駅構内に入ったのは、乗る予定の列車が到着する2時間前。 「どうする〜? むちゃくちゃ時間あまっちゃったよ〜」 「ぼ〜っとするか」 ぼ〜。。。。 ぼ〜。。。。 ぼ〜。。。。 構内のベンチに座って、ひたすらぼーっとする3人。 「なんかおなか空いたね。」 なにもしなくてもすっかりおなかが空いた3人は、いそいそ構内のBarへ。 「おっ、ちゃんとPIZZA釜があるじゃんっ」 「ぐへへ、おいしそ」 ちょっとすっぱいけど、とってもおいしいシチリア産オレンジジュース(色が真っ赤でまるでトマトジュース)を注文。 そのまま飲もうとしたら、ウェイターのおにいさんが 「ずっか、ずっか」(と聞こえていたが実は“ずっけろ”=zucckeroと言っていたらしい。“ずっか”=zuccaとはかぼちゃのことである) と話しかけてくる。 〝ずっかってなんやねん??〟と思ってると、彼らは一生懸命テーブルの上の器を指差している。 どうやら砂糖を入れろといっていたらしい。 「お、こりゃ砂糖だね。でも、わたしはこのまんまでい〜のさっ」 と、そのまま飲んでたら 〝おいおい、そりゃあいくらなんでも酸っぱいよ〟という顔でじっとこっちをのぞきこむ。 そっかぁ。こっちの人ってけっこう甘党なんだなぁ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・ さてさて、おなかも膨れたし、トイレも行ったし(女性用だけチップおばさんがいた。なぜ・・・?) あとは列車を待つばかり。 そして数十分後、MILANO行き夜行列車がやっと到着。 さっそく個室用(3人なので個室を予約してた。贅沢だけど、鍵もかけられるので安心して眠れる)車両前で改札。 ん? 車掌さんが何か言ってる。 「NO NO 、Biglietteria、Biglietteria」 (「切符がない!」) 「は?」 切符がないってどういうこと? そこから果てしない押し問答が始まった。 彼は切符がないから乗せられない、という。かなり怖い。 私たちはこの切符で乗るとがんばる。 ひとしきり押し問答が続いたところで、はっと気づいた! 「ねえ、もしかして、指定券はあるけど、乗車券はないっていいたいのかも!」 「そ、そうかもしれない。」 「でも、今から買いに行ったら列車出ちゃうよ。」 「でも、買いに行けって言ってる…。」 「わかんないふりして乗っちゃおうよ。確か中でも買えるってどっかで読んだよ。」 イタリア語も英語もろくにしゃべれないことを逆手にとる私たち…。(ホントはかなりびくびくしてた) 。。。。。。。。。。。。。。そして私たちは勝利した!。。。。。。。。。。。 「もーえぇよ。乗りんさい」(言葉もわかんない日本人にはやってらんないぜ、という感じで両手を挙げる車掌さん) 「やったね! 乗せてくれるみたいだよ。」 「ところで、みんなお金いくらくらいもってるの?」 「さっき 200,000リラくらいかかるって言ってたよねぇ…」 「え? わたし 30,000リラくらいしかもってない…」 「え?わたしもたいしてもってない…」 お財布を広げてみると、3人合わせて 所持金は 150,000リラくらいだ。。。。。。 「ど、ど、ど、どうしよう!!」
。。。。。。。放心。。。。。。。 「も、もしかしたら聞き間違いだったのかもよ。200,000リラって」 「そうだよ。だって、私たち指定券とかは持ってるもん。120,000リラのまちがいじゃない?」 「きっとそうだねっ」 (と、心の中でみんないっせいに祈る) 「とりあえず、〝乗ったもん勝ち〟だから乗っちゃおうよ」 「うん。いくらなんでも途中で放り投げられたりは…しないよね??」(とはいいつつも不安) 。。。。。。。。。。。。。。。。 そして無理やり列車に乗りこんだ私たち。 そこへ車掌さんが1枚の紙をもってやってきた。 「 200,000リラだ……」(顔面蒼白) 予約していた個室に入り、3人頭を寄せ合ってひそひそ。怖くて荷物も解けない。 いつでもおろされる準備OKだねっ!(って冗談になってないよ…) 「お金もってる?」 「日本円なら…」 「この列車って一応国際列車だよね。両替できるんじゃない?」 そこで車掌さんに聞いてみる。 「日本円はだめだって…」 「どうするよ。お金もってないよ」 あーだこーだ言ってるところへ、なんか妙に偉そうなおじさんが。。。。 車掌さんと何かいいあってる。 「何いってるんだろ?」 「ぜんぜんわかんないけど、私たちを乗せちゃったのが問題だったみたい」 肩身の狭いわたしたち。 にしても、さっきはあんなに怖かった車掌さんだけど、いっしょうけんめい私たちのことかばってくれてるみたいで、恐縮至極。 車掌さん、迷惑かけちゃってホントにごめんなさい (´・ω・`) お金払わないなんてつもりは全くはないんだけど…。あぁ、円ってやっぱりヨーロッパでは弱いのね〜 もうすっかり途中下車&おまわりさん行きを覚悟していた私たち。 「あ」 「なに?ちかちゃん」 「そういえば私、米ドルもってたんだ…。なんか親が一応もってけって言ってくれたの」 「それだっ!! いくらなんでも米ドルならOKだよ!」 。。。。。。。。。。。。。。。そして、ちかちゃんの“虎の子”米ドルを差し出してみる。 車掌さん、いきなりにっこぉ〜〜〜♪♪♪ 「OK、OK!明日の朝食はいる?」 それまで硬い表情を崩さなかった車掌さんが突然にこにこ顔に変身。 ふぅ〜〜〜〜〜 3人いっせいに安堵のため息をついたのであった。 「なんとかなったみたいだね。」 「うん。ちかちゃんさまさまだよ。」 う〜ん。やっぱり“困ったときのちかちゃん頼み”。 「これで、やっと荷物開けられるね〜」 それにしても、もうハプニングは打ち止めにしたいよ 駅で2時間もぼんやりしてたのにね〜、まったくなにやってるんだか。 しかし、その後も外でドアががたんと音を立てるたびに“やっぱり降ろされるの?”とドキドキしちゃう3人だったのでした。 |