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愛知電気鉄道デハ3300形3等電動制御車

 愛知電気鉄道デハ3300形電車です。現在の名古屋鉄道の前身の一つとなる愛知電気鉄道が1928年にデハ3300型として製造し、その後名古屋鉄道にモ3300形として引き継がれた電車です。半鋼鉄製電車であり、愛知電気鉄道は1927年に豊橋線用として、1926年に製造したデハ3080形(電7形)電車を投入して神宮前駅−吉田駅(現・豊橋駅)間所要63分の特急と、所要72分の急行運転を行い、競合路線である鉄道省(省線)東海道本線(愛電と競合する区間である熱田駅−豊橋駅間に特急列車で78分、普通列車で112分~155分を要していた)に対して優位に立ちました。これに続き、愛電では優等列車向けによりいっそうハイレベルな車両を投入することを計画、デハ3300形を製造しました。同型車を含めて計15両が製造された本グループは、愛電における最後の新製車となりました。1928年に日本車輌製造で両運転台電動車デハ3300形6両、片運転台電動車デハ3600形4両が製造され、翌1929年に片運転台制御車のサハ2040形5両が増備されました。車体形状は正面貫通路、貫通幌つきで、車体長17000mm、車体幅2700mmと、片側2扉のレイアウトは在来型のデハ3080形から引き継いだものの、それまで16m級が最大だった愛電で、本系列は初の18m級大型車となりました。薄い丸屋根こそそれまでの愛電車両における典型でしたが、天地方向のある程度大きな窓と比較的大柄なサイズによって均整の取れた外観にとなりました。側窓は2段昇降式で、中央付近に寄せられた2個のステップ付きの乗降扉の間に、戸袋部を除き、シートピッチ1700mmの固定クロスシートが8組、固定クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートであったが、座席はゆとりがあり、当時の省線二等客車(現在のグリーン車)並みといわれました。
 主電動機は在来車同様の75kw4基で、台車は日車D-16、制御器についても間接非自動の単位スイッチ制御方式(HL、弱め界磁なし)を採用しました。大型車体に比して決してハイスペックとは言えなかったが、在来車との互換性を重視したものと思われます。また当時の愛電は電動車比率が高く、運転最高速度95km/h程度には必要十分でした。
 デハ3300形は、当初の目的どおり、愛電の特急・急行運用に投入されその先頭には、朝日と波をかたどった長方形のヘッドマークも取り付けられました。 1935年、愛電は名岐鉄道と合併し、現在に至る名古屋鉄道(名鉄)が発足しました。この際、デハ3300形は、モ3300形となり、デハ3600形は、名鉄モ3600形が製造された際に、モ3350形となり、「あさひ」号は所要時間60分の特急へ統合されました。1941年に太平洋戦争が勃発すると、戦時体制下で輸送需要が増加したことから殆どの車両がロングシート化されました。その後、1948年には600Vであった旧名岐鉄道線の電圧が旧愛電線と同じ1500Vに昇圧され、名岐線と旧愛電豊橋線の直通運転が開始され、本形式は、比較的大型であったことから、名鉄のほぼ各線で特急・急行・普通列車用として広範に運用されましたた。しかし車体が老朽化・陳腐化したこともあり、1965年にはモ3300形3両とモ3350形2両が電装解除されて、制御車のク2340形となっている。捻出された電装品・台車等は冷房付の車体新造車3780系に転用されました。そして1966年には3730系・3770系・3780系などに置き換えられ、全車が名鉄での運用を終え豊橋鉄道、大井川鐵道、北陸鉄道に車体は売却され、各鉄道で最後の活躍をして、1997年の豊橋鉄道の1850形を最後に廃車されました。図面上段は、デハ3600形、下段はデハ3300形です。
 実車は、正面貫通路付きの2扉車で、側窓は2段昇降式で、中央付近に寄せられた2個のステップ付きの乗降扉の間に、戸袋部を除き、シートピッチ1620mmの固定クロスシートが8組、その他はロングシートを組み合わせたセミクロスシートであったが、座席はゆとりがあり、当時の省線二等客車(現在のグリーン車)並みといわれました。車体形状は車体長17584mm、車体幅が2,630mmでやや狭く前頭形状が平面であり、客用扉ステップ部の裾下がりが目立つ点を除けば、後年登場する名岐鉄道デボ800形とは車長、扉・窓配置、広い幕板などが類似した車体でありました。車体塗色は当初愛電標準のマルーン1色であった。車体が老朽化・陳腐化したこともあり、1965年にはモ3300形3両とモ3350形2両が電装解除されて、制御車のク2340形となっている。捻出された電装品・台車等は冷房付の車体新造車3780系に転用された。そして1966年には3730系・3770系・3780系などに置き換えられ、全車が名鉄での運用を終え豊橋鉄道、大井川鐵道、北陸鉄道に車体は売却され、各鉄道で最後の活躍をして、1997年の豊橋鉄道の1850形を最後に廃車されました

愛電デハ3300形PDF図面 A4 1/120

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