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鉄道省キハニ36500形3等手荷物合造電気式(ガソリン)気動車
鉄道省キハに36500形3等手荷物合造電気式(ガソリン)気動車です。昭和6年に彦根〜長浜間、登場したキハニ36450形電気式ガソリン動車は車体重量に対して出力が小さく(ガソリン機関200馬力、主電動機80Kw×2)能力不足だったため、大出力のガソリン機関として、航空機の液冷発動機を転用して出力を向上したキハニ36500形を製造し、関西本線〜紀勢東線〜参宮線に投入しました。当時伊勢へは桑名〜大神宮前間に伊勢電鉄(後に参宮急行に吸収合併)が運行していましたが、名古屋〜桑名間は建設途上で鉄道省はこれに対抗するため、小単位で高速運行できるような大出力のガソリン動車を必要としていました。
キハニ36500形の第1次車は陸軍92式戦闘機に使用された川崎ロ500馬力ガソリン機関で直流600V発電機により発電し100Kw×2の主電動機、そして次位に連結しているキモハ37000形3等付随電動制御車の100Kw×4の主電動機を総括制御し、付随客車としてキサロハ38500形、キクハ38000形の4両編成で、名古屋地方からの伊勢詣で客を獲得するするために、名古屋〜鳥羽間の急行料金の要らない快速運転を行い、参宮急行に対抗しようとしました。
主機関の調速は当時日本では自動調速器(ガバナー)が無かったため手動式で、機関士は、増減速時には、回転計を見ながら主機関の調速を行いつつ主幹制御器を作動させるという面倒な作業を必要としたため、運行安全上の問題を生じ、すぐに機関助士を乗務させ、発動機の運転は機関助士が行うように改められました。
皇紀2600年の伊勢神宮参拝大輸送のため昭和14年度に増備された第2次車からはキハニ、キクハの正面半流化、主機関は陸軍95式戦闘機に使用された川崎ハ9Ⅱ甲720馬力発動機に変更、出力をアップして4編成が製造されました。第2次車からはドイツ製の最新の自動調速機が取り付けられ主機関の操作は大幅に改善されたため、機関助士乗務を廃止し、機関士1人乗務に変更されました。第1次車も順次主機関を交換し性能の統一が計られました。なおキハニ36500形の3軸台車TR73Gは主機関及び主発電機の重量を支えるための従台車で、動力台車ではありません。キハニ36500形は正に日本の本格的ガスエレクトリックカーの嚆矢として世界的にも名声を博しました。
名古屋側にキハニをつけた編成と、鳥羽側にキハニをつけた編成を5編成づつ製造し、通常時は4両ユニット、正月等初詣の多客時は2ユニット8両編成で運行する計画でした。最終的に第1次車、第2次車で4連14編成計56両が製造され、車内は伊勢電モハニ231系や参急デ2200系に負けないゆったりした固定クロスシートで、機関の騒音はあるものの軽快な走行ぶりで名古屋方面からの伊勢詣の乗客に好評を博しました。
しかしながら、時あたかも日本は太平洋戦争に向かう時期、航空機転用発動機は出力は大きかったのですが、軍用機転用ため燃料消費量もそれに伴って多く、戦局の悪化にともない、燃料供給が間に合わず、ついにガソリンによる走行が出来なくなり、天然ガス走行に対応させるため全車房総西線に転じました。しかしながら、天然ガスでは、所定の出力が出せず、またガスの消費量も膨大で、ガスタンク容量も不足する等、不具合故障が多発し休車状態で放置されていましたが、空襲による首都圏の車両不足により、1944年に全車電車に改造され、横須賀線に充当されました。キハ36500形→モハユニ44500形、キモハ3700形→モハ43500形、キサロハ38500形→サロハ46200形、キクハ38000形→クハ47500形となって、横須賀線の輸送力向上に貢献しました。キハ36500形の3軸従台車は2軸DT12に変更され100Kw×4となり、他の電動車と同一の性能になりました。
残念ながら日本は敗戦、戦後の混乱期を電車として過ごしたキハニ36500形ですが、世の中が落ち着くと参宮線利用者から、再度快速列車を運行してほしいとの要望があり、キハニ36500形を再び気動車によみがえらせることになりました。主発動機は米国カミンズの船舶用1000馬力ディーゼル機関を搭載、キハニ36500復帰後は主機関下の台車は再び3軸従台車に戻され、主電動機も120Kw×6(1編成あたり)に変更し、パワーアップして、最高速度110Km/h の高速で型式も戦前のキハニ36500形を再踏襲して名古屋〜鳥羽間に再デビューしました。なお乗降扉はステップ無しのままで、ホームのかさ上げを行っています。
キハニ36500形は形式改称に伴いキハ08型として、冷房装備などの改造を受けつつキハ75形登場で後進に道を譲るまで、老骨にむち打って関西〜伊勢〜参宮線快速として、近鉄に対抗して活躍しました。上段図面は、登場時、上の図面はモハユニ44500時代の姿です。
実車ではこの車両はありません。キハ二36450形を参考にした架空の車両です。
鉄道省キハニ36500形PDF図面 A4 1/120
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