このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

東日本の鉄道のページへ戻る

小田原急行電気鉄道キハ5000形3等気動車

 小田急電鉄では、国鉄御殿場線御殿場駅までの乗り入れを計画し、当時御殿場線は非電化であったことから、気動車を乗り入れ車両として製造しました。当初国鉄キハ44600形と同様の2機関搭載型の両運転台車として設計されましたが、国鉄は準急用としてキハ44800形を製造開始、小田急でもそれを参考に、大型車両への設計変更を行い、小田急線内ではデハ2320形に併結するために同系列のデザインとしました。車体長は20000mm、車体幅は2700mmで、車内はシートピッチ1800mmの固定クロスシートが16組設置され、客室扉は新宿側1カ所、御殿場側には運転台の次位に便所洗面所が取り付けられました。また当時の標準機関のDMH17Bはまだ縦型機関であったため、床下高はデハ2320形より108mm高く設計しなければならず、連結面をデハ2320形とあわせるために客室部分のみ床下高を高くしたデッキ形構造とし、運転室の床高をデハ2320形と同一とし、連結部の段差を無くする無くするようにしました。このため、座席から見た側窓は京急旧600形並の低さとなっています。機関はDMH-17B型縦型機関を2基、駆動軸はいずれも1軸で制動システムは併結時はデハ2320形と同じ電磁直通式電空併用中継弁付自動空気制動(HSC-D)で、作動用電源はデハ2320形から供給されました。単独運転中は自動空気ブレーキに切り替える構造となっていました。編成は小田急線内はいずれもデハ×2+デハ×4+キハ×2で、下りは相模大野で前2両が片瀬江ノ島行として切り離され、新松田で電車4両は箱根湯本行として分離、御殿場線にはキハ2両が機走で乗り入れていました。乗客に好評だったため4両が増備され、その後さらに4両増備され、乗り入れは沼津まで延長されました。他社の優等列車冷房化の波は小田急にも押し寄せ、1960年にまずデハ2320形が冷房化改造されユニットクーラーが取り付けられました。キハ5000形も同時に冷房化が計画されましたが、急勾配用として2機関搭載のため、冷房用発電機が搭載できず頓挫していましたが、英国カミンズ社で1機関で300ps以上の出力の鉄道用エンジンを採用すればディーゼル発電機搭載の余裕が出来ることから、全車機関をカミンズNTA855-R1(360ps)1機に換装、動台車は駆動軸は2軸となりました。さらに冷房用ディーゼル発電機を搭載し、ユニットクーラー5基を搭載の上冷房化されました。小田急線内では冷房用電源はデハ2320形から供給されます。小田急線内では原則としてデハ2320形に牽引されていますが、デハが故障の場合には、キハの推進運転がデハ運転台から可能です。その場合には冷房電源はキハの発電機から供給されました。御殿場線電化後は徐々に運行は電車化され、電車切り替え後は廃車の上他車に売却されました。図面の下段は竣工時の2機関搭載時の、上段は機関換装1機関化、冷房化後の姿です。

小田急キハ5000形PDF図面


東日本の鉄道のページへ戻る

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください