KATOとTOMIX・・・古くからDD51を製品化していた両社、
そのDD51をリニューアルしたのは、結構近い時期だったのです。
その出来はどちらも実に甲乙つけがたく、
旧製品が遠目でもどちらの製品かすぐにわかったのに比べ、
よく見ないとわからないほどでした。
でも、やはり設計が異なる両者、細かく見るといろいろな差を発見できます。
ここでは、徹底比較と題して、ディテールの細かい部分を比較してみたいと思います。
比較対象としたのはKATOが後期耐寒型、TOMIXが500番台です。
全く同じ仕様を比較したほうがよいのでしょうが・・・これでも基本的な部分は同じですからね。
尚、明らかに優劣をつけられる部分は別として、
基本的には両者の部分を紹介し、
どっちがいいかは、それぞれにご判断をお任せすることにします。
*塗装の雰囲気
オレンジ色に近いTOMIXと朱色に近いKATO、艶を抑えたTOMIXと艶々したKATO、
・・・そんな感じです。
TOMIXが現役バリバリな感じ、KATOは新車あるいは全検出場直後の感じでしょう。
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左がTOMIX、右がKATO。写真だと色合いの差はほとんどわかりませんね。
*長さ
昔から・・・「KATOのロコはスケールより大きめ」というのが常識。
TOMIXもその昔は、設計の困難さからか、材質の都合か、大きめであることが多かったのです。
ところが最近では、スケールどおりに作るということの方が、むしろ常識です。
この両者も長さはぴったり・・・上方からの写真では、どちらがどちらか、一瞬わからないでしょう。
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恒例の長さ比較。上がKATO、下がTOMIX。全く同じであることがわかります。
*ボンネット高さ
床に線路を敷いて斜め上から見ていると、ほとんど差は感じません。
しかし、真横から両者を比較してみると・・・ほんのわずか、KATOの方が低いようです。
ランボード高さはそれ以上に差がありますね。
・・・ってことは、KATOの方がTOMIXよりもボンネットの上下の長さが長いということになります。
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左がTOMIX、右がKATO。ボンネット高さより、ランボード高さの差の方が大きいのがわかりますか?
(TOMIXはKATOカプラーアダプター化しています)
*顔
顔付きの印象を大きく左右する、ヘッドライトの雰囲気は、大きく異なります。
KATOのレンズは黒く、大きく見えるのに対し、
TOMIXのそれはやや小さく、時にはレンズが不透明にも見えるのです。
ライトの位置も、TOMIXの方が少し中央に寄っているような感じがします。
では、どちらが実物に似ているかというと、人それぞれではないでしょうか?
私の意見は「ぱっと見はKATOが似ているが、よく見ればTOMIXが似ている・・・」です。
また、正面手摺りの朱色部分をちゃんと塗り分けたKATOと、白一色のTOMIX、
この部分の印象の差は大きいでしょうね。
TOMIX製品は、この部分を是非塗りたいものです。
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左がTOMIX、右がKATO。同じようですが、ずいぶんと違う表情です。
手摺り部分が白一色のTOMIXと、朱色が入っているKATO。
*ナンバープレート
KATOがかなり車体から出っ張るのに対し、TOMIXはほぼツライチに収まります。
印象はTOMIXの方がいいようにも思いますが、
KATOはブロック式ナンバープレートを大袈裟に表現した・・・とも言えるでしょう。
数字は・・・浮き彫り文字にキラキラしたメッキではっきり見えるKATOに対し、
TOMIXは艶消し銀で書かれていて、あまり目立ちません。
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左がTOMIX、右がKATO。ナンバープレート表現が、かなり違います。
*エンドビーム
TOMIXの方が上下方向に長いので、貫禄がありますが、
これはランボード高さの違いによるものでしょうか。
標識灯のレンズは、ヘッドライト同様、KATOの方がTOMIXより大きくなっています。
しかし標識灯の縁は、KATOの方がかなり薄いですね。
エンドビームの各種モールドは、大差ないようです。
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左がTOMIX、右がKATO。TOMIXのエンドビームの方が、上下に長くなっています。
標識灯の表現もかなり違います。
*冷却ファン
ここの表現は、両者でずいぶんと異なります。
「くっきりはっきりのTOMIX、あっさりすっきりのKATO」といった感じでしょう。
製品のままの状態だと、KATOは目立たず・・・あっさりしすぎでは?・・・とも思いますが、
色差しをすれば、さほど両者に差はなくなるのかもしれませんね。
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左がTOMIX、右がKATO。冷却ファンはTOMIXの方がしっかりした表現で、目立ちます。
*ボンネット上
ここのディテールは両者ともあまり目立ちませんが、
よく見ると・・・やはり冷却ファンと同様の傾向がありました。
「くっきりはっきりのTOMIX、あっさりすっきりのKATO」です。
加えて、TOMIXはやや角が甘く、KATOの方がシャープに見えます。
また、運転席窓直前の部分、TOMIXは朱色に塗り分けていますが、KATOは全て灰色です。
この違いは何でしょうか?
KATOが塗りわけを省略したのか、それともプロトタイプ違いなのか・・・
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左がTOMIX、右がKATO。冷却ファン同様、TOMIXの方がくっきり表現ですが・・・角が甘い感じ。
KATOはあっさりしてるけど、シャープです。
*側面ラジエータ
網目部分が3分割タイプのTOMIXと、2分割タイプのKATO。
プロトタイプが異なる以外に、KATOの方が網目が細かくなっています。
一方、ラジエータ上の手摺りにまで白を入れているTOMIXに対し、
KATOはこの部分の塗り分けを省略しているのが、惜しまれるところ。
自分で色を入れるのが難しそうな場所ですから・・・・
*ステップ
ランボード上面と同じ濃い灰色で、ステップの端を白く塗り分けたKATOに対し、
手摺りと同じ無塗装樹脂の白一色のTOMIX。。。
ここはTOMIXも、塗り分けしたいところです。
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左がTOMIX、右がKATO。ラジエータの網目の細かさ、ラジエータ上手摺りの色分けの有無、
そしてステップの塗装の有無が大きな違いです。
*ランボード
OKIも別記事で指摘しているとおり、KATOはランボード側面の白い塗料がかなり薄いのに対し、
TOMIXはしっかりと発色しています。
そのランボード上面の色は両者ですいぶんと異なっていて、KATOはほとんど黒に近い灰色です。
個人的には、TOMIXの色の方が好きです。
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左がTOMIX、右がKATO。ランボードの色がかなり異なります。
側面車端寄りの手摺りの根元までグレーにしたKATOと、
根元付近が白くなってしまったTOMIX・・・という違いもありますね。
*ランボード下台枠
ランボード下の黒い台枠は、TOMIXの方が上下寸法が小さくなっています。
この台枠の寸法差と、ランボードの高さの差が加わり、
台枠と台車との隙間に、両者で結構な差が生じてしまいました。
KATOの方が隙間が狭いので、腰高な感じがなく、安定して見えます。
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左がTOMIX、右がKATO。ランボード下の台枠と、台枠と台車の隙間に注目。
*ボンネット側面
写真ではあまり差がないように見えますが、
肉眼では・・・ボンネット上面とは逆、TOMIXの方がすっきり、KATOの方がきつめの表現です。
灰色のバンドは、TOMIXの方が繊細な表現で、KATOはかなり太くなっています。
網目から透けて見える円筒形のタンク表現は、両者の差はほとんどありませんが、
KATOの方がくっきりしているかも。。。
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左がTOMIX、右がKATO。点検蓋取っ手が、KATOの方が立体的なのがわかります。
ゴムバンドは・・・太さがかなり違います。
*キャブ側面
ボンネット側面と同じ傾向で、TOMIXがあっさりしているのに対し、
KATOはかなり立体的な表現になっています。
特に・・・キャブ下の段差がある部分の表現の差は、かなりあります。
尚、私が一番気になっているのは、側面窓の大きさです。
側面窓のすぐ上から灰色の屋根になっている、
実車の雰囲気をとらえているのは、TOMIXでしょう。
残念ながら、KATOは窓の上下寸法が短く、印象が違うのです。。。
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左がTOMIX、右がKATO。キャブ下の段差表現もかなり異なりますが、
それよりも側面窓の上下寸法の違いが気になります。。。
*キャブ屋根
プロトタイプが異なるので、形態の違いは比較できませんが・・・
KATOの方が、若干モールドはシャープな感じがしますが、大差はないようです
ホィッスルを別パーツ化したTOMIXの方が、ほんの少し・・・そこだけ細密な感じはしますが。
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左がTOMIX、右がKATO。プロトタイプが異なるため、単純比較はできません。
*前面窓ガラス
これはもう、圧倒的にTOMIXの方が実物に似ています。KATOの窓は上下寸法が小さすぎます。
HゴムもTOMIXの方が細く、繊細な表現をしています。
どうしてこのような差が生じたのでしょうか・・・
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左がTOMIX、右がKATO。TOMIXの方が実車の窓形状の印象に近いです。
KATOは上下寸法が短すぎる上、やや外側に寄っています・・・
*台車
ディテール表現に大差はないと思いますが・・・真っ黒な樹脂を使ったTOMIXに対し、
KATO独特の濃い灰色の樹脂は、光線の具合によっては違和感がありますね。
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左がTOMIX、右がKATO。KATOの樹脂の色はなぜ真っ黒ではないのでしょう?
*最後に
この両者、こうやって細かい部分を比較すればするほど、ますます甲乙つけがたくなってしまいます。
これに走行性、耐久性、静粛性なども加味し、
最終的には好みで選択するしかない、そんな気がします。
メーカー間の差が少ない、完成度の高い製品が増えた、その象徴的な製品なのかもしれません。