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左が加工したもの。右は製品オリジナル
*はじめに
それは・・・OKIがネットオークションで、オレンジ色時代のEF70(おそらく'70年代初頭生産)、
しかもデッドストックの新品を手に入れたことから始まります。
それを見た私、すっかり自分も欲しくなり、同じくネットオークションでオレンジのEF70を手に入れたのです。
しかし、私の手に入れたEF70は、残念ながら程度はよくありませんでした。
(そのぶん、OKIの半分以下の価格でしたが・・・)
見た目では・・・屋根上機器、Hゴム、標識灯、台車などに色入れがしてあり、
それが長い年月で色褪せ、部分的に剥げていました。
かなり使い込んだと思われる動力は「うなり音」が大きく、
車輪のメッキはすっかり剥げ、集電性能が悪くなっていたのです。
そこで・・・・なんとかこのEF70を蘇らそうと、試行錯誤の加工をしてみました。
とにかく無計画にいろいろ考えながら、最終的には以下の5点を行ったのです。
1.車輪の交換と台車の加工
2.動力の交換
3.スカートの固定化改造
4.KATOカプラーとスノープロウの装着
5.ヘッドライト点灯化
以下、これらを順を追って説明したいと思います。
1.車輪の交換と台車の加工
まずは簡単なところで・・・メッキの剥げた車輪を交換することにしました。
いくら清掃しても、ちょっと走行するとすぐに車輪が汚れて調子が落ちるのは、
見れば・・・車輪のメッキは剥がれ、ザラザラの真鍮地肌が出ていたからでした。
これでは最初から集電性能は悪いし、スパークが飛んで車輪が汚れ、
さらに集電性能を悪くしているのでしょう。
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左写真:未加工のEF70台車。首振り時にボディに干渉しないよう、スカート上面は平らです。
右写真:台車をバラバラに分解したところ。
スカートを固定するダイカストパーツの形と、カプラーを押さえるため延長された台車枠に注意。
EF70から外した台車はバラバラに分解し、車輪を交換します。
交換した車輪は・・・ボディをフリー電機に提供して余剰となっていたEF65旧製品から持ってきました。
このEF70よりは、よほど綺麗な状態でした。
こういうとき共通設計というのは、部品がいろいろと流用できて、実に便利ですね。
また、台車のダイカスト部品もかなり汚れた状態だったので、同じEF65のものと交換しました。
このダイカストにはスカートを取り付けるための部分(この端がスカートから見えている)があります。
「スカートを固定化したい」と思い始めた私は、ここで、この部分をカットしてしまいました。
この時点ではまだ、オリジナルのスカートを固定する方法を思いついていなかったのですが・・・・
「ええい、ままよっ!」とばかり・・・ニッパーで折り取ってしまったのです。
・・・もう、後には引けませんね。とりあえず台車をくみ上げます。
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車輪とダイカストを交換し、スカートを固定するためのダイカストの出っ張りと、
カプラーを押さえるための台車枠の延長部をカットした後、再組立した台車。
2.動力の交換
動力の調子の悪さは、車輪や台車のダイカストのせいだけではありませんでした。
どうも・・・長年の走行で全体的にくたびれてしまっていたようです。
いくら清掃しても、音は大きいし、滑らかさはなく、ギクシャクしてしまうのです。
当時の動力ってこんなもんでしたっけ?
今じゃ記憶もあいまいです。。。
そこで・・・ネットオークションで安く手に入れていたEF651000の動力を使ってみることにしました。
ここでも共通設計の恩恵を受けることになりました。
古いEF70の台車枠にEF65500のダイカストと車輪をはめ、EF651000の動力に装着するという、
かなり継ぎはぎな組み合わせなのに、何の調整もせず、滑らかな走りをしてくれるようになったのです。
おまけに、この動力は「ヘッドライト点灯式」です!
オレンジ色の旧式EF70のヘッドライトが点灯することになるのです!
・・・と、思わず興奮してしまいました。
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台車枠はEF70オリジナルですが、台車の内側のダイカストと車輪はEF65500のもの、
左右分割式の動力は、EF651000のものです。
3.スカートの固定化改造
しかしここで少し冷静になりました。
「スカートを固定化するにはどうしたらいいだろう・・・?」
EF70はスカートを固定化された製品は発売されていません。
しかも、製品末期には、EF65用スカートを流用されてしまっています。
ASSYパーツで簡単に最新の固定スカートが手に入るEF65とは違い、
EF70の場合は、製品オリジナルのものを固定化するしか手がないわけです。
既にEF65で実践した、ダイカストとボディ前端との隙間に挟む方法を応用することにしたものの、
このスカートの上面は 真っ平ら!・・・・言うまでもなく挟む部分などありません。
例によってしばらくスカートとにらめっこした私は・・・決断しました。
それなら、挟む部分を作ってやれ!
ここから先は、執念でした。
接着剤が効かない素材に、後付けで強固に固定しなければなりません。
しかも接着面積は非常に小さいのです。
これは、金属部品を差し込み、強度を持たせるしかないでしょう。
結局、以下のようにしてみました。これで正解だったようです。
・スカート上面の平らな部分に、左右2箇所、ピンバイスで0.6mmの穴を開け、
そこに0.5mmの真鍮線を差し込み、瞬間接着剤で固定します。
・2本の真鍮線と同じ間隔で、1.2mmプラ板の「厚み方向」に同じく0.6mmの穴を開けます。
1.2mmの幅に0.6mmの穴を開けるため、慎重に真っ直ぐに開けました。
・穴の開いたプラ板を2mmほどの幅に切って、開けた穴に真鍮線を差し込み、瞬間接着剤で固定します。
・ダイカストとボディの隙間に入るよう、プラ板を0.7mmくらいまで薄くヤスリます。
2つのスカートに、この方法で「挟む部分を完璧に作り上げる」ことができたのは、
自分で言うのもなんですが・・・神業に近かったのではないかと。。。。
もう一度やれと言われても・・・もううまく出来る自信はありません。
勢いを切ってはいけないと思い、ここまでは一晩・・・徹夜で仕上げました。
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白い部分がプラ板を加工した「挟む部分」。左右に2本の真鍮線が通っているのがわかります。
中央に見えるのは、カプラーを固定している真鍮線の端です。
4.KATOカプラーとスノープロウの装着
翌日、勢いに乗って、カプラーの取り付け加工をしました。
もともと製品は、カプラーポケット自体が小さな樹脂製の別パーツで、
台車枠の延長された部分がそれを下から押さえる構造になっていましたが、
この延長部分はカットしているし、固定化されたスカートでは、カプラーポケットの再利用は難しそうです。
重量のかかるカプラーをどのように固定するか、
カーブでどのように首を振らせるかを考えなくてはなりません。
結局、ここでも真鍮線を活用しました。
「アーノルドカプラー交換タイプ」のKATOカプラーを用いることにして、
その根元にピンバイスで穴を貫通させ、その穴に真鍮線を通し、
さらにその真鍮線をスカートに開けた穴に通す・・・という方法を思い付いたのです。
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KATOカプラーの根元に注目。真鍮線を通してスカートに固定し、かつ首を振らせる構造です。
実はもともとこのスカートのカプラー開口部は、ダイカストパーツの端が見えていたぶん、
大きめに開いています。
この大きさが、カプラーが首を振るにはちょうどよい、というのはとてもラッキーでした。
実際、R282の曲線では、何の支障もなく首を振ってくれています。
カプラーの脱落を防ぐためには、最新ASSYパーツでスカートを固定化した、
E851の旧スカート・・・・そこについていたスノープロウを使用しました。
下からあてがうと、うまい具合にはまってくれたので、瞬間接着剤を流して固定してあります。
これでめでたく、製品オリジナルのスカートを固定化改造することができました!
しかも、スノープロウを装着した事で、やや小ぶりなスカートによる「頭でっかち」な印象は緩和され、
雪国の機関車らしい、重厚な感じも出てきたのです。
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できあがったスカートのはまる部分は、ダイカストとボディ前端との隙間です。
もちろん、正面窓パーツの下部は切り取ってあります。
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左写真:左が固定化されたスカート、右が製品オリジナル状態のスカート
右写真:ボディと下回りをバラした状態。上が製品オリジナルで、下が今回の加工品。
5.ヘッドライト点灯化
EF65PFの動力に交換してヘッドライトが点灯するようになったのはいいのですが・・・
もともとがヘッドライト非点灯時代の製品なので、導光用の透明パーツがついていません。
ヘッドライトの部分に小さなレンズがはまっているだけです。
この状態で走行させてみると・・・・それでもヘッドライトレンズがちゃんと光ってくれるじゃないですか!
これは、なかなかいい!
しかーし!・・・・よくよく見れば、同時に正面のオデコ全体からも、光が透けて見えました!
暗いところで見れば、もう・・・凄い状態です(笑)
そこで、裏に粘着性のアルミテープを貼り、オデコ部分から光りが漏れるのを抑えました。
ちゃんとやるなら・・・EF65用の導光パーツでも流用すればよかったのでしょうが、
この簡易工作でも充分でした。
もともとこの動力のヘッドライトは、もともとそれほど明るくないので、
導光パーツをちゃんと持ったEF65と比べても、「どっちも暗い」という印象で、大差ないのですから。。。。
*終わりに
前オーナーによるHゴム、ナンバー、標識灯への色入れは、部分的な色剥げがあるものの、
特に修正はしていません。
屋根上高圧配線の銅色は、あまりにも剥げ方がひどかったので・・・爪で全て剥がし、
不自然な灰色に塗られていた床下は、黒に近い灰色に塗りなおしましたけど。。。
また、側面のフィルター部には、試しに薄墨を流してみましたが・・・
これはやらない方がよかったかもしれません。
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加工済みと未加工の曲線上の比較。同じR315で、このように差が出ます。
ということで・・・結果的には、このロコには相当に手を加えることになりました。
オレンジ色のかなり古いEF70が、
カーブでスカートを横にずらすことなく、ヘッドライトを光らせ、静かで快調な走りを見せる・・・
そのギャップがとても楽しく、すっかりお気に入りの1両となったのです。
そして・・・これでEF70を好きになった私、以降数両のEF70を増備することになりました。
しかしまだ、他にスカートの固定化改造をした車両はありません。。。(苦笑)
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