このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



相田みつを 〜わたしの美術館〜


悲しみがほんものになる時            

Kさん、あんたもな・・・
いまのわたしには
たゞそれだけしか言えない

こういう時には
どんな言葉も適用しない
ことばのむなしさを
いやッというほど知っているから
たゞ黙って遠くから見ているだけ

葬式、初七日、四十九日、
人の出入りがあるうちはまだいい
そのうちばッたりと人が来なくなる

その時なんだな
悲しみが澄んでくるのは
その時なんだな
悲しみが冴えてくるのは
そして
悲しみがほんものになるのも
その時なんだな

Kさんな
あなたの悲しみが
ほんものになった時 わたしは
あなたに読んでもらいたいものがある
フランスの詩人
ジャン・タルジューという人の
詩の一節です

悲しみで澄んだ
深い眼で読んでもらいたい

死んだ人々は
還ってこない以上
生き残った人々は
何がわかればいい?

何がわかればいい?
何がわかればいい?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
出典「じぶんの花を」(文化出版局)出版


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