このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



相田みつを 〜わたしの美術館〜


自分の花 − 雑草のうた                 

わたしは道ばたの雑草です
名前はありません
図鑑を調べればわたしにも
名前はあるんでしょうが
一度も名前を呼ばれたことがありません
そしてだれからも
相手にされたことがありません
雑草々々とただ嫌われるだけです
だからわたしは
自分の名前を知りません

いま歩道のはじのコンクリの
わずかな割れ目がわたしの住み家
そこがいのちの授かった場所ですから
土も殆どありませんし
肥料などは全くありません
その上 学校に通う子供達の
運動靴によく踏まれます
それでもぐちや泣きごとを
言っているひまがありません

冬がくるまでに
一つぶでも二つぶでも
具体的にタネを残してゆくために
いま一生けんめいに
花を咲かせているんです
だれにも見てもらえない
小さな小さな花ですが
いのちいっぱいの
自分の花を!!
踏まれても踏まれても
くじけることのない
雑草の花を!!
出典「じぶんの花を」(文化出版局)出版


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