このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



相田みつを 〜わたしの美術館〜


芽                             


梅の木の根もとに
水仙の芽第一号が出ました
固く凍った土の面に

こんなに早く出てしまって
大丈夫なのかねえ
暖かいわらでもかけてやろうか

まだ色の白い
やわらかい小さな芽が
霜に凍ったコチコチの土の中から
畏(おそれ)げもなく出てくる
自然の不思議さに
ひとり驚きの声をあげました

水仙の芽は
人間のようにかけ引きや
ごまかしがなくていい
相手によって
態度をかえることがなくていい

ストがあろうと
不況の風が吹こうと
水仙の芽は
梅の木の根もとで
春の準備ができていることを
ごまかしなく伝えてくれる
偽り多き人間のわたしに
出典「しあわせはいつも」(文化出版局)出版


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