このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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(続)井原鉄道で訪ねる<捧澤寺>
はじめに
捧澤寺と書いて、”ぼうたくじ”と呼びます。
真言宗御室派の古刹で、矢掛町東三成、鷲峰山の中腹にありました。
”ありました”、と言うのは過去形を意味するもので、
盛時には8坊を擁する備中南部有数の山上伽藍でしたが、
昭和32年3月の大火で、堂宇を焼失してしまいます。
しかし、国指定重要文化財の画像3点は災害から逃れ、
現在は岡山県立博物館に寄託されています。
参考資料:(岡山の美と心148頁、山陽新聞社・平成2年発行)
写真:(Rollei35S、SUPERIA100、他への転用を禁止します)
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アプローチ
実は、私は10年程前に捧澤寺を訪ねた事がありました。
前回は地図を頼りに登山道経由で行きました。
今回は当時の参道経由で訪ねる事にし、2000年4月22日に出発しました。
地図を見ると、吉備真備公園(矢掛町東三成)の西側に道があります。
井原鉄道の下を潜って少し進むと、写真の場所に出ます。
此処が捧澤寺の参道であった事を確信させられます。
石造りの観音様(写真右手)が待っていてくれました。
中央の木の後ろには石造りのお堂が見えます。
この木は、捧澤寺焼失後に生えたものでしょうか。
焼失後の43年間の年月を物語っていて、お堂と一体化しています。
この日も、観音様やお堂には生花が供えられていました。
写真左奥の登山道を進みます。途中からバイクを置いて徒歩で進みます。
しかし、立ちはだかる木々に阻まれて、引き返す事になります。
結局、前回訪ねたのと同じ登山道経由で再訪する事になりました。
圀勝寺(こくしょうじ、矢掛町東三成)横の坂道を上ります。
心配になる位上った所に捧澤寺道と書かれた小さな看板があり、一安心させられます。
伐採された所を通り過ぎ、坂が緩むと池の堤に出ます。
堤の下を右手に進むと道は池の縁を通る様になります。
池を反時計回りに回って、池の最奥部を過ぎると僅かで捧澤寺に到着します。
矢掛町と真備町との境付近を通る高圧送電線から300m程度西(矢掛町)側の地点です。
井原鉄道・三谷駅から北約600mで圀勝寺です。普通車なら此処迄です。
4WDの軽四輪なら伐採地点迄行けそうです。それ以降は山道です。
私はオフロードバイクで完走出来ましたが、通常のバイクなら困難かも知れません。
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山門
記憶に残る山門(写真)が、ツツジと桜と一緒に出迎えてくれました。
山門の前には池の跡らしい所があって、菖蒲が芽を出していました。
山門の後ろには、野球場でも十分出来る程の広さの空き地があります。
その昔には、此処に七堂伽藍があって栄えたのでしょうか。
草が綺麗に刈られていて、スギナの目が一斉に出ていました。
山門の50m位手前に売店跡?らしい建物を発見しました。
当時の生活道具が残されたままで、自然に帰化しようとしています。
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石門
山門から100m程奥の一段高い所に、石門があります。
矢掛町指定の文化財で、立派かつ保存状態も大変良いです。
当時の使用状況はよく判りませんが、
その立派さから考えて、御成門的な存在だったのかも知れません。
石門の左右には、立派な土塀が続いています。
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椿
石門を潜ると、土塀に囲まれたこの場所に出ます。
木造の建物が残っています。屋根の形からして、太子堂か何かでしょうか。
中には仏具などが残されたままです。
お堂の右側には、寺務所らしい大きな建物が残されていますが、倒壊寸前です。
しかし、前庭には立派な椿の木があって、この日も綺麗な花を咲かせていました。
参道入り口の観音様に供えられた生花、山門前の菖蒲、桜、ツツジ、
そしてここの椿、今回は沢山の花が見られました。
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宝篋印塔(ほうきょういんとう)
太子堂(?)の奥の、さらに一段高い所に宝篋印塔があります。
屋根の形の部分の先が欠落しているものの、品格のある立派なもので、
矢掛町指定の文化財です。
周囲には小さな五輪塔が何基かあります。
サァ、井原鉄道に乗って、花の捧澤寺をお訪ね下さい。
追記
宝篋印塔前の地道(未舗装)をさらに奥に進むと、鷲峰山の稜線を越えて北側に続き、
途中からコンクリート舗装になります。
この道は、軽四輪車なら通れるかも知れませんが、地道、急坂、狭いです。
急坂を下ると、水車の里フルーツトピアからの道に合流します。
追記終わり
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