このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
異様なオーラを放つ隧道。 これまでのほのぼのとした、散歩道のような軌道跡とは明らかに異質な雰囲気が漂っている。 この先は、一筋縄にはいかない…。 そんな予感が頭を過った。 荒々しい素掘隧道。 そうとだけ書くと、今まで通ってきた隧道と変わりないように思えるが、何かが違う。 入口付近に植物が茂っており、内部が暗いからかもしれない。 あるいは、今まではなかった規模の水たまりが広がっていたからかもしれない。 ヘッドライトの心もとない光で足元を照らしながら、私は足を出来るだけ濡らさぬよう、一歩一歩進んでいった。 この隧道もやはり出入口付近はコンクリート巻き。 急なカーブの先から柔らかな光が差し込んでいる。 路面には落ち葉が積もっているように見えるが、これらは全て水たまりに浮いている葉。 壁面にへばりつくようにして、一番浅い部分をちゃぷちゃぷ音を立てながら歩いていく。 あとちょっとで出口だ…。 これは!!!! ひしひしと感じていた嫌な予感が的中。 平穏な軌道歩きは、トンネル一本抜けたところであっさり終わった。 路盤は川の方へ向かって傾斜しており、生えている木々もそれに倣って、進路を塞ぐかのように斜めに伸びている。 これは大変そうだ。 おあふっ!! いきなり崩壊箇所が現れた。 今までのような生ぬるいものではなく、地面がごっそり川に持っていかれている。 護るべき路盤を失った石垣だけがポツンと残っている状態だ。 進むとすれば、石垣の上の斜面しかなかろう。 誰が残していったのか、ロープが木々を繋いでおり、それを頼りに進む 。 当然、できるだけそいつに体重を預けすぎないよう注意しながら…。 幸いにもそれほど滑りやすい斜面ではなく、なんとか突破する。 水の流れる音が遠くなったな、と思って左を向いてみると、川が遥か眼下に!!!! 急流な遠山川に大して、ゆっくりと等高線をなぞるのと等しいような勾配で下流へ向かっている森林鉄道。 こうなることは必然なのであるが、トンネル一本で、こうも状況が一変するとは…。 高い場所が苦手である私は、出来るだけ山側を進む。 お次は倒れた竹が行く手を塞ぐ。 厄介であるが、路盤は平でしっかりとしているため、割とサクサクと勧める。 地形は険しいが、両脇を石垣によって護られ、軌道は比較的良好な状態を保っている。 土砂が積もり、若干斜めになっているものの、徒歩で通行するにはさほど差し支えない。 しかし、現役当時は通行の確保は大変なものであったのだろう。 森林鉄道の雰囲気を色濃く残す、美しいカーブ。 車で通行してみたいとは、断じて思わないが…。 次のカーブは真新しい法面が印象的だ。 車道化後に大きく改良された区間なのであろう。 他の区間と比較して、路面状況が良好だ。 おっと!! 欠けた法面の隙間から顔を覗かせるのは、現役時代の石垣だ。 森林鉄道らしい、簡素な造りの石垣である。 そして、ずいぶんゆとりがあるカーブが現れる。 今までと比べ、山側に随分余裕があるような…。 余裕………というか…。 沢地形? まさか…。 木橋!!?? |
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