駅はステーションがなまってくさ、ステンショていわれとった。
苦労してやっと探し当てたとが、福北ゆたか線の九郎原駅(初めからオヤジギャグ)。
住所は福岡県飯塚市内住川原てなっとるバッテン、合併する前は筑穂町やつた。ほんなことい山ん中タイ。
福岡と飯塚の間に立ちふさがっとる八木山峠。上からでも(峠)下からでも(トンネル)ここば越えんと筑豊へは行かれん。むかしむかし、神功皇后も応神天皇ば、宇美で産んで(ここもシャレよ)、産後の身体でここば越えて行きなった。
八木山越えも南のショウケ越えも交通の難所やった。
その八木山峠の、龍王山(りゅうおう)と三郡山(さんぐん)の間ば掘ったとが、福北ゆたか線の篠栗トンネル。なんちゅうたっちゃ、全長4550メートル。開通した当時は九州では一番長かトンネルて云われとった。(現在、九州の在来線で一番長かトンネルは、長崎トンネルで6200m)
難所ば越えるちゃケン難工事でクサ、そのぶん期間もかかったバッテン、ここがほげたケン筑豊が近うなった。
上・篠栗トンネルはゆるうくカーブしとるケン、トンネルに入ったら入口も出口も見えんごとなる。その中へ817系電車が時速100km近かスピードで突っ込んでいく。
九郎原駅は、その篠栗トンネルの飯塚側出口にある。駅ホームから篠栗トンネルの坑口がすぐそこに見えとる。
駅周辺は峠道の山ん中やケン人家もまばら。なんでこげなとこに駅が要るとやろうかて疑問が湧いてくる。
それもそのはず、篠栗線ば桂川まで延ばして、福岡と筑豊ば繋ごうてしたとき、計画ではその間に駅はふたぁつ。
城戸駅(あとで城戸南蔵院前駅に改名)と筑前大分(おおいたじゃナカ、だいぶ)だけで、あとは高架とトンネルの設計やった。
駅の構造は、専門的に云うと、1線スルー方式の相対式1面2線。開業時は片面ホームのみの1面1線でやったが電化と同時に 交換駅として改良した。配線は通過列車のスピードば落とさせんごと、1線がスルータイプになっとる。
もちろん無人駅。もちろん普通列車だけしか停まらん。
それば計画が発表されてから地元がクサ、「それじゃ自分たちが不便じゃなかや」ていいだして、筑前山手とこの九郎原が追加されたていう訳よ。
ここば通して貰わないかんケン、国鉄も地元には弱かタイ。国鉄は「えークソ」て思うたろうバッテン、96段も階段付けて高架の上に筑前山手駅。トンネルの口に九郎原駅ば作ったていう次第。
で、篠栗〜桂川間は、昭和43年(1968)に開業したとやが、予定線としては、大正11年(1922)に制定の、改正鉄道敷設法別表第110号(赤字こきだして廃止した宮原線もこれやった)で、作るて決まっとった。
桂川まで延長後は、福岡の近郊路線として発展し、昭和62年(1987) 国鉄分割民営化で九州旅客鉄道(JR九州)が継承した。
平成13年(2001)には全線が、筑豊本線折尾〜桂川間とともに電化され、黒崎〜直方〜桂川〜博多間、ぜんぶ一緒では、福北ゆたか線ていうごとなっとる。
福岡と北九州と筑豊ば結んどるケン、福・北・ゆたか(豊)線ゲナ。
電化されて早うなって、福岡への通勤通学には便利になつたバッテン、この九郎原は、そやケンいうて人が増えるわけじゃなし、篠栗線のなかでは、筑前山手駅と並んで乗客の少なか駅のまんまタイ。
福岡県
飯原(いいばる・前原市)
荷原(いないばる・朝倉市)
柿原(かきばる・朝倉市)
春日原(かすがばる・春日市)
上原(かみはる・田主丸町)
川原(かわばる・前原市)
上原(かんばる・川崎町/みやこ町)
九郎原(くろうばる・筑穂町)
黒原(くろばる・小倉北区)
郷原(ごうばる・大川市)
桜原(さくらばる・宇美町)
笹原(ささばる・南区)
塩原(しおばる・南区)
下原(しもばる・東区)
白木原(しらきばる・大野城市)
新田原(しんでんばる・行橋市)
陣の原(じんのはる・八幡西区)
新原(しんばる古賀市/須惠町)
太郎原(だいろばる・久留米市)
田原(たばる・川崎町)
茶屋の原(ちゃやのはる・八幡西区)
唐原(とうのはる・東区)
塔原(とうのはる・筑紫野市)
道原(どうばる・小倉南区)
中原(なかばる・那珂川町)
仲原(なかばる・粕屋町)
原(はる・筑紫野市)
原上(はるがみ・新宮町)
原田(はるだ・筑紫野市/宇美町)
原町(はるまち・粕屋町)
人形原(ひとかたばる・八女)
檜原(ひばる・南区)
平原(ひらばる・南区)
平原(ひらばる・大牟田市)
平原(ひらばる・前原町)
平原(ひらばる・田主丸町)
前原(まえばる・前原市)
松原(まつばる・那珂川町)
女原(みょうばる・西区)
屋形原(やかたばる・南区)
夕原(ゆうばる・八幡西区)
柚須原(ゆすばる・筑紫野市)
佐賀県
中原(なかばる・三養基郡)
中原(なかばる・富士町)
中原(なかばる・嘉瀬町)
蓑原(みのばる・みやき町)
目達原(めたばる・吉野ケ里町)
左・1面のホームから桂川方面。 右・4550m篠栗トンネルの入口が待つ、吉塚・博多方面の線路。
篠栗線（ささぐりせん）としては、桂川〜吉塚 25.1km。駅の数11駅。筑前山手駅ば除いて全駅で、列車の交換がでける。
桂川駅〜筑前大分駅〜九郎原駅〜城戸南蔵院前駅〜筑前山手駅〜篠栗駅〜門松駅〜長者原駅〜原町駅〜柚須駅〜吉塚駅
もともと篠栗線は、九州鉄道が明治37年(1904)、石炭輸送のために吉塚〜篠栗間ば建設したとが始まりやった。
初めは箱崎駅で鹿児島本線に接続させる予定やったとバッテン、住民の反対で吉塚駅ばあたらしゅう作って接続することにした。
おかげで吉塚駅は賑あうごとなったバッテン、断った箱崎駅は寂れて、いまは高架の下に居る。
その九州鉄道は、明治40年(1907）に制定された鉄道国有法により国有化され、明治42年(1909）にここは国鉄篠栗線になった。
篠栗線に限って云えば、今年で104年の長寿路線ていうことになる。
右・九郎原駅ば出た列車は、三郡山(936m)と龍王山(616m)の裾の下ば潜って駆け抜ける。
「原」を「ばる」と読むとは、なんとなんと九州だけやった。
九郎原(くろうばる)で気がついたっちゃが、笹原・塩原・白木原・春日原・桧原・屋形原と「原」は、みーんな「〜はら」じゃのうてクサ、「〜ばる」読み。漢字変換システムば利用してざっと調べてみたら、あるはあるわ。
しかも、九州には百カ所以上あるとい、九州以外にはほとんど無かケン、ぶったまがる。こらなしかいな。
しかもしかも、分布に特徴があって、「〜ばる」は平らなとこばっかり。そしてクサ、博多・大分・宮崎に集中しとるくせに、博多ば除くと九州の西半分、佐賀・長崎は極端に少なかし、壱岐・対馬・五島、熊本の天草、鹿児島の薩摩半島には全然見当たらん。
あんまりおかしかケン、ちょっと、「〜ばる・はる」地名の語源について調べてみたらクサ、韓国語で「原」ば意味する言葉に「ボル」いうとがあった。また原っぱの「原」じゃあのうして、朝鮮語の「村」ば意味する「フル・ブル」いうともあった。これが訛って「〜ばる」か ? そんなら「〜ばる」ば使いよる土地は、朝鮮半島から渡来した集団の子孫ばっかりが住んどったっちゃろか。
人名では東国原(ひがしこくばる)知事が「〜ばる」やった。
どがしこ「〜ばる」があるか見てみんしゃい。
筑穂（ちくほ）のナマズ石
ＪＲ篠栗線九郎原(くろうばる)で降りて、内住川(ないじゅがわ)沿いば下ると、川の中に大きな石があり、土地の人は「ナマズ石」と呼んどんなる。この石はクサ、昔はずっと下流にあったとげなバッテン、どうしたことか上流に向かってゴリゴリ上りはじめたていう。村人は、このままやったら石は、三郡山に登って村にどげな災いば起こすかわからんて恐れた。
そん時、熊五郎という豪の者が出てきて、「ナマズならば尾ば切ればよかタイ」、いうてクサ、石の後ろの方ばたたき切ってしもうた。それで石は動かれんごとなってクサ、現在の場所に留まっとるていう。
長崎県
礫石原(くれいしばる・島原市)
世知原(せちばる・佐世保市)
大分県
秋原(あきばる・日田市)
大原(おおはる・日田市)
大原(おおはる・豊後大野市)
乙原(おとばる・別府市)
柏原(かしわばる・竹田市)
北原(きたばる・竹田市荻町)
机張原(きちょうばる・大分市)
城原(きばる・竹田市)
小池原(こいけばる・大分市)
古賀原(こがのはる・別府市)
神原(こうばる・竹田市)
庄の原(しょうのはる・大分市)
城原(じょうはる・大分市)
城原(じょうはる・竹田市)
杉原(すぎばる・・大分市)
旦野原(だんのはる)
長者原(ちょうじゃばる)
角子原(つのごはる)
中原(なかはる)
野津原(のつはる・大分市)
拝田原(はいたばる・竹田市)
日吉原(ひよしばる・大分市)
都原(みやこばる・臼杵市野津町)
向原(むかいばる・大分市)
向原(むかいばる・由布市挾間町)
吉野原(よしのはる・大分市)
熊本県
上原(うわばる・芦北町)
岡原(おかはる・球磨郡)
岡原(おかはる・あさぎり町)
小原(おばる・山鹿市)
小原(おばる・菊池市旭志)
久原(くばる・山鹿市)
小原(こばる・南関町)
合ノ原(ごうのはる・人吉市)
下河原(しもかわはる・菊池市)
薄原(すすばる・水俣市)
田原坂(たばるざか・植木町)
西原(にしばる・阿蘇郡)
宮原(みやばる・阿蘇市)
宮崎県
菖蒲原(あやめばる・都城市)
糸原(いとばる・宮崎市)
大内原(おおうちばる・川南町)
川原(かわばる・木城町)
楠原(くすばる・日南市)
久保原(くぼばる・都城市)
西都原(さいとばる・西都市)
宗麟原(そうりんばる・川南町)
高原(たかはる・高原町)
田原(たばる・高千穂町)
茶臼原(ちゃうすばる・西都市)
塚原(つかばる・国富町)
新田原(にゅうたばる・新富町)
稗原(ひえばる・宮崎市)
蓑原(みのばる・都城市)
餅原(もちばる・三股町)
鹿児島県
旭原(あさひばる・鹿屋市)
小野原(おのばる・鹿屋市)
小原(おばる・鹿屋市串良町)
柊原(くぬぎばる・垂水市)
崎原(さきばる・奄美市名瀬)
永小原(ながおばる・鹿屋市)
西紫原(にしむらさきばる・鹿児島市)
根木原(ねぎばる・鹿屋市)
東原(ひがしばる・姶良町)
紫原(むらさきばる・鹿児島市)
沖縄県
伊原間(いばるま・石垣市)
西原(いりばる・うるま市)
宇栄原(うえばる・那覇市)
運天原(うんてんばる・名護市)
桃原(とうばる・うるま市与那城)
桃原(とうばる・北谷町)
南風原(はえばる・島尻郡)
南桃原(みなみとうばる・沖縄市)
与那原(よなばる・島尻郡)
九州以外では、「原」ば「ばる」て読むところは富山県に2箇所しかなか。
隣の筑前大分駅(ちくぜんだいぶえき)は、駅付近の人口増加で快速が停車する。
なんで筑前大分かいうと、すでに日豊本線の大分駅があったケン旧領地名ばつけたっタイ。こげな例は多か。
なんで大分(だいぶ)かいうたら、大分八幡宮のあるけんタイ。
宇佐八幡宮の社伝によれば「大分(だいぶ)宮は我ガ本宮なり」て書いてある。
日本三大八幡宮の一つの箱崎八幡宮は、923年に、ここの大分宮が箱崎へ遷座したもんゲナ。
宇佐八幡宮の本宮で、箱崎八幡宮の元宮ていうたら、大分八幡宮は、一番古うて格式の高っかお宮さんタイ。
宇美八幡宮で生まれなった応神天皇が、ここで産湯ば使いなったていう伝承の地もある。
大分廃寺跡(国指定史跡)
奈良時代初期、8世紀初めの建立と推定される寺院の塔跡は、創建当時のままの礎石がほぼ完全な状態で残っとる。塔の中心柱を支えた大型の心礎は、直径約80cmの柱穴があって、これから推定すると塔の高さは30mもの三重塔やったらしか。
南北約94m、東西約102mの広大な寺院やったことが確認されとって、当時は七堂伽藍の揃うた大きな寺やったらしか。
塔跡近辺からは、蓮華模様の新羅系や百済系の軒丸瓦やら軒平瓦も出土しとるとゲナ。
上・跨線橋があって駐車場も広か「筑前大分駅」
下・国指定史跡の大分廃寺跡は礎石だけが残っとる
城戸南蔵院前駅(きどなんぞういんまええき)は、篠栗町城戸にある篠栗新四国八十八ケ所の一番札所、南蔵院にお参りするための駅タイ。快速が停車する。
昭和43年(1968)篠栗線ば桂川まで延ばしたときに城戸駅として開業した。
駅の北側ば国道201号線が走り、南側ば通行料520円の八木山パイパスが通っとる。
平成7年(1995)、南蔵院に全長41m、高さ11mもある日本一の釈迦涅槃像がでけてから、同寺への参拝者が急増したもんやケン、駅名ば「城戸南蔵院前」に変え、南蔵院が資金ば出して、駅舎やホーム上屋ば改装した。
このお寺さんは、住職の林覚乗(はやしかくじょう)さんが、平成７年６月に福岡ユニバーシアード協賛ジャンボ宝くじで、一等前後賞合わせて一億三千万円に当たっとんなるもんやケン金持っとんなるとタイ。
宝くじに当選したお礼に、みんなにも当たるごと建立された大黒さんが人気で、またお参りが増えとる。
駅ば降りたらすぐに城戸橋ば渡る。
この橋はメロディ橋で、備えつけのマレットでアルミ板ば叩きながら渡ると、メロディが鳴る仕組みになっとって、聞こえてきたメロディは「ふるさと」やった。
上・改装された「城戸南蔵院前駅」
下・日本一の釈迦涅槃像はびっくりこくぐらい大きか
場所・飯塚市 内住川原 篠栗町城戸の南蔵院前から500mの「二瀬川」信号ば県道435号線へ右折。約3km大野公民館先で県道60号線へ左折。八木山バイパス「筑穂IC」を過ぎて600mで信号ば右折。線路渡ってまた右折すぐ。八木山バイパスば篠栗から乗れば「筑穂IC」からは600mバッテン、通行料が勿体なか。宇美町役場の前の県道60号線(飯塚大野城線・篠栗街道)ばショウケ越えすれば、約10kmで駅入り口の信号に着く。 取材日 2007.02.11